Canvaマジックレイヤーで分けたAIバナー、実案件で納品できる? 現役Webデザイナーのデザインツール選択法
いきなりですが、Canvaのマジックレイヤー(Magic Layers)、使ってますか?
AIで作った画像を、自動でレイヤー分けしてくれる機能です。
めちゃくちゃ便利ですよね。

これまで「1枚絵のAI画像は編集できない」とあきらめていたものが、人物・テキスト・装飾などにパーツ分けされて編集できるようになりました。
AI時代のデザインにとって、かなり大きな進化です…!
「CanvaとAIがあれば、FigmaやPhotoshopはいらないんじゃない?」
「お金もかかるし、今月でAdobe解約しちゃおうかな」
わかります、わかりますよ…! 気持ちが揺らぎますよね。
SNSでも、Figma・Photoshop不要論を見かけるようになりました。
ついには『Webデザイナー不要論』なんてワードまで飛び出す始末。
(さすがにこれは煽りすぎですが…)
たしかに、SNS投稿やちょっとしたバナーなら、Canvaで十分なケースは増えています。
ただ実案件での納品データとなると、すこ~し話が変わってくるんですね。
そこで今回は、Web制作歴20年の私が考える、ツールの選びかたをお伝えします。
Canva制作あるある言いたい
たとえば、AIでバナー画像を作ったとします。
「このAIデザインをCanvaで調整しよう!」
と意気込んで、マジックレイヤーで分解してみると…あららフシギ。
・フォントの種類や太さが変わってしまった
・人物を少しずらしたら切り抜きの境界がガタガタ
・写真やアイコンの解像度が下がっている
これぞマジック?!
…こんな状況、経験がある方もいるかもしれません。
レイヤー分けはされてるんだけど、完ぺきに編集できるデザインデータになっていない。
クライアントがAIで作ったバナーを送ってきて、
「テキストだけ直せますか? デザインは変えないでください」
と依頼されたとします。
マジックレイヤーを使えば、たしかにパーツごとに分かれるものの、元のデザインが微妙に変わってしまうのは避けられません。
これは困った…!
さらに制作会社さんの依頼だと、こんな要件がプラスされることも。
「このアイコンだけSVGで書き出して、別ファイルで納品してください」
「コーダーがサイズを拾えるようにしておいてください」
「テキストはGoogleフォントから使ってください」
こういうやり取りが発生する現場では、AI画像をCanvaで分解しただけのデータは、さすがに納品しづらい。
ちなみに、自作バナーを自分で使う分にはまったく問題ありません!
気をつけたいのはこんなケース。
駆け出しのWebデザイナーさんや副業でデザインをしている方で、AIで生成した画像や、マジックレイヤーで分解しただけのデータを、そのまま制作会社に納品してしまうケース。
制作の現場では「あとから誰が、どこを、どう直すか」まで想定する必要があります。
「分かれているデータ」と「使いやすいデータ」は別物なんですよね。
実証! Canvaのマジックレイヤー
では、実際にやってみましょう!
これはAIで生成したバナーです。
パーソナルカラー・骨格診断サロンのWeb広告。
20〜40代の女性がターゲットで、診断予約・公式サイトへの誘導が目的です。

このAIバナーをCanvaのマジックレイヤーにかけてみますね。
さて、どうなるでしょう。

こんな感じでパーツ分けしてくれます。
なんか、テンション上がりますよね!
では一旦これを書き出して、元のAIバナーと比べてみましょう。
元のAIバナー

マジックレイヤーでパーツを分けたバナー

さあ、どうでしょうか。
間違い探しみたいですが、どこが変わったかわかりますか?
■変わった箇所
①左上の手描き英字(フォントと色)
②右上のフォントサイズと余白
③すべてのテキストにおいて、フォントと太さ
④写真・アイコンの解像度が低い
⑤写真が一部欠けている
⑥植物の装飾が一部欠けている
⑦文言が違う(垢抜ける→売抜ける になっている)
⑧CTAボタンのドロップシャドウが消えている
ざっくり、こんなところでしょうか…?
写真の解像度が低くなってしまったのは、ショックでした。
あと、複雑な漢字は置き換えられてしまうこともあるようですね。
このように、データとしての品質はけっこう落ちてしまいました。
うーん、これは困った…
クライアントワークではこのままじゃ納品できないなぁ。
■2026.6.16 追記
「ChatGPT」と「Gemini」で「Canva」のマジックレイヤーが利用可能になりました!
チャットで「@Canva」と指定するか、アプリからCanvaを選択して『この画像を編集可能なデザインにして』と指示すると、マジックレイヤーが適用された「Canva」デザインへと変換してくれます。

しかし、やはり生成したデザインそのまま再現はしてくれず…。
上に挙げたのと同じ箇所が変わっておりました。
この辺は、今後のアップデートに期待ですね!
Canvaが向いてるケース
「じゃあCanvaのマジックレイヤーは使わない方がいいの?」
と不安に感じている方、そんなことはありません。
使い分けすればいいんです!
実際に私が考えるCanvaの使い分けは、こんな感じです。
Canvaのマジックレイヤーで問題ないケース
・自分や自社のSNS・コンテンツで使う場合
・クライアントの編集予定がなく、画像のまま納品OKの場合
自分で使うデザインなら、スピード重視でCanvaの方が向いています。
マジックレイヤーを使えば、変更もカンタンです。
Canvaだけで完結しづらいケース
・クライアントから支給されたAI画像を調整する場合
・制作会社からデザイン制作を依頼された場合
実案件は「1枚作って終わり」じゃないことが多い。
複数サイズに展開するケースもあります。
こうなると、Figmaの方が余白・文字サイズ・パーツを管理しやすい。
だから、AI画像はあくまで素材として使い、Figmaで情報設計を組み直すんです。
こうすれば、あとから直しやすいデータになります。
一方、Photoshopは画像そのもののクオリティを上げるのが得意。
写真素材の補正、不要パーツの削除、足りない背景を伸ばす…
こういう処理でAIっぽさを減らして、差別化できるビジュアルに仕上げられます。
さすがはPhotoshop!
複数のデータ管理がめんどくさいなら、Photoshopで組み直すのもアリですね。
Photoshopでの組み直し方については、次の記事でくわしくお話ししようと思います。
どんな納品データなら喜ばれる?
Canvaは1枚のビジュアル作りには最適!
でも、Web制作に必要なレスポンシブ設計や、コーディング前提の案件には向いていません。
Figmaなら、コーダーさんが色コードやフォントサイズ、余白をスムーズに確認できます。
私もコーディングをしますが、Canvaだとサイズ確認がちょっと手間なんですよね。
というわけで、もしAIでWebサイトやLPを作ったなら、Figmaで組みなおしてデータ納品するのが安心・安全。
ビジュアル要素多めのデザインなら、PhotoshopでもOK。
制作会社さんへの納品は、修正・展開・実装を想定したデータにするのが基本です。
結局、FigmaやPhotoshopは不要なのか?
当面、不要になることはありません。
制作の現場では、まだまだ現役です。
ただし、役割は変わりつつあるなと感じています。
✅AI
素材やアイデアを出すための道具
✅Canva
早く作るための道具
エンドクライアントがデザインを運用するための道具
用途
SNS投稿、簡単なバナー、営業資料、イベント告知、運用テンプレート
✅Figma
Webデザインとして設計し、共有し、修正しやすくするための道具
用途
Webサイト、LP、UI設計、レスポンシブ設計、コンポーネント管理、コーディング連携
✅Photoshop
画像の違和感を整え、クオリティを上げるための道具
用途
写真加工、合成、切り抜き、レタッチ、補正、複雑なグラフィックデザイン
どれが正解で、どれが時代遅れ、という話ではないんですね。
使うシーンが違うだけ。
SNS投稿や簡単なバナーならCanvaで十分。
制作会社さんの依頼案件では、FigmaやPhotoshopの力がクオリティとスピードに直結します。
時代遅れなのはツールじゃなくて、「納品形式をひとつしか持っていない制作スタイル」の方。
FigmaやPhotoshopでプロ品質に作れて、Canvaでクライアントが更新しやすい形にも整えられる。
時にはAIでアイデアラフを作って参考にする。
こんな使いわけができるWebデザイナーが、これからの時代強いんだろうなと思います。
だって、使える技術が多いほど、できる仕事も増えるんですから!
AIやCanvaがもっと進化したら、自分の仕事ってなくなるんじゃないか
正直、私も考えたことがあります。
誰でもAIやCanvaでデザインできる時代に、わざわざWebデザイナーに頼む理由ってなんだろう、と。
でも、20年Web制作を続けてきて思うのは、むしろ逆だということ。
今クライアントが本当に困っているのは、「作れない」ことじゃないんですよね。
困っているのは、
作ってみたものの、思ったほど反応がないこと。
AIっぽく見えてしまったり、安っぽい印象になってしまったりすること。
さらに制作の現場だったら、納品データがそのまま編集できなかったり、結局作り直しになってしまうこと。
マジックレイヤーでレイヤー分けできた!
よし、納品!
じゃなくて、
相手にちゃんと届く形に整え、仕事で使えるデザインに仕上げる。
ここにWebデザイナーの差が出ると思っています。
そんな最強デザイナーを目指したいですね!
次の記事は、今回のAIバナーをPhotoshopで組みなおす時、どこから手をつけるかお話します。
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