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【実録】論理的な人ほど騙されるAI副業。一撃700万と50万の罠を解体

正直に白状します。 「誰でも、簡単に、稼げる」 そんな言葉に騙される人は、情報の取捨選択ができない、リテラシーの低い人たちだけだと思っていました。論理的に物事を考えられる自分には、無縁の話だと。

しかし、これこそが最大の油断でした。

現代の詐欺的なビジネスは、緻密な市場分析や保守的なシミュレーションといった「正解の皮を被った嘘」で武装しています。
論理的に考える人ほど、緻密な市場分析や保守的なシミュレーションといった「正解の皮を被った嘘」を提示されると、自分の知性を補強してくれる情報だと誤認し、理性をハックされてしまうのです。
彼らは巧妙に、正解っぽさを盾にしながら欲望を刺激します。

これは私が、一瞬だけ「700万」という数字に理性を奪われ、そしてその正体を暴くまでの、少し恥ずかしくて残念な記録です。


アルゴリズムが優しく差し出した「毒」



ある日、YouTubeのホーム画面に、それは現れました。
「AI副業で700万益。KDP出版」
書籍化作家として活動している私にとって、「KDP(AmazonのKindle出版)」は身近な言葉でした。それがAIと組み合わさって、莫大な利益を生むという。 一度クリックしてしまえば、アルゴリズムは私の「欲」を正確に学習し、似たような成功事例ばかりを表示し始めます。
動画の中身は、驚くほど誠実そうでした。チャンネル登録者も1万人を超えています。
緻密な市場分析、保守的な収益シミュレーション。一見すると「論理的」で、これまでの私の知識を補強するような内容ばかり。気がついた時には、動画のすすめるままLINE登録をし、アンケートに答えていました。
今ならわかります。そこには、誰でもつい指が動いてしまう「心理のバグ」が仕掛けられていたのです。
私は、その「正解っぽさ」に、すっかり当てられてしまいました。

ASDの過集中が一日で作り上げた「残飯」


一度やりたいと思ったら止まらないのは、私のASD特性でもあります。
動画の手順が丁寧だったおかげで、初めての出品にもかかわらず、本当に一日もかからずにKindle出版を完了させてしまいました。
中身は、AIで生成したイラストを並べただけの、可愛らしい「ぬり絵」です。 「これでお金が入るかも」とお花畑だった私の期待は、リリースから数日ですぐに打ち砕かれました。
誰一人として、閲覧すらしていない。 WEB小説投稿で培ったアクセスを稼ぐ技術をフル動員しても、ピクリとも数字が動かない。
そんな時、LINEに一通のメッセージが届きました。
「今回だけ、個別面談を受け付けます」
すぐに申し込みました。
私は最初からうまくいかない理由ではなく、「なぜ誰も見つけられないのか」という構造の理由を知りたかったからです。

しかし、面談までの二週間、待てるわけがありません。
私は自力で調べ尽くしました。
そこで辿り着いたのが、『AIスロップ(デジタル残飯)』という、生成AIで量産された低品質なコンテンツを指す言葉。
私は、自分の知性と時間を、残飯作りに費やしてしまったのかもしれない。 そんな確信に近い不安を抱えたまま、動画の主「自称・AIのプロ」との面談に挑みました。

ちなみに、面談までの間、私のLINEに届いていたのが、「稼げるAIの作り方」「稼げるようになるマインドセット」「AIで月収100万を目指す」といった10分弱のラジオです。
この流れ、私は過去にもよーく似た手法を経験しています…。もう、既視感ありまくりです。
私は何度同じ手口に捕まっているんだか…さすがに情けなくなります。

※ちなみに、こっちは勧誘手法は同じだけれど、カリキュラムの揃ったちゃんとしたスクールです。

自称・AIのプロとの面談、衝撃の事実発覚


zoom越しに聞こえてくる声は、とても若い男性のものでした。

私はさっそく、一番聞きたかったことをぶつけました。
「動画では半年で700万とありましたが、その中のどれか一つでもいいので、ASIN(Amazonの商品管理コード)を教えていただけますか?」

実際にAmazonで出版していれば、答えられるはずの質問です。しかし、彼の口から出たのは驚くべき回答でした。

「スクール生にしか教えられません。それに、30冊出せばいいってもんじゃないんですよ。重要なのはマーケティングとブランディングです」

いやいや、私はマーケティングの話なんて聞いていません。商品コードを聞いているのです。……商品コード一つ教えられないブランディングとは、一体何なのでしょうか。
もしや、ASIN知らない!?

さらに私が「広告費はかけていましたか?」と突っ込むと、なぜかKDPの広告ではなく、SNS広告を話し始めます。
え?KDPに広告があること、ひょっとして知らない?
これはその時、本当に驚いた私の心の声です。

しまいには、塗り絵の話をしていたはずが「漢字ドリル」の話になり、こんな謎の例え話が始まりました。

「好きな色はありますか?じゃあ、床の色をそれにします? しないですよね。本質を理解できていないから……」

……なんだこれ。論理的っぽい言葉を並べていますが、見事なまでに具体的な質問(数字や証拠)から逃げ回っています。

肥大化する「設定」と崩壊するロジック


彼の「はぐらかし」はさらに壮大なスケールへと発展していきます。
なんでも彼は「上場企業と1,000万で契約して内部調査などをしている」のだとか。
「すごいですね! どこの企業ですか?」と無邪気に聞くと、
「株価の関係もあって社名は出せません。情報開示しちゃうとインサイダーになるので」

……企業コンサルをしている事実を明かしただけでインサイダーになるなんて、どこのパラレルワールドの法律でしょうか。

さらに、彼のビジネスモデルは矛盾の限界突破を迎えます。
「AIで自動化して片手間で稼ぐ」という動画の謳い文句に惹かれたはずなのに、彼が成功事例として語り出したのは「従業員を雇ってSNS代行やアフィリエイトをやらせる」「スクール生を法人化して人事関係までコンサルしている」という、ゴリッゴリの労働集約型ビジネス…。
AI、どこいった?

そして、50万円というスクール代金については、
「スクール生に対する教育は、企業に見せるエビデンス(実験データ)としてやっているだけで、海外から買った情報をスクール生にも還元しているので、ほぼ利益はありません」と、商売っ気を消して「選ばれた感」を演出してきます。
海外から情報買うって、もはや、スパイファミリーの世界観。

戸惑う私に彼は畳みかけます。
「上場企業に提出しているものと同じ基準で、弁護士のリーガルチェックも入れたちゃんとした契約書です。今日中に返事できますか?」と、LINEで契約書と約款が送られてきました。

50万のスクール費用を今日中に決められますか?って…。
超高額費用を即決させようとするのはこの手の講座勧誘あるあるなのでしょうか?
過去にも私は全く同じことを面談で言われた経験があります。

聖地巡礼と契約書がもはやSASUKE


面談後、「弁護士のリーガルチェック済み」と豪語していたその契約書を、自分でリーガルチェックしてみると、そこには残酷な罠が並んでいました。

消費者保護の強制解除
「営利目的で反復継続して副業を行う者」とサインさせられ、法律上の「消費者」から「個人事業主」へと立場を変換させられます。これで消費者契約法による保護が受けにくくなります。

実質不可能な返金条件
LINE登録48時間以内、課題の全提出などに加え、「副業収益が0円であることの証明」が必要。つまり、1円でも稼げたら返金不可。さらには「電話で申請」という謎のアナログな壁まで用意されています。
SASUKEより攻略(返金)難度高くない?

極めつけは、特定商取引法に基づく表記(特商法)でした。
面談では散々「スクール」「6ヶ月の密着指導」と言っていたのに、特商法を見ると販売商品は「チャットGPTコンサルティング」、数量は「1個」、引渡時期は「メールにて送付」。

……そうです。法律上、彼が売っているのは長期的なサービス(スクール)ではなく、「50万円のPDF(あるいは動画)1個」なのです。これなら「もう納品したから返金できない」と言い逃れができます。

好奇心を抑えきれず、私はGoogleストリートビューで、記載されていた住所(〇〇号室)へ「聖地巡礼」の旅に出ました。
そこに広がっていたのは……1階には段ボールが山積みになった別の会社の倉庫。2階にはまた別の会社の看板。その建物の片隅にあるであろう「〇〇号室」という、看板すらない古いアパートの一室(あるいはただの郵便受け)。

画面越しに語られた「ハワイが好きで、先週もアメリカにいた」という華やかな生活。
「1,000万で契約している企業コンサル実績」という、煌びやかな経歴。

そのすべてを支えていた拠点は、段ボールが積まれた倉庫の風景の中に、影も形もなく悲しく溶け出していました。

冷静さは、自分を慈しみ守るための武器


私は静かにスマホを置き、「契約書の基準が私の指針に合わない」とだけ返信し、画面を閉じました。

「誰でも簡単に稼げる」 そんな言葉の多くは、あなたの成功を願っているのではなく、あなたの「焦り」を換金するための装置です。
私が今回の経験で手に入れたのは、700万の利益ではなく、「偽物の言葉を解体する力」でした。
もし、あなたが今、何かに焦り、甘い言葉に手を伸ばそうとしているなら、どうか、少しだけ立ち止まって、その言葉の「裏側」を観察してみてください。

『売れる』という結果だけを約束する言葉には、あなたを救う力はありません。
結局、真実は、泥臭く自分の足で歩いた先にしかないのです。

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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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今後も、検証ベースでまとめていきます。

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※追記:悪用厳禁のロジックについて なぜ、人はこれほどまでに巧妙に操られてしまうのか。今回私が体験した「心理誘導の設計図」は、あまりにも強力で危険なため、別記事に切り出しました。 それは「稼ぐため」ではなく、二度と誰にも踏みにじられないための「防衛のロジック」として読んでください。

  • アンカリング: 最初に「700万」という巨大な数字を見せて、基準を狂わせる。

  • 返報性の原理: 大量の「無料特典」を浴びせ、お返しをしなきゃと思わせる。

  • サンクコスト効果 :「引き返すのは損だ」と思わせ、途中離脱を防ぐ。


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うら表紙|無名→書籍化の記録(WEB小説) 読んでくれたこと、心より感謝します。いただいたチップは真心と思い、大切にします。私は時間がかかりましたが、あなたが私よりもっと短い時間で、自分の人生を愛せるよう願っています。