「ランキング=書籍化」の終焉。KADOKAWA社長が語る20兆円市場の“本音”。トレンドの小説が書けなくても大丈夫と言える理由|深掘り書籍化ログ
前回のnote『待って、筆を折らないで』は、
ありがたいことに大きな反響をいただきました。
でも、裏を返せばそれだけ多くの人が、
今のweb小説の投稿環境に疑問を持ち、
苦しんでいるという証拠でもあるのですよね…。
「書きたいものを書く」という当たり前が、
あきらめる前提になってしまうのは、おかしい。
だから私は前回、こう言いました。
「あなたの物語は、これからの世界でちゃんと輝く」と。
今回お届けするのは、その“根拠”の部分です。
感情論や精神論ではなく、
それが「論理的な必然」
である理由を順番にお話ししていきます。
だから、正直に言って今回は少し硬いです…。
「読めば絶対役に立つよ!」と断言できますが、
マーケットの話は、どうしても退屈になりがちなんですよね…。
それでも書くのは──
私が、web小説という文化が好きだから。
そして、あなたの物語が、ちゃんと読まれる世界であってほしいと思っているからです。
詳細ではなく、概要だけで十分という方はこの👇過去記事をご一読ください。
全部お付き合いいただけたらうれしいけど…
目次から“ここだけ知りたい!”って部分だけでも
覗いていってくれたらうれしいです。
遂に始まった「ランキング不要」の書籍化選考
ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが──
Web小説の「常識」が、今まさに崩れ始めています。
これまでの世界は、とてもシンプルでした。
👉 ランキング上位に入る
👉 書籍化のチャンスが来る
でも今、そのルールが変わろうとしています。
これからは──
ランキングに入っていなくても、書籍化される。
逆に言えば、
ランキング上位でも、選ばれなくなる。
そんな時代に入り始めています。
私はこれまでの記事で、
・小説はグローバル化を意識した方がいい
・IP(作品が持つ固有の魅力やブランド力)で考えるべき
・これからは「個性」が武器になる
と繰り返しお伝えしてきました。
正直に言うと、
「もう少しゆっくり変わるかな」と思っていました。
私自身、
「そろそろ“サムライファンタジー”でも考えはじめようかなぁ…」
くらいの感覚です。
でも、現実は想像以上に早かった。
ちょっ!!まだサムライの骨格すらできてない!!
今起きているのは、ただの流行の変化ではありません。
これは、
10年以上続いてきた“ゲームルール”が書き換わるタイミングです。
こういう時期って、ちょっと独特なんですよね。
まだみんなが旧ルールで戦っている中で、
先に新ルールに気づいた人だけが、スッと前に出る。
ヒカルさんや前澤さん(元ZOZO)とかがそう。
いわゆる「先行者利益」ってやつです。
そして今、ちょうどweb小説はその“入口”にいます。
言い換えると──
今この記事を読んでいるあなたは、
「次の時代のルール」を先に知ってしまった側です。
だからこそ、この先の話は少し現実的になります。
ふわっとした希望ではなく、
「じゃあ、どう動く?」という実際のアプローチ。
ここからは、
・なぜこんな変化が起きているのか
・この流れはどこに向かうのか
・その中で、作家はどう生き残るのか
を、見ていきます。
なぜこんな変化が起きているのか
トップが明言した「テンプレの終焉」と「多様性」
「ランキング=書籍化」の時代が終わり始めている──
そう確信した“決定的な理由”があります。
2026年3月14日配信の『リハック』での、
KADOKAWA社長・夏野剛氏の発言です。
ここで語られた内容は、
今後のWeb小説の未来を読むうえで外せない“事実”でした。
ポイントだけ、シンプルにまとめます。
日本のコンテンツ産業の海外規模はすでに7兆円(自動車に次ぐ巨大市場)
2030年には20兆円まで拡大予定(国も本気)
その強さの源は「ストーリーの多様性」
他国はジャンルが偏りがちで、日本ほど多様ではない
だから今後は「多様なストーリー(IP)」を最重視する
これ、かなり重要な話です。
少し乱暴に言うと──
「トレンド類似作品は不要」ということ。
これは、現場レベルの話ではなく、
業界トップが明言した“方針”です。
彼らが見ているのは、
ランキングでも目の前のプラットフォームですらない。
見据えているのは──
20兆円規模の“世界市場”です。
その海で戦うために必要な作品を求めている。
それはつまり、
・「素早くトレンドに乗れた人が勝ち」のゲームルールが
・「どれだけ骨格のある違うものを出せるか」に変わるということ。
舞台は同じなのに、ゲームルールだけがこれまでと全く違う世界。
そして、おそらく、このルール変更に
気付いている人はそんなに多くない。
だから私は、
「ランキング≠書籍化の流れは加速する」と確信しています。
出版社は「門番」から「育てる側」へ
今、出版業界は
役割そのものが変化しようとしています。
これまではシンプルでした。
→ 才能を見つける
→ 合格・不合格を決める
いわば、“門番”の役割です。
でも今は、少しずつこう変わっています。
→ 見つけるだけでなく「育てる」
→ 作品を“売れる形”まで一緒に作る
つまり、
「通すかどうか」から「どう育てるか」へ。
その動きは、すでに始まっています。
たとえば、二見書房の「原石発掘プロジェクト」
これ、何が起きているかというと──
出版社が「才能を選ぶ場所」から
「IPを育てる(教育)場所」に変わり始めているということです。
なぜこんな変化が起きたのか?
理由はシンプルです。
今はもう、
誰でも作品を世に出せる時代だから。
つまり──
集客できる作品さえ作れれば個人でも収益化できる。
だから出版社は、
“出版社を選ぶメリット”を前倒しで提示しているんですね。
ランキングの限界と、埋もれていく才能
ここまでの流れを裏返すと、
出版社が動き始めた理由が見えてきます。
それは、現在の「ランキング中心の評価」に対する危機意識です。
これまでは、
ランキング上位の作品を“青田買い”すれば売れていました。
ストレートに言うと、
市場原理に任せ、勝手に磨かれてのし上がってくる作品を
漁夫ってたんです。
ところが、それを放置した結果、
上位作品が「素早く脳に届くカタルシス」
だらけになり、
その型から外れた
「本当に価値のある原石(IP)」が
アルゴリズムの底に沈んでしまう
という悲劇が起きています 。
ランキング上位の作品は、現在の読者ニーズには確かに応えています。
しかし、それが
・海外市場でも通用するか
・長期的に価値を持つか
とは別の問題です。
だから、出版社は探し方を変えた
ここが重要な転換点です。
出版社はもはや、「ランキングトップ」だけを見ているわけではありません。
むしろ今は、
ランキングでは見えにくいが、伸びる可能性を持つ作品に目を向けています。
つまり、
磨けば大きく化ける可能性のある作品を、
プロの手で育てるという発想です。
この違いこそが、ランキング時代との決定的な分岐点です。
この流れはどこへ向かうのか
出版業界の「本音」と、市場の二極化
ここまでの流れを踏まえて、少しだけ踏み込みます。
出版社は今、かなり強い危機感を持っていると予想されます。
そしてその危機感が、ビジネスの形そのものを変えようとしています。
① ランキングモデルは、もう“漁夫れない”
② でも、「世界で戦える作品(IP)」は欲しい
ここが、現在のwebサイトの状況と出版社のズレになっています。
結論:市場は二つに分かれていく
この流れの先にあるのが、「二極化」です。
ひとつは、
すぐに読めて、すぐ消費されるコンテンツ。
もうひとつは、
時間とコストをかけて育てられる、長く価値を持つ作品。
前者は、今までの延長線上にある世界。
後者は、これから出版社が本気で取りにいく20兆円市場の原石です。
これは単なるトレンドの移り変わりではありません。
「市場価値のシフト」です。
その中で、作家はどう生き残るのか
これからの創作の生存戦略
ここまでの話を一度、シンプルにまとめます。
今の市場は、
「すぐ消費される作品(ファスト)」と
「長く育てられる作品(プレミアム)」に分かれ始めている。
この前提に立つと、
これからの創作のアプローチの“仕方”が見えてきます。
それは、
自分がどこで戦うかを、先に決めること。
選択肢は、大きく3つになると思います。
戦略1:ファスト特化(短期勝負)
ランキング環境に最適化する戦い方です。
素早く脳に届くカタルシスを提供する
PV収益重視の設計。
メリットは、読者も収益も最短距離で獲得。
一方で、
将来的にはAIとの競合も避けにくい領域。
戦略2:プレミアム志向(長期勝負)
最初から「長く残る作品」を作りにいく戦い方です。
出版社が投資したくなるIPの骨格を提示する設計。
メリットは、当たれば大きく、
作家としての軸もつくれます。
ただし、結果が出るまでランキングやPVに
メンタルを削られ続ける暗黒期を耐え抜く必要があります。
戦略3:ハイブリッド(両取り)
最も難しいですが、現代的な戦い方です。
序盤は集客重視のファスト特化。
中盤からIPを意識した物語の深み。
たとえるなら、
入口は広く、奥に行くほど深くなる構造です。
ただし、
ミスるとどっちつかずで、どちらの読者にも届かない
悲しい結末に。
ここで大事なのは、どれを選ぶか
どれが正しいかではなく、どれを選ぶかです。
・早さを取るのか
・深さを取るのか
・両方を狙うのか
この選択を曖昧にしたまま書くと、
すべてが中途半端な作品になってしまいます。
だからまずは、
自分はどこで勝つのかを決めてください。
それが、この環境で戦うためのスタートラインになります。
結論:「誰」をクライアントとするのか
ここまで読んでくれたあなたに、最後に一つだけ伝えたいことがあります。
これからの時代、創作に本当に必要なのは、
「自分は今、誰に向けて書いているのか」を理解する視点です。
・今この瞬間の読者に届けるのか
・未来の編集者やプロデューサーに届けるのか
もしあなたが、
「丁寧に作ったのに評価されない」
「想いを込めたのに埋もれてしまう」
そんな経験をしてきたのだとしたら——
それは、あなたの作品の価値が低いからではありません。
“評価される場所”が違っていただけです。
少し前の話になります。
一時期交流のあった歴史創作の作家さんがいました。
ずば抜けた語彙力と表現力を持つ、まさに才能の塊のような方です。
けれど今のランキングでは、
読解力・理解力・想像力・思考力を総動員するような物語は、
どれほど優れていても評価されにくい。
その現実に押しつぶされるように、
その方は作者ページで苦しい胸の内を吐露したあと、
作品ごと姿を消してしまいました。
あれほどの才能を持つ方だったのに、と思うと今でも胸が痛みます。
もしあのとき、「もう少し頑張れば、あなたが評価される世界は必ず来る」と伝えられていたら──
もしかしたら、筆を折らずにいてくれたのかもしれません。
重厚な物語を、スピード勝負の場所に出してしまえば、
どうしても不利になります。
でもそれは、
戦い方の問題であって、才能の問題ではありません。
だからこそ、どうか届いてほしい。
脳をオーバーヒートさせながら
丁寧に編み続けているあなたの物語は、
「すぐに消費されるもの」とは、そもそも本質が違うということを。
そして今、出版の世界ではむしろ、
そうした“本質の強い物語”こそが求められつつあります。
だから無理に、
流行の型に自分を合わせて削る必要はありません。
最後に、私から改めて言わせてください。
だから、どうかその筆を折らないで。
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私は執筆のかたわらで
・Web小説市場の分析
・作家の生存戦略
・小説界隈の未来
について
これからも書いていきます。
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読んでくれたこと、心より感謝します。いただいたチップは真心と思い、大切にします。私は時間がかかりましたが、あなたが私よりもっと短い時間で、自分の人生を愛せるよう願っています。
