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「これ、地毛ですか?」と、生まれて初めて言われた

※このシリーズは、こちらのハブ記事からどうぞ。

※アーユルヴェーダを知らない人にこそ読んでほしい連載です。カタカナは意味を都度そえるので、わからなければ飛ばして、気楽にどうぞ。

前回の「脱シャンプー」の回で、わたしの髪人生を変えたのはヘナだった、という話を書きました。話すことが多すぎるから、と別の回に逃がしたやつ。今日はその、ヘナの話です。


「これ、地毛ですか?」

美容室で、そう言われたんです。

「これ、地毛ですか? きれいですね」

「きれい。」生まれて初めてでした。

四十年、パサパサでした。
染めて、傷んで、トリートメントを足して、また染めて。
美容室で言われるのはいつも「乾燥してますね」「傷んでますね」で、それはもう、そういうものだと思っていました。髪質だから仕方ない、と。

それが、地毛ですか、です。しかも、髪をいちばん見ている人からの言葉です。

車に乗るまで、平気な顔をしていましたが、ニヤニヤが止まりませんでした。

髪をよくしようと思って始めたわけではなかった

面白いのは、わたしがヘナを始めたのは、髪をきれいにするためではなかったことです。

白髪でした。それだけです。

アーユルヴェーダの先生がヘナ講座も開催してくれると聞いて、好奇心で受講しました。ヘナ=白髪染めのアーユルヴェーディック版、という理解です。

でも、ぜんぜん違いました。

ヘナは、髪染めじゃなかった

インドでヘナは、もともと髪を染めるためのものではありませんでした。

インドでは、手のひらや足の裏に塗って体の熱を取ったり、火傷や皮膚のトラブルの手当てに使われてきました。
暮らしのなかの薬草としての顔のほうが、髪を染める顔よりずっと長い。

インドで髪に塗るのも、もともとは染めるためではなく、頭皮を冷やして整えるためでした。
抗菌作用でフケや頭皮トラブルを防ぎ、髪をコーティングして保湿する。
色がつくのは、白髪に対してだけ起きる副産物です。

仕組みはこうです。
ヘナの葉にはローソンという赤い色素が入っていて、これが白髪に絡みついてオレンジに発色します。黒い髪は染まりません。
化学染料のように髪の中を脱色して色を入れ替えているわけではなく、絡みついて覆っているだけ。
だから染まると同時に、髪の一本一本が薄くコーティングされる。

つまり、わたしの髪が変わったのは、染めるつもりで使って、結果的にインドの伝統的な使い方(頭皮を整える・コーティングする)のほうが起きていた、ということです。

白髪を染めるつもりで使ってたら、結果的にヘナで髪がコーティングされ、強く、綺麗になったようにみえたんだと思います。
化学成分の髪染めは髪や頭皮が痛んでしまうのに、染めれば染めれるほどお得な気分になれる素敵なヘナ。


家で、ブッダ頭になる


やり方は、ヘナをお湯で溶いて、緑の粘土みたいにして、頭皮と髪に塗るだけです。

髪を頭のてっぺんでまとめながら塗ると塗りやすいと教わりました。
しかし塗り終わりは、お釈迦様の頭みたいになります。
あの、螺髪っていうんですか、ぶつぶつの。完全にブッダ頭。色的にも。
傍から見たら、やっぱり変な人です(このシリーズ、変な人ばっかりですね)。

でもこれが、ひんやり冷たくて、すごく気持ちがいい。
頭にヘナの緑を盛ったまま、しばらくぼーっとする時間が、なんだか好きなんです。

置いておく時間は、ヘナだけなら1時間。
わたしはそのあと一度髪を洗って、インディゴも重ねるので、ぜんぶで大体3時間。ブッダ頭のまま、お風呂に籠城します。

ちなみにこのブッダ頭、娘にはくすくす笑われながら「うんこ頭だ」と言われます。……ブッダ様にも、ヘナの生産者さんにも失礼だよ、と思いつつ、まあ、気持ちはわかる。

わたしがインディゴを重ねる理由

白髪にヘナだけだと、赤茶けた色になります。
このヘナの色、その人だけの色が出ます。
黄色っぽいオレンジの人もいれば、綺麗な赤になる人もいます。
私もどっちかというと魔女っぽい赤毛になりました。

ヘナを洗い流した後にインディゴ(藍染めの原料と同じ、ナンバンアイの葉)を塗ると、赤みが抑えられて、黒に寄っていく。
この2度染めで、真っ黒になります。

「インディゴのいいところ」というより、単純に、今はわたしが黒髪をかっこいいと思っているからです。

……と言いつつ、ちゃんと理屈もあります。
インディゴには殺菌効果があって、ジーンズの藍染めや柔道着の帯にも使われるくらいの素材です。頭皮を清潔にして、髪に栄養を与える働きもある。かっこいいから使っていたものが、ちゃんと頭皮にもいい仕事をしていました。

ハーブシャンプーの中身を、ちゃんと読んでみた

前回の脱シャンプー回でも触れたハーブシャンプー。
今回この記事を書くのに、改めて成分表を読み直しました。

入っていたハーブを並べるとこうです。

  • アンマロク果実(アムラ/アーマラキー)……抗酸化、髪の成長を促進、頭皮の若返り。ヘナの発色と色持ちを助ける

  • アカシアコンシナ果実(シカカイ)……フケ防止、頭皮・毛穴・髪の汚れを取る

  • アルニカ……血行促進、血液浄化

  • ツボクサ葉エキス……神経系統の働きを整え、心を落ち着かせる

  • センチフォリアバラエキス……収れん・消炎作用、女性のホルモンバランスを整える

  • ビャクダン木エキス……リラックス効果、消炎・鎮静作用、皮膚強化

  • そしてヘナ……保湿とトリートメント、白髪染め

シャンプーというより、ずいぶん贅沢な薬草のブレンドです。
泡は立ちません。

これを「洗う」と呼んでいいのかは、正直よくわからない。
どっちかというとトリートメントにちかい。
でも、続けた結果があの「地毛ですか」だったので、わたしは続けています。

インドでは薬、日本では白髪染め

こうして並べてみて思うのは、日本に来るときに、ヘナは名前を変えられたんだな、ということです。

インドでは暮らしの薬草として使われてきたものが、ここでは「ナチュラルな白髪染め」という棚に置かれている。
売り場としては、たぶんそれが正しい。
白髪を染めたい人はたくさんいて、草で頭を整えたい人はそんなにいないので。

アーユルヴェーダには、デーシャ(土地)とカーラ(時節)とサートミヤ(慣れ)に合わせなさい、という考え方があります。
土地が変われば、やり方は変わっていい。
だから白髪染めとして入ってきたこと自体は、悪いことではないと思っています。

ただ、わたしのほうは、3週間に一回のご褒美トリートメント(おまけで髪が黒くなってる)のつもりで使っています。

染める前に、知っておいてほしいこと

いいことばかり書いたので、始める前に知っておいてほしいことも。

いちばん大事なのは、一度ヘナ(特にインディゴ)で染めると、その後ほかの色に変えられなくなること。
明るいカラーにしたくても、なかなか入りません。
それから、パーマもかかりにくくなります。これは戻せないので、慎重に。

真っ黒にはしたくない場合は、ヘナとインディゴを混ぜて一度に染める方法もあります。割合を60:40や70:30にするとブラウンに寄りますが、髪質にかなり左右されるので、思った色になるとは限りません。

もうひとつ、天然のハーブでも体質によってはかぶれます。
初めてのときは腕の内側などで試してから(パッチテスト)。
そして「ヘナ」と書いてあっても化学染料が混ぜられているもの(ブラックヘナ)があるので、成分表示は見てください。

わたしが成分表を読み直したのは、記事を書くためでした。
頭に塗るものなのに、読んだのは何年も経ってからです。

先に読んだほうがいいです。


※これは個人の記録です。特定の効果を保証するものでも、診断や治療に代わるものでもありません。頭皮や体調に不安がある方は専門家にご相談ください。

90日間のアーユルヴェーダ実験、本編はこちら。

#アーユルヴェーダ #ヘナ #インディゴ #ハーブシャンプー #ディナチャリア #白髪染め #ヘアケア

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