四十年かけて、まゆみちゃんの髪になった話
※このシリーズは、こちらのハブ記事からどうぞ。
※アーユルヴェーダを知らない人にこそ読んでほしい連載です。カタカナは意味を都度そえるので、わからなければ飛ばして、気楽にどうぞ。
ここまでのディナチャリアは、白湯とか、舌磨きとか、「毎日やること」の話が多めでした。
でも今日は、ちょっとだけ毛色のちがう「毎日じゃないけど、わたしのケア」の話。その一本目は、髪です。
いきなり白状すると、わたし、いまは一週間くらい髪を洗わなくても平気です。フケも出ません。
……と書くと、だらしないと思われそうだけど、ここにたどり着くまでには、四十年ごしの、なかなか長い物語がありまして。
まゆみちゃんの髪
小学生のころ、近所にまゆみちゃんという女の子が住んでいました。
とにかく髪がきれいな子でね。
さらさらで、つやつやで。
子どもながらに、あの髪はいったいなんなんだろう、と思っていました。
しかもまゆみちゃんはお金持ちのおうちの子。
だから、きっと特別なトリートメントでも使ってるにちがいない。
そう思って、あるとき勇気を出して聞いてみたんです。
「まゆみちゃん、どうしてそんなに髪がきれいなの? なんか特別なことしてるの?」
そうしたら、まゆみちゃんはさらっと、
「ううん、石鹸で洗ってるだけだよ」
って。
衝撃でした。
特別なトリートメントじゃなくて、石鹸。
子ども心に、「じゃあわたしも石鹸で洗えば、まゆみちゃんの髪になれるんだ」と思ったわけです。
四十年、界面活性剤といっしょに
で、さっそく真似して石鹸で洗いました。
結果……わたしの髪、どっちかというと乾燥してパサパサの、傷みやすい髪質なんですね。
石鹸で洗ったら、ゴワゴワの塊。。。それはもう大変なことになってしまって。
それでも「石鹸だけで洗いつづけたら、いつかつるんってなるはず」と信じて何度かトライしたものの、子ども心に挫折。
そこからのわたしは、泡立ちのいい、界面活性成分たっぷりのシャンプーとトリートメントを、ずーっと使いながら大人になっていきました。
四十を過ぎるまで、ずっと。
まゆみちゃんの髪のことは、心のどこかに引っかかったまま。
フケ地獄
転機は、四十歳を超えたあたり。
ものすごい乾燥性のフケ症になったんです。一気に、頭皮全体を真っ白に覆いつくすほど。
本当に悩みました。
美容室で相談したら「たぶん乾燥ですね」と言われて、高いエイジングケア用のシャンプーとトリートメントを購入。
使うと一瞬は落ち着くんだけど……今度は油でベタベタしてきて、また別のフケが出てくる。
乾燥だと思って保湿すると、油でベタついて、また荒れる。この無限ループ。
しかも顔とちがって頭皮って、人には相談しづらいんですよね。
本気で参っていました。
「人間は、髪を洗いすぎ」
ちょうどそのころ、アーユルヴェーダの先生から「ヘナっていうのがあるよ」と聞いたんです。
そのときはフケと結びつかなかったんだけど、わたし、アーユルヴェーダに関係することならなんでも知りたい人なので、ヘナのインストラクターの講習を受けにいきました。
そしてその講習中に、先生がぽろっとこう言ったんです。
「そもそも現代人は、髪を洗いすぎなんだよ。もともと、人類はそんなに洗ってなかったんだから」
これが、ガツンときました。
フケをなんとかしようと「足す」ことばっかり考えていたのに、もしかして答えは「引く(洗わない)」なのかもしれない、って。
ちなみにその日は実際にヘナも体験しました。
ヘナパウダーを水で練って、頭皮に塗り込んでいきます♪
ヘナパウダーはモスグリーンの粘土の様になります。
それを頭に盛って、お釈迦様の頭みたいになるんですよ。
傍から見たら、また変な人です(このシリーズ、こういうの多いですね)。
でもこれが、毛穴がスッキリして、しかもヘナってひんやり冷たくて、すごく気持ちがいいトリートメントなんです。
ひらめきと、四十年ごしの「つるん」
ヘナはローソンという成分で、髪を一本一本コーティングしてくれるトリートメントだと先生が教えてくれました。
それを聞いて、講習の数日後、急にひらめいたんです。
「いま、ヘナで髪が強くコーティングされてるはず。ってことは……この状態なら、石鹸で洗ってもゴワゴワにならないんじゃない?」
「石鹸で洗ったら、まゆみちゃんの髪になれるかもしれない」
四十年前の、あのときの夢がよみがえりました。
で、おそるおそる石鹸で洗ってみたら──
つるん、でした。やった〜!
まゆみちゃんほどのツルツルではないけれど、ともかく指がすっと通る。
あの、子どものころ挫折した「つるん」に、四十年かけて、やっとたどり着いたんです。これには本当に感動しました。
でも、石鹸でフケは出た
ただ、話はここで終わらなくて。
例のフケ地獄、あれの正体は結局「洗いすぎ」だったんです。
自分の頭皮の油分の量と、シャンプー・リンスの洗浄力や油分がぜんぜん合っていなくて、そのミスマッチで出ていたものらしい。
で、わたしは石鹸を手作りしているんですが、これがけっこう洗浄力が高めなんですね。
だから石鹸で洗っても、やっぱりフケは出ちゃっていた。
「やっぱり、あんまり洗わないほうがいいんだ」
先生の言葉が、ここでもう一度つながりました。
石鹸でもシャンプーでも頻度を少なく。
いや、いっそ湯シャンでもいいくらい。
洗いすぎないこと。
そこで思い出したのが、ヘナ講習のときに知ったハーブシャンプーでした。
ハーブだから洗浄力はそこまで高くない。
でも天然の洗浄成分はちゃんと入っている。これ、ちょうどいいかも──と始めてみたんです。
今のわたしの、髪
いまは、3週間に一度ヘナトリートメントをしています。
一週間髪を洗わなくても、もうフケは出ません。
湯シャンだけでOK。
でも、なんというか……「髪を洗ってるつもり」になりたいので(笑)、ほぼほぼハーブシャンプーで洗っています。
オイルをつけすぎた日とか、ちょっと頭皮がベタつくなという日だけ、石鹸で。それでも、昔みたいなフケはもう出てきません。
髪の香りは、クエン酸のトリートメント(リンス)に、好きなアロマのエッセンシャルオイルをほんの少し垂らして。
あの、市販のシャンプーの強い香りじゃなくて、自然な香りを楽しんでいます。
まゆみちゃんの髪って、たぶんこういうことだったんだな、といまは思います。特別なことをしていたんじゃなくて、たぶん、よけいなことをしていなかっただけ。
四十年かけて、足して足して、こじらせて、最後にたどり着いたのが「引く」だったなんてね。
義務でゴシゴシ毎日洗うのをやめたら、髪のほうが自然の状態に戻った。
そんな感覚です。
あなたも、明日いちにちくらい、髪を休ませてみませんか。
案外、平気かもしれませんよ。
(ちなみに、わたしの人生を変えたヘナについては、話すことが多すぎるので、また別の回でじっくり。いいヘナの選び方も、そこで。)
90日間のアーユルヴェーダ実験、本編はこちら。
