[都市伝説的考察] 日本神話新説⑧ スサノオの試練【独自解釈】
因幡国の八上姫と婚姻を結んだオオナムチ。その後、執拗な八十神たちの攻撃にあいますが、命からがら生き延びます。
オオナムチは母親のツテを辿り、出雲国のカミムスヒの元へ身を寄せていました。
今回は、「カミムスヒ」と「スサノオ」の激しい対立に巻き込まれた、オオナムチのその後に迫って行きます。
1. スセリビメ
[神話の展開]
オオナムチが「根の堅洲国」に到着すると、スサノオの娘であるスセリビメと出会い、二人はまたたく間に恋に落ちます。しかし、報告を聞いたスサノオは、オオナムチを一目見るなり「こいつは葦原色許男だ!」と吐き捨て、歓迎するどころか命を脅かす試練を課し始めます。
💡[新説]
実は、スセリビメはスサノオの娘ではありません。出雲の最強勢力「カミムスヒ」の娘です。近年は、スサノオとカミムスヒの戦いが激化しており、スセリビメは人質に捕らわれていました。
一方で、オオナムチはこの頃、カミムスヒ軍の一端を担っていました。オオナムチの目的は、人質となったスセリビメを奪還することでした。(この時点でオオナムチは、スサノオにもスセリビメにも会っていません)

スサノオがオオナムチを「葦原色許男」と呼んだのは、「外国人」を指す言葉です。一目見るだけで分かる外見。スサノオに報告された言葉でした。
2. 第一の試練:「蛇の室屋」
[神話の展開]
スサノオは、オオナムチを毒蛇がうごめく部屋に閉じ込めます。絶体絶命のオオナムチでしたが、スセリビメから密かに授かった「蛇の比礼」という布を3回振ることで、蛇たちを眠らせて生き延びました。
💡[新説]
スサノオの部隊には「生き物」の名前が付けられていました。今の軍隊にもコードネームってありますよね。その様なイメージです。ということは、ここで現れたのは、スサノオ軍の「ヘビ」部隊です。
「比礼」とは「裏切りの目印」です。カミムスヒ軍は、秘密裏にスサノオ軍の調略を進めていました。多くの部隊を味方に引き入れる準備ができていたのです。

「比礼」を提示された「ヘビ」部隊は、攻撃を止め、オオナムチを素通りさせたのです。
3. 第二の試練:「百足と蜂の室屋」
[神話の展開]
翌晩、スサノオはオオナムチを百足と蜂が飛び交う部屋に入れます。ここでもオオナムチは、スセリビメから授かった「百足・蜂の比礼」を振ることで、虫たちの攻撃を避けて生還しました。
💡[新説]
オオナムチは、ここでも「比礼」を提示します。多くの部隊がいましたが、「ムカデ」部隊と「ハチ」部隊が、スサノオを裏切ります。ここを通過したオオナムチ隊は、とうとうスサノオ軍と対峙します。
4. 第三の試練:「広野の鳴鏑」
[神話の展開]
スサノオは広大な野原に「鳴鏑(音の鳴る矢)」を放ち、オオナムチに拾いに行かせます。オオナムチが草むらに入ると、スサノオは野原に火を放って焼き殺そうとしました。絶体絶命のなか、足元に現れたネズミの導きで地下の穴に隠れて生き延び、ネズミが持ってきた鳴鏑を手にして帰還しました。
💡[新説]
オオナムチ軍は、圧倒的なスサノオ軍と対峙します。スサノオは、捕らえていたオオナムチ隊の捕虜を囮にします。(鳴鏑=捕虜)
オオナムチ隊が、捕虜を保護するために草原に入ると、スサノオ軍は「火矢」を放ちました。草原は大炎上。オオナムチの部隊は退路を断たれ、壊滅寸前に追い込まれました。
この危機を救ったのが、「ネズミ」部隊でした。彼らは地元民しか知らない、抜け道へオオナムチたちを引き入れて逃がしました。

さらに、囮にされた捕虜をも保護して、オオナムチに引き渡してくれたのです。
5. 第四の試練:「頭の蜈蚣とり」
[神話の展開]
スサノオはオオナムチを自室に呼び、頭のシラミ(実際はムカデ)を取るよう命じます。オオナムチは、スセリビメから渡された「ムクの実」を噛み砕き、「赤土」を口に含んで吐き出すことで、ムカデを噛み潰しているように見せかけました。スサノオは彼が自分に忠誠を誓っていると勘違いし、安心して眠りに落ちます。
💡[新説]
オオナムチはスサノオの本拠地に辿り着きます。スセリビメの幽閉場所へ急ぎます。そこを守っていたのは「ムカデ」部隊です。先ほども登場して、「比礼」により裏切っ部隊です。
「ムカデ」部隊は、スサノオに嘘の報告をします。火攻めで生き残ったオオナムチ隊は、「赤い血(アカイチ=赤土)」を流し、「骸(ムクロ=ムクの実)」になっていると。
それを信じたスサノオは、警戒態勢を緩めてしまいます。
6. 駆け落ち
[神話の展開]
スサノオが眠ると、オオナムチはスサノオの髪を柱に結びつけ、スセリビメと逃亡します。その際、スサノオの「生大刀」「生弓矢」、そして「天の沼琴」を奪いました。しかし、逃げる途中で琴が樹に触れて大きな音を立ててしまい、スサノオが目を覚まします。
💡[新説]
オオナムチは、人質であったスセリビメを無事に救出します。その際、「アメノヌゴト」という女性を連れ去ります。この「アメノヌゴト」は、琴ではなく、歴史上とても重要な人物です。その素性は別の機会に…。
連れ去られた「アメノヌゴト」を必死に探すスサノオは、しばらくの間、動きがとれませんでした。しかし、琴の音が鳴るように「アメノヌゴト」が叫び声をあげると、スサノオ軍はそれに気づきました。
瞬時に軍をまとめ上げ、オオナムチを追いたした。

ちなみに「生大刀」と「生弓矢」とは、生まれたばかり、つまり作られたばかりの大刀と弓矢です。オオナムチは、多くの武器も手に入れました。
7. 大国主
[神話の展開]
目覚めたスサノオは怒り狂って追ってきますが、国境である黄泉比良坂で追跡を断念。遠ざかるオオナムチに対し、「奪った大刀と弓矢で八十神を追い払え!そしてお前が『大国主』となってスセリビメを正妻に迎え、立派な宮殿を建てるのだ!」と叫び、大義名分を与えました。
💡[新説]
スサノオは自ら軍勢を率いて、オオナムチを追います。オオナムチは、必死にカミムスヒ領を目指します。国境まで行けば、カミムスヒの屈強な大軍が守備しているのです。
やっとの思いで国境に辿り着くと、スサノオは大軍を警戒して、追うのを断念しました。
もちろん神話にある、この時のスサノオの言葉は創作ですが、まるでスサノオが全ての権限を認めたようになっています。
実際には、主筋に当たるカミムスヒにより、「大国主」の地位を与えられたのです。理由は、娘のスセリビメを救ったことと、その後正式にスセリビメを正妻に迎えたためです。つまり、カミムスヒの後継者になったのです。

その軍事力をも手にしたオオナムチは、手に入れた大刀や弓矢を使って、因縁の八十神を倒します。
8. まとめ
オオナムチは「大国主」の地位を手に入れ、とうとう出雲国の跡継ぎになりました。今後は、オオナムチなりの国作りを進めて行くことになります。
ちなみに、出雲国風土記にオオナムチが出てこないのは、スサノオの出雲国とは違う国だからでしょう。
