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夜のブランコ 6

「はい、長い机の上に教科書とドリルを並べました。みんな一冊ずつ取って自分の机に積んで下さいね!」
教壇と長い机をくっ付けて並べた上に、
国語、漢字ドリル、副教材
算数、計算ドリル、副教材
理科、社会、家庭科、図工、音楽と、習字のお手本帳
厚みも、副教材も一、二年の時より増えているので荷物は山盛りだ。

「みんな、全部もらったか確認しまーす。」

紘子は自分用の教材をひとつひとつ持ち上げながら確認すると

「三年生になると音楽の時間にリコーダー。教科書の中に習字のお手本帳があったと思います。習字も始まります。おうちで揃えてほしい教材がありますのでプリントと今言った時間割配りますよー。」

なるべく大きな声でザワつく子ども達の注意を引く。後ろに回すように指示して、仲良しさん同士並んでいるいちばん前の席のこどもの机に、プリントと時間割を配って行く。
しっかり者の夏実が孝太郎くんを間に挟んで、廊下側の一列に
米原彼方
二年生から同じクラスになった
亘理智樹
関夏実
鈴木孝太郎
青木永美
4人の仲良しに転入生が組み込まれた。

さあて、うまくいったかな?

紘子は思いながら、班決めで揉めませんように。と願った。


教材の確認を全て終え、クラス委員を決める段になった。立候補者は居らず投票することになり、誰が誰に入れたかわからないように、わら半紙を小さく切り子ども達に配った。たたみ方も統一し、小さなお菓子の箱の中に仕舞わせて後ろの席に回し、いちばん後ろの子は隣の列の子に渡していく。
四列目のいちばん前の席の子が最後だ。
このままだと、いちばん上に置いてある紙がその子の紙だと思われるので箱を振ったり、逆さにしたりして本当に誰が誰に入れたかわからないようにした。

「さ。これで誰が誰にいれたのかわかりません。開票します。お手伝いに黒板に名前と数を書いて欲しいんだけど。誰か手を上げて!」

亘理くんが手をあげた。

「亘理くん、ゆっくり読むからお名前の下に『正しい』の正の字を一画ずつ書いていって。わかる?」

亘理智樹はうなづいて、チョークを握って用意した。

三人の生徒の名前が黒板に書かれ、下に「正」の字が書き足されていく。
紘子もこの三人が候補に上がるとふんでいたので、ゆっくりと読み上げてみんなに見せるように紙を広げ同じ名前が書かれたわら半紙を三つの小山に分けて置いていった。

クラス人数は22名、11名で半分だ。
黒板に書かれた名前は

安西寛人くん。
正義感溢れるたくましい長男坊。曲がったことが嫌いで誰かが困っていると真っ先にやってきて助けてやれる、頼りがいのある子だ。
この子が委員長になれば、クラスは曲がることなく一年間過ごせるだろう。

東沢春陽さん。
なにしろ、賢い。彼女がいると勉強のペースがどんどんあがっていき、皆学習意欲が湧いてくる。ただ、出来るがゆえに少々浮いている。
頭がいいのではなく、自分にあった勉強の仕方と人に努力しているところを見せない勤勉な子だ。

関夏実さん。
彼女の両親は子どもをまっすぐに育てることに長けている。家庭で出来る教育を模索しながら毎日をどれだけ楽しく、有意義に過ごせるか実践している。
押し付けではなく、夏実はその生活を楽しんでいる。彼女は「たのしい」を探しだす天才だ。

はじめのうちは拮抗していた名前の読み上げは、紘子の思っていた通り
関夏実、13票
安西寛人、4票
東沢春陽、4票
無記名、1票
計22票
圧倒的に、関夏実に決まった。

クラスの一年間の方針はこれでだいたい決まったようなものだ。


つづく

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