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夜のブランコ 7


自由に座っている今の座席をざっと見てみると
わりとうまい具合にバラけて班に出来そうだ。
と思った紘子は廊下側2列を
三人と二人。
二人と三人。
に分けて、一班と二班とした。
永美と夏実、それに転入生が同じ班になる。
窓側の二列が前後六人ずつ、三班と四班。
一班に亘理智樹
三班に東沢春陽、四班に安西寛人が居る。
ちょうどよいではないか。
仲良しさんはちょうどいいくらいにバラけて誰にも不公平が無さそうだ。
皆に意見を聞くと、「それでいい!」と明るく返事が返ってきてひとつ手間が省けた。
手間だ、手間だと言ってはならないことだが、「誰ちゃんと同じ班がよかった」とか「誰ちゃんとはイヤ」とかそれがないだけでストレスがなくていい。
各班にリーダーになる子が居り、班が回せればあとは自然にまとまっていくだろう。
最初の一手で間違うと修正するのがたいへんだ。

他の委員や掃除当番、係を決めて今日は午前中でレクリエーションを終わらせて明日から授業が始まる。
帰りの会をして子ども達が帰って行く。

「センセーサヨナラー!!」

廊下に出て皆を見送り一人一人に声をかけた。

「ダメよ、廊下は歩くの。」
「明日は水曜日よ授業の準備は水曜日のところを見てね。」
「はい。気をつけてね。」
「そこっ廊下でどつきあいしちゃダメよ。もう。仲良しねえ。」
「にわとりさん達によろしくね。」
「はーいっサヨナラー!また明日ね!!」
「ほら!まっすく前見て歩きなさい。転ぶわよ。」

いろいろな子どもが居る。
明るい子、おとなしい子、自己主張の激しい子
あまり話たがらない子、ケンカっ早い子、皆いいところと悪いところが混在していてそれぞれがチャーミングで愛おしい。
始まったばかりの新三年生を紘子は見送った。

教室に戻ると驚いたことに一人残っていた。

「あ、鈴木くん。どうしたの。帰らないの。何か聞きたいことがある?」

孝太郎は小さくうなづいて「教科書を全部置いて帰りたい。」と言った。
確かに重量は申し分ないほどあるが、体の小さな女の子もランドセルやサブバッグに分けて入れ、家に持ち帰っている。持って帰れない量ではないはずだ。

「どうして?」

紘子は聞いたが孝太郎は答える感じではなく、言いよどんでいる。
紘子は返事を待った。

「わ、忘れモノをしたくないの。」

それが、嘘かホントかわからなかったがどういう答えにするかは最初から決まっていた。

「だって、宿題とかお勉強の準備とか、教科書どうりしているんだから、手元に教科書がないと困るでしょ?持って帰ったほうがいいわ。」

強制ではないが、全部の教材を学校に置いておけるほど個人的に使えるロッカーや引き出しはないのでこればっかりは仕方ない。
孝太郎はあきらめたのか、ランドセルに教科書を入れて帰る準備をしている。
紘子が見守っていると、まだ何か言いたそうにしていたので少し迷ったが、本人が話たくなるまで待とうと決めた。

「鈴木くん。ゆっくり慣れればいいわよ。みんなイイコだから、大丈夫。ね?」

孝太郎がうなづいた。
ランドセルを背負っていると、廊下で声がした。
「孝太郎くん。一緒に帰ろ!」
夏実、永美、彼方の三人組だ。

「あら、三人とも戻って来てくれたの?」

孝太郎の家は夏実の家に近く、通学班はこの三人と同じとなる。きのうは母親の基子が送り迎えで一緒に行動しなかったが、夏実が家で孝太郎の家は近所だと聞いたらしく今日の帰りは一緒に帰ろうと決めていたらしい。

「みんな持った?」

永美が聞く。
孝太郎が「うん。」というと、彼方に背中を押され玄関まで競争しよう。との掛け声に二人が駆け出した。

「廊下は、走ってはいけませんよ!!」

紘子の声かけは無視され、四人の
「はあいっ!!」
と言う返事だけが廊下に響いた。


つづく

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#新三年生
#転入生
#夜のブランコ

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