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「しばらく赤ちゃんになります」宣言──大人の私に必要だった、ヨシタケシンスケの一冊

本屋で、私は爆笑していた。
大人たちが床でジタバタしている──ただそれだけの絵本に。

隣にいた、子連れのママらしき人が苦虫を噛み潰したような顔をしていたのに反して、私は吹き出した。もう、ツボだった。

ヨシタケシンスケの『しばらく あかちゃん に なりますので』。
大人が「もうムリ!」と宣言し、おしゃぶりをくわえて赤ちゃんに戻る。
社会の重さに耐えかねて、堂々と「子どもに戻る」大人たち。
その姿に、私は笑いながら、どこかホッとしていた。

でも、ひとつだけチクリと刺さる場面があった。
お父さんがおしゃぶりをくわえるシーンだ。
あれ?なんだこの苦い感じ──。
「お父さんらしさ」への勝手な期待? それとも、なんだか妙に“居心地の悪い気持ち”が湧いてしまったのか?

この絵本は、きっと試してくる。
あなたの中の幼児性を、どこまで許せますか?と。

笑えるか、引っかかるか。
それは、自分の中にある「甘えたい気持ち」や「もう大人でいなきゃいけない」という抑圧の量によって、反応が変わる気がする。

私は、最終的にこの本を買った。
たぶんこれは、お守りだ。
「たまには子どもに戻ってもいいんだよ」と、自分に許可を出すための。

家に帰ると、子どもたちは純粋にバカウケしていた。
大人の屈託なんてどこ吹く風で、ケタケタ笑いながらページをめくる。

それを横目に私は子供にいう。
「お母さん、たまには赤ちゃんになっていい?」
「いいよ。だって面白そうだもん。」

案外子どもというのは、大人以上に柔軟で寛容なのかもしれない。
いつか本当にどうしようもなくなったら、この絵本を開いてこう言おう。

「しばらく赤ちゃんになりますので」と。


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