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【2/24】ミュージック・マガジン1984年12月号における「坂本龍一/ 音楽図鑑」のクロスレビュー。「80年代の批評」とは概ね、こういうものです。

1984年10月24日にリリースされた「坂本龍一/ 音楽図鑑」についての「ミュージック・マガジン」の「クロスレビュー」の四者四様です。
このような感想が大手を振って歩いていたのが「80年代」という時代です。忖度だらけの現在の音楽雑誌と違って、80〜90年代の音楽雑誌は、とにかく思ったことを書くのが「是」という風潮だったので、言いたい放題の世界でした。

小貫信昭氏
スッキリと分かりやすいAB面。どれも細かい音のニュアンスを含んでいて、スッキリしているけど情報量が多い。最近の僕は、リズムよりハーモニーより、音色(ねいろ)そのものに感動することが多く、その意味でこのレコードは、非常に感動的なのだ。まさか教授がヒップ・ホップするとは思わなかっただけに、A1(注:「TIBETAN DANCE」のこと)には驚いたけどね。目のキラキラした少年が山で虫や花を採集して並べたようなーーーというアルバムコンセプトそのままの醍醐味だ。
点数9(高評価)

高橋健太郎氏
山下達郎の「クリスマス・イヴ」のインスト・ヴァージョンかと思わせる曲もあってビックリ。珠玉のポップス・インストゥルメンタル集と呼びたい。「たれ流しだよ」といっていたことも「聞き手にサービスしている」といったこともある彼だが、ここでは弾き出す音に自然体のバランスが感じられる。ミュージシャンの使い方もユニークで、かつ彼らしい愛情がこもっている。朝に心弾むA面を、夜に深い音の奥行きが覗けるB面を愛聴。
点数9(高評価)

鷲巣功氏
高品質を保証されてるからといって、誰にもしっくりくるとは限らない。ずっと聴いていると龍一が奥の方で「俺は音楽の事知ってんだぞう」と威張りたがってるのが見えてきて、何回かシラケさせられた。例えばイージー・リスニングみたいに流れて行くA面を、もっとあっさりと、勿体つけずにつくる事が出来たら良いのにね。ジャケットもタイトルも、余りに思わせぶりだ。無理矢理奇妙に装う必要なんてない。A1(注:「TIBETAN DANCE」のこと)はさすがにサカモトで、脱帽であるが。
点数6(低評価)

中村とうよう氏
新しいレコード会社からの第1弾でもある坂本龍一の新作ということで、何か新境地でも期待するような気持に、知らず知らずになっていたのだろうか。聴後感は、ナアーンダ、である。これまで彼の音楽でさんざん聞いてきたようなサウンド以外、何ひとつ出てこない。ただひとつ新鮮だったのはA2(注:「ETUDE」のこと)でのレイ・アンダスンのトロンボーン・ソロ。どうも坂本くんは自分のアルバムとなると芸大出の悪しき教養が足を引っぱり、つまらなくなるみたいだ。
点数5(低評価)

「音楽図鑑」は、当時最新のテクノロジーであったサンプリングや機材の「フェアライトCMI」の導入が制作の肝で、坂本自身は「音楽のインタラクティヴ性」を提言していた時期だったのだが、その辺りへの言及は一言もないという。いやはや、である。

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