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様式美

〜様式美から心をとったら?〜

…とある打ち合わせの光景

依頼者
 …会社のホームページがないって恥ずかしいことなのかな。
 「ホームページ作ってくれないかな?」

デザイナー
 …仕事の依頼だ!どんなホームページにしたいのかな。
 「あ。はい。出来る範囲であれば。取りあえず原稿をいただけますか?」

依頼者
 …何言ってんだ?そんなもの書いてる暇がないから頼むのに。
 「原稿?そんなものないよ。」

デザイナー
 …え?じゃあどんなホームページを作りたいんだろ?
 「…それはちょっと難しいですね〜。」

依頼者
 …見栄えが良けりゃいいんだってば。
 「なんか適当にインターネットで拾って出来るでしょ。」

デザイナー
 …ん?著作権があるし、素材を購入して使えってこと?
 「えっと…ご予算は?」

依頼者
 …バカじゃないのか?金がないから頼んでるのに。
 「ないよ。」

デザイナー
 …ただで…何ををどうしろと?これは仕事でなくて趣味?
 「え?素材を購入するにしても費用が発生するので。」

依頼者
 …メンドクサイなぁ。結局、金の問題かよ。
 「じゃあさ、いくら出せば魅力的なホームページが出来るの?」

 問題ありありな会話が繰り広げられるのは珍しいことではないのでしょうか。

「中身がちゃんとしてれば、テクニックなんていらないんだよ。」
 そんな趣旨の記事を目にして心底「そうだよなぁ〜」って思ったのです。

 デザイナーとしては三流すら怪しいボク風情が「ここがおかしい」なんて言うこともどうかと思います。そういうボクがやらせていただける仕事ならありがたく請けるべきとも思います。
 ただ、「中身がちゃんとしていれば」という点が非常に難しいのです。何しろ自分でその事業を手がけているわけでもなんでもないわけですから、理解することから始めなくてはならないでしょう。そのためには多くの時間を費やして一緒に作り上げて行くようにしなくてはどんなに美しくても完成形はただのハリボテ。人通りのない荒野に立てられた役に立たない看板となってしまいます。原稿をお願いすると言うのもその事業に込められた想いであるとか今後の展望を掴むために必要と考えています。原稿と言っても手書きのラクガキでも構わないわけです。そこから何か汲み取れるものがあってイメージを広げるきっかけが欲しいだけなのですから。何もない状態では可能性ばかりが無限大に広がって絞り込みも出来なければ掴み所もありません。かといって他のサイトを参考にと言われるのも困ってしまいます。似たモノを作って独自性のないサイトに何の意味があるでしょう。
 無論、原稿がなくとも取材出来る機会があればその記事から原稿を起こすことも可能だと思います。それがホームページに限らずデザインの骨子になる部分だと思うのです。
 それが期待出来ないとなれば…既に骨抜きです。

「出来る範囲なら…」とは技術的な問題に対応出来るかどうかということの心配があります。仕事となれば、それから勉強している場合ではないわけで、今出来る精一杯で取り組むことになります。特にWebデザインはプログラムとの関係性もあり、デザインや写真、イラスト、プログラムなど分業出来ない場合はひとりで全部を手がける必要があります。そのため出来ないこともあることを自覚しておく必要があるのです。

「適当にインターネットで拾ってやっちゃって」なんていうのは、著作権への配慮が足りないばかりか制作者の人権すら無視しています。中身がないのにパッケージで何とかなると思っているからでしょうか。そしてそれはデザイナーの腕次第だと…。

 安価で素材が手に入れられる時代です。場合によっては無料の場合だってあります。でも、それだけで魅力あるサイトが出来るのでしょうか。
 言うまでもなく大切なのは中身なんです。

 想いの込められたプレゼントがあるならパッケージは100円ショップだっていいかも知れません。むしろ手作りの包装の方が想いが伝わるかも知れません。

「いくら出せば魅力的なホームページが出来るの?」
 魅力は中身にかかっている筈なのです。いくらお金を積まれてもデザイナーが何とかできるレベルとそうでないレベルがある…とボクは思うのです。
 逆に言えば、中身さえ魅力があれば自作のホームページだって充分ではないでしょうか。
…こんなことを考えているからデザイナーとして三流以下なんでしょうね。
 中身と言っても自分のことはなかなか見えないものです。そこでデザイナーと打ち合わせを重ねて魅力にスポットを当てることは可能だと思います。急がずに夢を語ることから始めて見るのもいいかも知れません。そしてそのためにこれまで取り組んで来たことを思い出してみます。これだけで何となくイメージが浮かんだりしないでしょうか。これからやるべきことが見えて来て、デザインに必要な素材が何であるかが見えて来るかも知れません。こう言うやり取りは組織の長である方でないとなかな難しいのかも知れませんね。
 つまり、時間と手間がかかるんです。

 想いを形にするのがデザイナーの仕事なら、想いがないのに形にすることはできない…と言えるでしょうか。

 技術大国と言われた日本はその技術を海外に流出させ、今や技術者までが海外へ流出しているとか。

 様式美を讃えられる日本文化は様式の中の美の心を忘れて形式だけになっていないでしょうか。海外に流出しないもの…それを忘れてしまっていないでしょうか。

…と、少しスケールの大きな話をしましたが、要するに中身が大事ってことですね。

もくじ |  随想 


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