憧れの景色
思えば、長い道程だったな…と。まだゴールもしてないのに思うのです。
気がつけば200ページ目のノートになりました。1ヶ月も経ってないわけですからなかなか良いペースのような気がします。
小学校低学年の頃、クラスにはガキ大将的な暴れん坊がいました。そしてラクガキの上手なクラスメートにラクガキを描かせて喜んでいました。描かされる方はもう嫌になっているようでしたが、彼がラクガキを描くと彼の周りにはいつも人だかりが出来ていました。
ラクガキ…そう、たぶんそれはまだ漫画にもイラストにもなっていなかっただろうと思います。それなのに先が丸まってしまった彼の鉛筆の芯から繰り出される魔法のような線は、小学生の心を捉えるには充分だったのです。
ボクはラクガキに人を惹きつける力があることを知りました。
そしてボクもラクガキをするようになりました。
教科書にもノートにも。
アニメや漫画の模写はあまりしなかった気がしますが、好きな女のコが出来るとそのコの表情を目視でデッサンするようになりました。そして自宅に帰ってから記憶を辿って似顔絵にします。当時の力量では捉えられない表情の動き、髪や睫毛が教室に射し込む光に輝く様子…子供だからこその美しさをみんなが持っていた頃です。
中学生になって先生に「ラクガキ帳を持って来て良いですか?」と尋ねた時、「お前いくつになったんだ?」と言われたことを憶えています。
家庭でもラクガキばかりしているボクにそろそろ風当たりが強くなり始めていました。夜な夜なラクガキをしていたら「早く寝ろ!」と父に叱られ、それでも描いていたらブレーカーごと電源を切られてしまったこともありました。それでも真っ暗な部屋の中でラクガキを続けたい衝動を抑えられませんでした。
いつしかボクは漫画家を夢見るようになりました。それはもしかしたら風当たりが強くなることに反抗していただけだったのかも知れません。自分の夢を守ろうとひたすに身を固くしていました。真面目な生徒でいればラクガキくらい容認してもらえるだろうと思っていた節もあります。
けれど、漫画として何を描いたら良いのか、何を伝えるのか、何を表現したいのか…高校を卒業する頃になっても見えませんでした。
そして…社会に出ることを選んだのです。
あの社会へ船出した日から瞬く間に時は流れ、漫画家になりたいと言う夢は、いつしか絵描きなりたいという夢に変わり、そしてイラストを描くようになりました。
この歳月の間にボクという器の中に蓄積された経験は、いつしか何かの意味を持つようになり、伝えるべきこともぼんやり解ったような気がしたこともあります。そして、それは伝えなくても良いことだと言うことにも気がついてしまいました。
今また漫画を描くと言う機会に恵まれ、これから何を描くべきなのかまだ迷っています。
それでも子供の頃のボクに伝えたいのです。
「とりあえず夢を形にしてみるよ。」
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