生命の源泉
〜関わり〜【4】
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子どもの頃の友だちの中に農家の息子がいました。
彼の家にも何度か遊びに行ったことがあります。
遊び場と言うと彼の家の田んぼだったわけですが、そこで何をするかと言うと田んぼのあぜ道でザリガニを捕るのです。ボクはザリガニを手づかみなんてしたことがなかったので彼に捕まえ方を教わりました。
あぜ道をよく見ると田んぼの水面との境目当たりに穴が開いてる所があります。直径で言うと3〜5センチくらいでしょうか。その穴に手を突っ込んでザリガニを捕まえると言うのです。当然ながら外からザリガニの姿は見えませんし、ザリガニではなくヘビがいる可能性だってあるのではないかと思いました。けれど、彼はそのままザリガニ捕りを始めてしまったのでボクはボクでやってみるしかありません。今だったら恐くて出来ませんが、子どもの頃のことなので勇気と言うより恐いもの知らずです。
さて、少し探してみると穴が見つかったので、おっかなびっくり手を入れてみます。
穴の中は水が満水でひんやりとした泥がヌルヌルします。それでも奥へ手を進めると固い尖ったものが指先に当たりました。ザリガニはハサミを前方にしてバックで穴の中に潜んでいるのです。不用意に捕まえると挟まれてしまうと思ったので穴の中で手を少し開きながら挟まれないように外側からハサミを捕まえます。そして逃げないようにしっかり掴んだら、ゆっくり穴の外へ引き出します。
こんなテクニックは他には何の役にも立ちませんね。
一度コツを憶えるとザリガニの穴は次々に見つかりました。そして面白がって次々に捕まえていたのですが、今考えてみるとあれはもしかして田んぼのザリガニ駆除に一役買っていたのでしょうか。子どものことですからそんなことは知る由もなく、ビニール袋一杯に捕まえたのです。そのうち赤っぽいザリガニはアメリカザリガニだと思い、彼に譲りました。遊ばせてもらったお礼のつもりです。そして灰色したザリガニだけを持ち帰りました。
ザリガニには赤く立派なアメリカザリガニと灰色してちょっと地味な感じのニホンザリガニがいると聞いていました。ボクは持ち帰ったザリガニはニホンザリガニだと思っていたのですが、ニホンザリガニは北日本にしか生息していないそうです。ほとんどアメリカザリガニなんですね。
持ち帰ったザリガニを見た母は困惑していたような気がします。ボクにしてみればいくらか遠慮して持ち帰ったわけです。それでもビニール袋一杯のザリガニは多すぎます。そして翌日には全滅。
かくして田んぼのザリガニ駆除の任務は見事遂行されたようでした。
ところで、田んぼで一緒に遊んだ彼は中学生になって実に成績優秀でした。帰宅する方向が近かったので時々一緒に帰っていました。
卒業を間近に控えていた頃、ボクは好きな女のコがいました。噂では田んぼで遊んだ彼とつきあっているとか。彼からは当然そんな話は聞いてませんし、ボクが好きだと言う気持ちには関係ないと思っていました。好きな女のコとは進む高校も違うし…と思い、何とか気持を伝えることばかり考えていたのです。
ある日、意を決して彼女に想いを伝えて見事撃沈。
何だか清々しい気持ちで帰る道、彼が一緒でした。
「告白したんだって?」
もう知ってるのかと少し驚きつつ、平静を装って答えます。
「まぁね。」
すると彼が意外なことを言うのです。
「言ってくれたら、伝えてあげたのに。」
意味が解らなくて聞き返します。
「え?つきあってるとかって聞いたけど?」
彼は慌てて打ち消しつつ、また意外なこと言いました。
「つきあってないって〜。休みの日に映画とか買い物に一緒に行くだけだから〜。」
「それって…つきあってるって言わないの?」
この時好きだった女のコとは、後に思いがけない所で再会するのですが、そのお話はまた機会があれば。
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ご精読ありがとうございました。
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