不器用貧乏
〜才能がある人はいいなぁって思うこともあります〜
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でも才能のある人だって続けなければ宝の持ち腐れ。不器用だって継続する人は宝を磨き上げることが出来ます。
以前、派遣の仕事で工場に勤務したことがあります。
コンパクトデジカメのレンズだったり携帯電話用の小さなカメラだったり半導体のウェハーの加工だったりということを経験しました。
絵やイラストを描いたり写真を撮ったりしていると「器用でいいね〜。」とか「才能があっていいね〜。」と言われることがあります。
とんでもない。ボクは不器用でとても時間がかかるんです。ただ、その不器用な自分も楽しいじゃないかと思います。
工場で精密部品を組み立てていたりすると予想以上に手作業があります。ロボットや機械を導入すると莫大なお金がかかるため、可能な限り人力で対応するわけです。だから、実は市販品にも規格許容範囲内で個性があります。こう言う所で働くと器用とか不器用という差が如実に表れます。
器用な人はとにかく仕事が速いです。そして飽きるのも早い。
才能があるのにその才能を伸ばすことには興味がない。チーム制で仕事をしていても自分の分担が終わると手を止めてしまいます。その割に面倒な仕事は避けて放り出したりするので、ボクはその仕事を拾ってコツコツ続ける役割でした。だって面倒な仕事って楽しいです。
その実、ボクは手が遅いので他の人にカバーしてもらったりするわけですからチームワークが成立するわけですね。やがてボクが面倒な仕事を引き受けることはチームに周知されるようになりますから、面倒なことがボクに集中するようになります。不器用貧乏の悪循環に陥るわけです。

ある時、小さな部品に小さなテープをピンセットで巻かなくてはならない仕事がありました。ボクと同期の二人で担当したのですが、同期の彼はとにかく手が速いのです。出来たものを見せてもらうと巻いたテープにズレや傾きがあるのです。それも規格許容範囲内で。
ところがボクと来たら規格許容範囲内でもきっちりズレも傾きのないものを作りたいわけです。こういう仕事をするので「芸術品作ってるわけじゃないんだから、適当でいいんだって。」なんて言われるわけです。
彼は派遣で働いて貯めたお金で海外を旅するのだと言っていました。それまでもバックパッカーとして旅をしていたらしいです。取りあえず100万円貯まったら、次はラスベガスに行くと言っていました。
そして彼は早々に退職して行きましたが、彼を見送るボクらの態度が冷ややかになってしまったことは否めません。器用な彼が抜けた後に残る日々が憂鬱にさせるのです。彼は何にも悪くないのに…あ、口は悪かったっけ。
今頃どうしているのやら…。
天才肌の人がその才能を伸ばそうとした時を考えると目眩がしそうです。ボクなんて足下にも及ばないでしょう。でも、天才肌の人は賢かったりするので、そうすると自分だけに仕事が集中することを身体で知っているのでしょう。器用貧乏に陥らないよう適当な所で投げ出してくれます。
才能という宝を腐らせるのか磨くのか。そして磨いた宝をどこでどんな風に輝かせるのか。不器用なボクは小さな宝を磨きながら考えるのです。
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