異世界ミートリア【番外編⑥】 〜光の中で見つかるもの
【番外編について】
異世界ミートリアの本編から少し離れた、番外編ストーリーです。舞台は、ミートリア王国ではなくキラキラ輝く南の島。
たかっち社長、みーちゃんP、ヒロパンダ、まきマネの4人は、黄金のパンツを探す「パンツ海賊団」として冒険しています。
海岸でアララちゃんの「黄金のパンツ」(実はクラゲの名前)を見つけたパンツ海賊団。けれど、たかっち社長の探している黄金のパンツは、まだどこかにある気がする……。
一夜明け、朝になりました。
黄金のパンツは、見つかるの!?

番外編
パンツ海賊団と黄金のパンツ
⑥光の中で見つかるもの
ここは、MT Land……のはずでした。
前回のお話の続きです。
翌朝。
たかっち社長が目を覚ますと、
窓からは、やわらかな朝の日差しが差し込んでいました。
「……朝ですか」
たかっち社長は、ゆっくり体を起こしました。
ベッドに座り、ぐっと背筋を伸ばします。
「今日こそ、黄金のパンツを見つけましょう」
そう言って立ち上がろうとした、そのときです。
たかっち社長は、ぴたりと動きを止めました。

「……あれ?」
周りをきょろきょろと見回しました。
木の壁。
白いカーテン。
ふかふかの布団。
「ここは……パンダ丸ではありませんね」
たかっち社長は、急いで窓の外を見ました。
そこに広がっていたのは、
MT Landの海ではありません。
見慣れた、ミートリア王国の朝の景色です。
「ここは、ミートリア王国……?」
たかっち社長は、あわてて外へ飛び出しました。
庭では、
ぽんたままさんが洗濯物を干しています。
白い布が、朝の光を受けて、
ふわりと風に揺れています。

「おはようございます、たかっち社長。
よく眠れましたか?」
ぽんたままさんが、やさしく声をかけました。
「お、おはようございます。
あの……ここは、ミートリア王国の宿ですよね?」
「ええ。もちろんです」
ぽんたままさんは、
不思議そうに首をかしげました。
宿屋の庭には、
まきマネ、みーちゃんP、ヒロパンダの姿もありました。

「みなさん!」
たかっち社長が声を上げると、
まきマネが振り返りました。
「おはよう、たかっち社長。いい朝だね!」
みーちゃんPも、静かにうなずきます。
「おはよう」
ヒロパンダは、腕を組んで言いました。
「腹が減っている、朝食に行こう」
「それより!」
たかっち社長は、真剣な顔でたずねました。
「黄金のパンツはどこですか!」

まきマネが、ゆっくり首をかしげます。
「……なんのなはしですか?」
たかっち社長は、真剣な顔で言いました。
「昨日、みんなでMT Landへ行ったでしょう。
パンツ海賊団の船、パンダ丸で!」
みーちゃんPが、首をかしげます。
「パンダ丸?」
ヒロパンダも、腕を組みました。
「知らないな。ミートランドなら興味がある」
「肉のテーマパーク!いってみたーい!」
まきマネも、おそらくお腹がすいています。
たかっち社長は、さらにあわてます。

「……黄金のパンツという名前のクラゲ、
見つけたではありませんか!」
まきマネは、目をぱちぱちさせました。
「たかっち社長、すごい夢を見たのね」
「夢……?」
たかっち社長は、ぼうぜんとしました。
それでも、
案内人のぱぱおさんに出会ったことから、
足跡とお嬢、種と花の冠、雨の中で聴こえた歌、
虹の海岸、流れてきた瓶、
そして黄金色のクラゲ、
美しい夕暮れの景色のことまで、
たかっち社長はMT Landでの出来事を一気に話しました。
話を聞き終えたみんなは、
しばらく顔を見合わせました。
そのとき、庭のすみから、
やわらかな声が聞こえました。
「MT Landなら、本当にありますよ」
みんなが振り返ると、
そこには全身真っ赤な服を着た女性が立っていました。

彼女の名前は、華子さん。
ミートリア王国でも知られている、有名な小説家です。
まきマネが、目を丸くしました。
「MT Landを知っているんですか?」
そのとき、華子さんの目が、きらりと光りました。
「チェック」

華子さんは、手をひたいにかざして、
赤いものを探すように庭を見回しました。
「チェッカー」

今度は、指を二本立てて、
みーちゃんPとヒロパンダの持ち物をすばやく確認します。
「チェッケスト」

最後に、人差し指をぴんと立てて、
満足そうにうなずきました。
「……レッドチェッカー華子です」
「チェックチェッカーチェッケストって
ポーズ付きなのね!?」
まきマネが興奮気味に言うと、
華子さんは何事もなかったように続けました。
「ええ。MT Landは、キラキラした南の島ですよ。
海も、虹も、そこで出会う人たちも、物語にしたくなるくらい美しいの」

たかっち社長の目が、ぱっと輝きました。
「やはり、夢ではなかった!」
華子さんは、ふっと微笑みました。
「夢かもしれないし、夢ではないかもしれません。
でも、本当にありますよ。MT Landは」
そして、華子さんは、やさしい声で言いました。
「海ってつないでくれるから」
「海がつなぐ?」
まきマネが、聞き返します。
「遠くにあるものと、近くにあるもの。
昨日のことと、今日のこと。夢と現実。
そういうものを、海はそっとつないでくれるの」

みーちゃんPが双眼鏡を握りしめていいました。
「….つないでくれる海」
華子さんは、少しいたずらっぽく笑いました。
「よかったら、わたしの小説、『つなぐ海』も読んでみてくださいね。すごくおすすめです」
「わぉ!さりげなく宣伝した!」
まきマネは、すかさずつっこみながらも
心の中では、さすが華子さん、
“つなぐ海”を書いた小説家だなぁと感心しました。
そのときです。
たかっち社長のポケットから、
ひらりと小さな紙が落ちました。
みーちゃんPだけが、それに気づきます。
「……メモ?」
拾い上げた紙には、
聞き覚えのある言葉が書かれていました。
『探しものは、光の中で見つかる』
みーちゃんPが読み上げると、
たかっち社長が息をのみました。
「海岸で……葛飾さんからもらったヒントです……!」

まきマネも、目を見開きました。
「え! じゃあ、やっぱり夢じゃないの!?」
ヒロパンダは、真剣な顔で腕を組みました。
「むぅ……昨日は、眠れない森のコトノハで森鹿の干し肉のお粥を食べた」
「そうよね、みんな一緒だった」
まきマネが言いました。
ヒロパンダは、ぐぅっと腹を押さえました。
「とにかく今、はっきりしているのは、
私の腹が減っているということだ」
「そこは、いつもはっきりしてるわね」
まきマネが、笑いながら言いました。
すると、ぽんたままさんが、
みんなに向かって言いました。
「なんだか、みなさん楽しそうね」
ぽんたままさんのそばには、洗い立ての白い布の香りが、ふわりと漂っていました。

「みなさんは昨日、
眠れない森から戻ってきたとおっしゃっていましたよ」
「……ではなぜ」
たかっち社長は、葛飾さんからもらったヒントを見つめました。
ぽんたままさんは、やさしく笑いました。
「夢だったのか、本当に行ったのかは、わかりません。でも、受け取った言葉は、ちゃんと今日につながっているのかもしれませんね」
「今日に……」
たかっち社長が、小さくつぶやきます。
ぽんたままさんは、
洗い立ての白い布を手に取りました。
「今日の小さな出来事も、
ちゃんと未来へつながっていくんです」
そう言うと、白い布をぱん、と広げました。
朝の光を受けて、白い布がふわりと風に揺れます。
そのときです。
洗濯物の隙間が、きらりと光りました。
たかっち社長の目が、ぴたりと止まります。
物干し竿に干された、
一枚のパンツが、まぶしく輝いています。

「黄金の……パンツ……」
たかっち社長は、ゆっくり近づきました。
パンツの妖精も、ふわりと飛び出します。
妖精の光が朝日に重なり、
パンツはさらにきらりと光りました。
「ついに……見つけました」
まきマネは、
そっと近づいてパンツを見ました。
「……これ、黄金じゃないね」
みーちゃんPも、静かにうなずきます。
「うん、白いパンツ」

ぽんたままさんが、にこにこ笑います。
「朝の光を受けて黄金に見えたのかしら」
華子さんも、やさしく目を細めました。
「いつものものでも、
特別に見えるときってあるのよね」
たかっち社長は、
ヒントをもう一度見つめました。
『探しものは、光の中で見つかる』
まきマネは、はっとしました。
「本当に、光の中で見つかった……」
みーちゃんPは、双眼鏡をそっと握りました。
そして、華子さんとぽんたままさんを笑顔で見つめます。
「……輝くふたりも見つけた」

みーちゃんPは、小さく言いました。
「華子さんは、物語で記憶と今をつなぐ人」
華子さんは、嬉しそうに微笑みました。
「ぽんたままさんは、日常で今と未来をつなぐ人」
ぽんたままさんも、少し照れながらやさしく笑いました。
「それ、記録しておきたい!」
まきマネは、ぱっとノートを開きました。

『記憶と今と未来、全部がつながっている。
黄金だから宝なのではなく、
光に気づけたときに宝になる。
黄金のパンツ発見。白いパンツも宝になる』
記録完了!
たかっち社長は、
朝日に輝くパンツに深く頭を下げました。
「認めます。
黄金のパンツ、たしかに見つけました」

「たかっちくん、白だ!」
ヒロパンダは、すかさず言いました。
みんなの笑い声が、
ミートリア王国の宿の庭に広がりました。
朝の光は、洗濯物をきらきら照らしています。

夢だったのか。
本当にMT Landへ行っていたのか。
それは、誰にもわかりません。
けれど、たかっち社長の手には葛飾さんのメモがありました。
そして目の前には、光の中で見つけた白いパンツが輝いています。
こうしてパンツ海賊団の冒険は、
にぎやかに幕を閉じましたとさ。
番外編
パンツ海賊団と黄金のパンツ 完
(タカーズの本当の冒険は、第5話へつづく)
📋️まきマネの覚書
番外編⑥:3,527字
現在の物語:42,150字
〆切まであと⏰10日!
SPECIAL THANKS
ぽんたままさん
ミートリア王国で宿屋をしている。
今ここにある朝、洗濯物、白い布、今日の小さな出来事を、日常で「未来」につなぐ人。

SPECIAL THANKS
華子さん
ミートリア王国でも有名な小説家。
過去の出来事や記憶を、物語で「今」につなぐ人。
「チェックチェッカーチェッケスト」
レッドチェッカーがとまらない。

『つなぐ海』完結してます😊ぜひ読んでみてくださいね!
つなぐつながりの
ぽんたままさん、華子さん、ありがとうございました😁👍
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