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ピアフに憧れた私は まだ、💝愛を理解できない(シャンソン)9~12章「ノイズの海」

古いラジオの奥から聴こえてきた かすれた歌声は
まだ名前も知らない少女の胸に そっと火を灯しました
それは慰めというよりも むしろ痛みのありかを教えるような声
愛することの歓びも 失うことの深さも
言葉になる前の涙も
すべて抱いたまま歌うことを教えてくれる響きでした
やがて少女は季節のなかで大人になり
恋を知り 別れを知り
それでもなお自分の声を探しながら 歩いていきます
この歌は ひとりの伝説に憧れた少女が
傷つきながらも愛を胸に育て
いつしか誰かの孤独に寄り添う歌い手へと変わっていく
静かで熱い物語です

第九章💃「ラジオの向こうの声」

雨のしずくが 窓をたたく
古いラジオが かすかに鳴る
ノイズの海を 泳ぐように
あのしゃがれ声が 夜を裂いた

少女はそっと 息を止めて
名前も知らない 涙を知る
やさしいだけの 歌じゃなくて
傷がそのまま 歌になること

A little room, a rainy night
A distant voice, a fragile light
Not made of silk, not made of grace
But born from sorrow face to face

胸の奥には まだ言えない
淋しさばかり 眠っていた
そのひとつずつを 起こすように
スズメの歌が 降ってきた

第十章「少女の季節」

季節は淡く 髪をのばして
少女は少し 大人になる
鏡の前で 口ずさむたび
昨日の自分が 遠くなる

駅へ向かう朝 人混みのなか
胸に小さな 火を隠して
うまく笑えず 立ち尽くしても
歌だけはまだ 裏切らない

She learned to walk through morning gray
With borrowed hope from yesterday
A song inside her folded coat
A trembling dream inside her throat

誰にも見せぬ ノートのすみに
愛という字を 書いて消した
恋を知らない その指先が
すでに未来を 探していた


第十一章「初恋のステージ」

ある夜 小さなライブの隅で
ピアノを弾く 青年がいた
寡黙な指で 夜を撫でる
まるで月光に 触れるように

少女が歌えば 彼は黙って
その震えごと 受けとめた
うまく言えない 言葉の代わり
和音の奥で 見つめあった

He played the dark, she sang the flame
No need to ask each other’s name
Between the chords and fragile air
A first love slowly gathered there

恋とはきっと きらめきだけじゃ
ないのだろうと 知りはじめる
誰かの前で 弱くなれる
それもひとつの 勇気だった

第十二章「愛のあとで」

やがてふたりに 冬が来て
夢の重さが すれ違わせる
好きなだけでは 守れない
夜があることも 覚えていく

言えなかったこと 言いすぎたこと
どちらも胸に 棘を残す
別れの朝の 白い息さえ
歌になるまで 泣きつづけた

Love did not stay, love did not last
It burned too bright, it moved too fast
But from the ash a voice was born
More deep than night, more clear than mourn

少女はそこで 終わらなかった
失くしたぶんだけ 深くなった
憧れだった ピアフの影は
いつしか自分の 血になっていた

泣きながらでも 立てること
愛したあとも 歌えること
小さなスズメは 空の下
またひとり 生まれ変わった

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