大牟田市動物園を「勝手に応援」するフリーペーパー10周年。『KEMONOTE BOOK』できました!
こんにちは。福岡県にある大牟田市動物園を勝手に応援するフリーペーパー『KEMONOTE(ケモノート)』の編集、執筆、デザインをしています、キノシタアヤです。
ケモノートは2025年に10周年を迎え、それを機に1号〜8号までをまとめた『KEMONOTE BOOK どうぶつと人。』を発刊しました。
先日、大牟田市のtaramu books & cafeにて発刊記念トークイベントを開催したところ、参加者の方に「どうしてケモノートができたのか、知ることができてよかった」というお声をいただきました。
そういえば、これまで、そのようなことを語る場がなかったなあ… とハッとさせられた出来事でした。そこで、文章でまとめてみることにしました。
きっかけは友人のひとこと
あるとき、大牟田市動物園のファンだという友人が、私にこう言った。「大牟田市動物園のフリーペーパーがあったらいいと思うんよね。作れんかなあ?」と。
私は大牟田の出身だし、大牟田市動物園(旧延命動物園)には幼い頃よく通っていた。だけど幼い頃から身近にあったからこそ、近すぎて、友人が大牟田市動物園を「なんか好きなんよね」という理由が、よくわからないというのが正直なところだった。
わからないと「なぜ?」と気になって知りたくなってしまうのが私の性分だ。それに、動物園のフリーペーパーなんて聞いたことがない。なんかすごくおもしろそう。でも、どうやって作る……?うっすらと企画を考えてはみたものの、具体的には動き出せないまま時が過ぎた。
何年か経ったころ、共通の友人がいるカメラマンの中村紀世志(以下キヨシくん)が福岡に移住してきて、会ってピンとくるものがあったので、まだふわふわとした状態の話を打ち明けた。とりあえず一緒に動物園に行ってみよう、ということになった。
大人になってはじめて訪れた大牟田市動物園は、記憶の中の動物園より古くなっていたけれど、動物たちがのほほんとしていて、園内の看板は手作り感にあふれ、居心地がいい。友人が「なんか好きなんよね」と言っていた理由がすこしわかった気がした。
大牟田市動物園を初めて訪れたキヨシくんも感じるものがあったようで、二人で早速フリーペーパーの企画を立て、園長に提案に行き取材の承諾をいただいた。こうして、『KEMONOTE(ケモノート)』は始まった。
「勝手に応援」するというスタンス
『KEMONOTE』を企画した時に決めたのは、まず「どうぶつと人」をコンセプトにフリーペーパーを制作すること。
動物を紹介するだけでは、「大牟田市動物園の」魅力を伝えることにはならないかもしれない。けれど、そこで働く飼育員さんたちの魅力も伝えられたら、きっと大牟田市動物園のファンになってもらえる。大牟田市動物園に、動物だけでなく人に会いに行ってほしいという思いだった。
それから、大牟田市動物園やその他の企業に広告を出してもらうことで制作費をまかなうか、ということも話しあった。結果、「自分たちが純粋に“おもしろい”と思うものをつくりたい」という理由から、広告は掲載しないことにした。
『KEMONOTE』は、あくまでも大牟田市動物園を「勝手に応援」するフリーペーパー。そのスタンスを決めたのもこの時だった。
「おもしろい」 動物福祉との出会い
『KEMONOTE』の取材で大牟田市動物園に通うようになって、はじめて「動物福祉」という言葉に出会った。それは、大牟田市動物園が全国に先駆けてその動物福祉に取り組んできた動物園だったからだ。
私は子どものころ、動物園の動物を見て、もの悲しい気持ちになっていた記憶があった。だから、動物園に対してあまり良い印象がなかった。けれど久しぶりに大牟田市動物園を訪れた時、抱いた印象はまったく違うものだった。むしろ「居心地がいい」とさえ思ってしまった。
この園が、動物福祉=動物の幸せに本気で取り組んできた園だったということを知った時、その謎が解けた気がした。
取材に行くたび、飼育員さんが動物福祉の基本的な考え方や、具体的な取り組みを教えてくれるのがすごくおもしろかった。「これはたくさんの人に知らせたほうがいいぞ」と思った。
「仕事でもないのになぜ10年続けてこられたか?」と問われたら、「おもしろかったから」という理由がいちばんしっくりくる。
わかり合えないという前提に立つ
2号(ゴマフアザラシの表紙)の取材の時、取材させていただいたMさんの言葉に衝撃を受けた。
大牟田市動物園では動物が「かわいそう」「幸せそう」といった感覚を頼りにするのではなく、科学的根拠を元に動物福祉に取り組んでいる。そのためにデータが必要だから訓練を行うし、取り組んだ結果を検証し、それをまた取り組みに反映させるということを繰り返していく。
お話を聞いて、「なるほど…」と思っていた時にMさんはこう言った。
「動物たちがほんとうに幸せかどうかは、わかりません」
動物は、人間とは異なる種の生き物だ。動物は人間の言葉を話せない。動物の本心を知ることはできないのだ。
大牟田市動物園の皆さんがこれだけ真摯に動物福祉に取り組みながら、「動物とわかり合うことはできない」という前提を忘れずにいることに衝撃を受けたし、胸を打たれた。Mさんの話を聞きながらちょっと泣きそうになっていた。
私は、わかり合えないのは、人間同士だってそうだと思った。人と人は言葉で通じ合える。けれども嘘をつくこともできるし、思ってもないことを口にしたりもする。誰かと本当にわかりあうことは、とてつもなく難しい。
自分の勝手な基準で相手を決めつけない。「わからないという」前提に立つからこそ、相手が“本当は”どう感じているのかを知ろうとする。知りたいと願う。分かり合えるかどうか、よりも、大切なことかもしれないと私は思う。
動物福祉っておもしろいな、このおもしろさが伝わるといいな、と思いながら。動物福祉を知ってもらうことで、人と人との関わり方ももっと良く、楽しくなるんじゃないかと直感した。
おもしろがったり、「もっと伝わるといいな」と願ったりしながら、10年間、『KEMONOTE』を続けてきた。
『KEMONOTE』を、一冊の本に。

10年の間に私にもキヨシくんにも小さな家族が増え、育児も仕事も忙しく、二人の都合をあわせて制作をしつづけるのはなかなか難しいものだった。
そのため、発行は10年間で8冊というスローペース。だが、仕事ではなく「勝手にやっている」からこそ、手は抜けない。その意識は二人の間で一致していた。振り返ってみると、自分でも「なかなか良いものを作ってきたな」と思える。
そんなケモノートは、今では在庫が少ない号が多く、「ほしいです」「全号買いたいです」という方のリクエストに応えられないことが増えてしまった。このようなこともあり、10年という節目にケモノートを一冊にまとめた冊子を作ることにした。
冊子の制作にあたり、いつもは私が行なっているデザインを、グラフィックデザイナーでケモノートの大ファンである友人の中山夕子さんに依頼した。おかげで、本っ当に!すてきなものに仕上がったのでぜひたくさんの方に手に取っていただきたい。
写真かわいい、文章和む、ちょっとためになる……と読み進めていくうちに、自然と「動物福祉ってなにかな?」が身につくようなものになっていると思う。
大牟田市の小中学校に『KEMONOTE BOOK』を寄贈した時のニュースがウェブで観られるので、こちらも合わせて見ていただけたら嬉しい。
KEMONOTE BOOKの購入はこちらから
ネットストア
ケモノートブックは現在、ネットストアで販売中です。
taramu books & cafe
また、大牟田市にあるtaramu books & cafeさんでもご購入いただけます。(実物サンプルもありますのでぜひ手に取ってみてください)
本好きにもカフェ好きにも刺さるとてもすてきなお店なので、大牟田に行かれたらこちらにもぜひ立ち寄っていただきたいです。
イベント販売 2月21日〜22日(東京・池尻)
それから、今月2月21日〜23日に東京で開催されるネコの日イベント、『THE CAT'S ISSUE FES 2026』にて、ケモブックを販売していただけることになりました!(わーい🙌)
THE Cat's ISSUE FES 2026 は、ネコをきっかけに"楽しい"が広がるクリエイティブな3日間。
2026年2月21日(土)〜23日(月・祝)、東京・池尻のHOME/WORK VILLAGEで開催します。
ネコと人の暮らしをもっと面白く、もっと心地よく。そんな出会いが生まれるフェスです。
東京近郊にお住まいの方、ネコ好きの方、ぜひぜひご来場ください。(入場チケットが必要になりますので詳細はウェブサイトよりご確認くださいね)
ずっと行ってみたかったイベントで、委託販売だけなのですが、福岡から遊びに行くことにしました。今からワクワクしています。(前売りチケットについてくるトートバッグがまたかわいいんですオススメ)
もし会場でばったり出会えたら、声をかけてもらえるとうれしいです。
そして何より、一人でも多くの方に、ケモブックを手に取っていただけたら幸せです。

その後… ケモノートブックを大牟田市に寄贈しました
2025年11月14日、『ケモノートブック』の贈呈式のため大牟田市役所に行き、大牟田市長、大牟田市教育長にお会いしてきました。
贈呈式を行う部屋に入ると、テレビカメラが3台もあり、新聞社さんに市の広報誌のカメラもあり、普段とは逆に「取材される側」に立たされた我々はバリカタな表情に…
TVQ報道部さん、RKB毎日放送『タダイマ』さん、NHK福岡放送『ロクいち』さん(夜のニュースにも流していただいた模様)にとりあげていただき、現在も一部はネットでご覧いただけます。
大牟田市の小中学校、支援学校の皆さんに、ケモノートブックを手に取っていただけるのを楽しみにしています。
RKB毎日放送『タダイマ』
TVQ報道部
毎日新聞 2025.11.18

有明新報 2025.11.19

有明新報 2025.12.9


