ページを捲る音と古本の薫り
「一生読み終えない文学みたいな人が好きなの」と、きみは言ったけれど、ぼくは一生どころかキャンディやアイスクリームでさえも、我慢できずに噛んで食べてしまいます。それでも、ぼくらは朧げな一生とやらを求めて、寄り添うのです。




「通勤中に1ページずつ本を読むのよ。朝と夜、どんなに重要なシーンでも、会話の続きが気になっても必ず1ページって決めて、今やっと半分。もっとも、お気に入りを読み返してるだけだから、結末は知った上で、ね」




きみの物語のヒーローでいたかった。脇役AでもBでもなく。ぼくの名前を平仮名にして、一字ごとに噛み締めるような日だ。




あなたの小説が更新されないと眠れないじゃないの、わたしが。




