キリング・ミー・ソフトリー【小説】19_DON'T TRUST OVER TWENTY
昨夜の不注意な発言を反省し謝ろう、誰かと比べず恵まれた環境に感謝しよう。
まだスタートを切ったばかりではないか、いくらでもやり直しが利く。
自分なりに学ぶべきものを探せば良い。
人のせいにして不貞腐れていたが、最終的にこの道を決めたのは俺だ。
さながら与えられたおもちゃを直ちに投げ捨てる幼児。
いかに面白く遊ぶか頭を絞り、楽しんでこそ。
謝罪を試みる前に彼女からメッセージが送り付けられてきて、
『あのバンドのPV見た?アルバム期待』
何事もなかったかのように話題を逸らす。
恐ろしい程、平常運転の情緒。こちらは起死回生を図ったのに彼女ときたら。
盛大な溜息を吐き、その場へ屈む。
いわば配慮?これが大人の対応?理解の範疇を超えている。
どちらにせよ踊らせておいてあっけらかんとした感じ、自己中心的な仕打ち。
型通りに受け取るだけ無駄と諦め、布団に潜って、真っ白い天井を眺め微睡み、やがて深い眠りについた。
一面、向日葵に囲まれ、麦わら帽子を被ってシンプルなワンピースを着た姿の彼女がふわりと手招きする。
「アキくん。」
ああ、すごく綺麗、好きだよ。
思わず抱き締めた次の瞬間、腕をすり抜け、いばらに阻まれた。
漆黒のドレスを身に纏って空高く飛び立ち、どこまで走っても到底敵わない。
目が覚めてげんなり、せめて夢くらい幸せなシーンであれ。
「マジうぜえ。」
喧嘩にもならずにしこりが残る数日後、今度は知成が苦渋を味わっている。
「こないだみんなで飯行ったとこ、葵(あおい)の友達が働いてて。いつの間に俺の浮気疑惑が浮上してんの、美弥ちゃんと!」
迂闊に出会した為、朝からフルスロットルのテンションで揺さぶられた。
葵とはSNSを通じて知成と繋がり、華々しく交際を始めた者である。
別の学部でも小洒落たファッションは目を惹き、彼と釣り合う。されど所謂ミスコンの類いにエントリーしがちな自信に満ち溢れたタイプ、自分と淳は敬遠気味だった。
知成でさえとても好きそうには見えなかったが、特定の恋人を作らず異性を弄ぶよりマシ。
