キリング・ミー・ソフトリー【小説】17_怒涛の行方
暫く波の音に耳を傾けると、キツいメッセージが飛び込んでくる。
『あのさあ。そういうヤツはさ、どこ行っても自分の場所はここじゃない、何やっても自分のやりたいことはこうじゃない、って繰り返すんだよ』
ナイフで心臓を一突きされたかと思った。
余程、正論過ぎて二の句が告げないけれど、実際のところどんな言葉が欲しかった?
アキくん可哀想だね?頑張ってる?
本人の為にならない。
『ぶっちゃけアキくん実家暮らしだよね。いざとなったら親に頼れるでしょ、バカにしてんの?』
甘ったれんなと尚も頬を叩かれ息を呑んだ。
文面に滲み出るどころか隠す努力さえ放棄した莉里さんの憤りは、どれぐらい未熟で腑抜け者か痛感させてくれた。
が、事もあろうに好きな人に対し易々、稚拙な醜態を晒してしまって連絡が途絶え八方塞がり、時すでに遅し。
翌日。
知成による『ちー、世界の終わりみたいなメンタル』のつぶやきでキャンパス最寄りのファミリーレストランに男4人+着いて来たがった美弥がわざわざ揃う。
「ごめんな、こいつもいて。」
真司が至極申し訳なさそうに述べる。学生服姿で一層フレッシュな恋人は彼にべったりらしい。
「すっげー!ラブラブなんだ!」
と知成が冷やかす。
中学生の頃から真司のファンで高校も追いかけ、やっと交際へこぎつけた(惚気話に無関心な淳はスマートフォンのゲームアプリに夢中)。
「女の子側の意見も知りたいし、ちょうどいいわ。美弥ちゃんありがとね。」
「わあい、ちー先輩やさしー!」
改めて接すれば、非常に人懐っこい。
「ハンバーグ食べる?」
淳が控えめにメニュー表を開いて見せ、真司も
「千暁の分は俺が奢るぞ。」
と聞き出さなかった。
知成は違い、甚だ真剣な眼差しでこちらの顔を覗き込む。
「ちー、莉里さんとなんかあった?」
「莉里さんって誰?」
淳、真司、美弥が首を捻る。
