彼氏の支度が私より長くてこんな時間が続けばいいと思った
いや、続かなくて良い。
早速タイトルに反する台詞で目の前のあなたを困惑させてしまって申し訳ないが、私には交際3ヶ月近くの恋人がいる。
名前はツヅル(由来が綴るなのか続くなのか、ここでは聞かないでくれ)。
一言で表すと、今まで出会った人の中で最も優しい。彼が私のことを好いてくれている事実が未だに信じられないほど。
しかし、ツヅルの部屋に泊まった日、の朝。
あちらがこう切り出すとこちらは緊張するのだ。
「ジュリ。今日は何しよっか?」
ツヅルは休日にデートをしたがる男、一方の私はなるべく動きたくない女。
まあ、エスコートもそつなくこなすツヅルとなら出掛けるのも悪くない、それはさておき。
彼はデートの前、必ずシャワーを浴びる。
だが、その時間が恐ろしく長い(しずかちゃんかよ)。一体全体、浴室でどう過ごしているのか問いたかった。もしかしたら、風呂でラスボスと遭遇して戦うのかも知れないし。
私は着替えて洗顔後に15分から30分かけて化粧を施し髪まで巻く、にも拘らず、いつもツヅルより早く終わってしまう。
しかも散々、待たされた挙げ句、
「ヘアセットが上手くいかなかった……」
とぼやき、床にストレートアイロンを放り投げ、薄着でキングサイズのベッドに突っ伏せ、病み始める(どこの乙女だよ)。
「ツヅルの隣にはダイヤモンドが居るだろうが。大丈夫だって」
「全然大丈夫じゃなーい。だからこそカッコよくいたい」
なので、男前な私がツヅルのコーディネートを決め、長ったらしい身支度に付き合って、毎回優しさとは何かしばらく考え、最後に彼がバタバタと上着を羽織り、
「あっ。忘れ物! ジュリにもらったネックレス。つけてー」
などと甘えてくる度に、あっさり許す。
ポジティブに捉えれば、足りない部分を補い合うことができる関係。
ただ、こんな忙しなくも幸せな時間がいつまでふたりの間にあるのだろう?
とはいえ本日も私はマイペースなツヅルを待つ。
──愛しているから。

★この「彼氏と私」をシリーズ化・連載するか検討中です。
