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あなたの血液型、実は間違えて登録されているかもしれない

こんにちは、あずうです🩸
認定輸血検査技師の資格を持つ臨床検査技師として、総合病院で輸血・免疫・血液検査に従事しています。

突然ですが、みなさんは自分の血液型を知っていますか?

「A型です」
「O型って親から聞いてます」
「母子手帳に書いてあった気がします」

きっと、そんなふうに答える方が多いと思います。

では、その血液型がもし間違っていたら……?

少しドキッとする話ですが、実はこれ、輸血検査の現場ではまったくあり得ない話ではありません。

今回は、血液型の「誤登録」がなぜ起こるのか、どんな場面で問題になるのか、そして私たち検査技師がどのように確認しているのかを、できるだけわかりやすくお話しします。


「ずっとA型だと思っていました」

病院で手術前の血液型検査をしたときに、

「え? 今まで聞いていた血液型と違うんですけど……」

ということがあります。

ご本人もご家族も驚かれます。
そりゃそうですよね。
何十年も「自分はA型」と思って生きてきたのに、病院で「違います」と言われたら、びっくりするのは当然です。

でも、こうしたことが起こる背景には、いくつか理由があります。


出生時の血液型は、実はあてにならないことがある

昔は、生まれたときに血液型を調べて、その結果を母子手帳などに記録していることがありました。

ただ、新生児の血液型検査は、大人ほどはっきり判定できないことがあります。

ABO血液型の検査には、赤血球側を見る「オモテ検査」と、血清側を見る「ウラ検査」があります。

ところが、赤ちゃんはまだ抗体を十分に作れていません。
そのため、ウラ検査の反応が弱かったり、判定が難しかったりします。

さらに、お母さんから移行した抗体の影響を受けることもあります。

つまり、出生時の血液型は「その時点での参考結果」であって、一生変わらない確定情報として扱うには注意が必要なのです。

最近では、そのリスクを考慮して出生時に血液型検査をしない産院も増えています。
これは「調べ忘れ」ではなく、むしろ不確かな結果を伝えないための対応とも言えます。


簡易検査だけで判断されていたケースもある

血液型検査は、単に「A型っぽい」「O型っぽい」と見るだけではありません。

本来は、

赤血球の表面にある抗原を調べる「オモテ検査」
血清中の抗体を調べる「ウラ検査」

この2つを見て、結果がきちんと一致しているかを確認します。

ところが、昔の検査や簡易的な検査では、片方の検査だけで判断されていたケースもあります。

オモテ検査だけで判定すると、反応が弱い血液型や、通常とは少し違うタイプの血液型を見逃してしまうことがあります。


A型にも“いろいろなA型”がある

一般的には、血液型といえば

A型
B型
O型
AB型

の4種類と思われています。

もちろん日常生活では、その理解でほとんど困ることはありません。

でも、輸血検査の世界では、もう少し細かく見ています。

たとえばA型の中にも、A1型やA2型などの違いがあります。
A2型は、A抗原の量がA1型より少ないため、検査条件によっては反応が弱く見えることがあります。

さらに、cisAB型やB(A)型のように、通常の血液型のイメージだけでは説明しにくい特殊な血液型もあります。

こういう血液型は、一般的な検査だけでは判断が難しいこともあります。


普段は困らない。でも輸血では話が変わる

血液型が間違っていたとしても、普段の生活で困ることはほとんどありません。

血液型占いが外れるくらいなら、まあ笑い話で済みます。

でも、輸血となると話は別です。

輸血では、ABO血液型の不一致は命に関わることがあります。

もちろん、病院では輸血前に必ず血液型検査や交差適合試験、いわゆるクロスマッチを行います。
そのため、自己申告の血液型だけで輸血をすることはまずありません。

「私はA型です」と言われても、病院では改めて検査します。

これは患者さんを疑っているわけではありません。
安全のために、確認し直す必要があるのです。


だから、入院や手術のたびに血液型を確認する

手術前や輸血が必要になる可能性がある場面では、病院で血液型を再検査します。

「昔、検査したことがあります」
「献血でA型と言われました」
「母子手帳に書いてあります」

そういった情報は参考にはなりますが、それだけで輸血用の血液型として確定することはできません。

輸血医療では、別々のタイミングで採血した検体で血液型を確認することがあります。
いわゆる二重チェックです。

同じ患者さんから採った血液でも、採血ミスや取り違えがないかを含めて、慎重に確認します。

地味な作業に見えるかもしれませんが、こうした確認の積み重ねが輸血の安全を支えています。


検査技師は「前と違う」を見逃さない

輸血検査の現場では、過去の血液型結果があっても、それをそのまま鵜呑みにはしません。

今回の結果と過去の結果が違う。
オモテ検査とウラ検査が合わない。
反応が弱い。
何かいつもと違う。

そういう違和感があれば、再検査を行います。

単なる検査ミスなのか。
亜型なのか。
寒冷凝集素などの影響なのか。
白血病や骨髄移植後など、病態による変化なのか。

いろいろな可能性を考えながら確認していきます。

ここは、輸血検査に関わる臨床検査技師の専門性が出るところです。

ただ機械の結果を見るだけではなく、結果の背景を考えて、安全に輸血できる状態まで持っていく。
これが私たちの仕事です。


必要に応じて、さらに詳しい検査へ進むこともある

血清学的な検査だけでは判断が難しい場合には、より詳しい検査に進むこともあります。

最近では、ABO血液型の遺伝子型を調べることも可能になっています。

もちろん、すべての人に遺伝子検査をするわけではありません。
通常の検査で判断できるケースがほとんどです。

ただ、「どうしても血液型がはっきりしない」「特殊な血液型が疑われる」という場合には、追加検査によって確認することがあります。


まとめ

自分の血液型を、親から聞いた情報や出生時の記録だけで覚えている方は多いと思います。

でも、その血液型が必ずしも正しいとは限りません。

出生時の検査が不確かだった。
簡易検査だけで判断されていた。
亜型や特殊な血液型だった。
過去の記録に誤りがあった。

こうした理由で、実際の血液型と登録されている血液型が違っていることがあります。

普段の生活では、血液型を正確に知らなくても困る場面はあまりありません。

でも、輸血が必要になったときは別です。

だから病院では、過去の情報や自己申告に頼らず、必ず改めて検査します。

「前に調べたから大丈夫」ではなく、
「今、この患者さんの血液で確認する」。

この当たり前の確認が、輸血の安全を守っています。

自分の血液型に少しでも不安がある方は、入院や手術の機会があるときに、病院で確認してもらうと安心です。

血液型は、知っているようで意外と奥が深いものです。
そしてその正確な判定を支えているのが、私たち臨床検査技師の仕事です。

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