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Tarkov の9x19mm弾を現実から見る 第6回:RIP・QuakeMakerはなぜ存在するのか

第1回はこちら:

前回は、9x19mmで貫通力を高めようとする弾を見てきました。

AP 6.3。
PBP gzh。

この2つは、Tarkovの9x19mm弾の中でも、かなり分かりやすく魅力的に見える弾です。

なぜなら、Tarkovでは装甲を抜けるかどうかが、生死に直結する場面が多いからです。

AP 6.3は、Armor-Piercingという名前の通り、貫通力を重視した弾です。
6.3という数字も、内部にある6.3mmの硬い貫通体と結びつけると覚えやすくなります。

PBP gzhは、ロシア語のПБПに対応する名前で、「貫通力を高めた弾頭を持つ弾薬」という意味合いを持つ弾でした。

どちらも、9x19mmという拳銃弾の枠内で、装甲に対抗しようとする弾です。

しかし、弾薬の方向性は貫通力だけではありません。

今回扱うのは、貫通力とは逆の方向に振った弾です。

RIP。
QuakeMaker。
Luger CCI。

Tarkovでは、こうした弾は「肉ダメージ弾」として見られることが多いと思います。

装甲は抜けない。
しかし、装甲のない部位に当たれば大きなダメージを与える。

Tarkovの文脈では、いわゆる足撃ちのような発想につながる弾です。

しかし現実世界の視点から見ると、ここにはかなり重要な考え方があります。

それは、
貫通しないことにも意味がある
ということです。

貫通すればよい、とは限らない

Tarkovでは、どうしても貫通力が正義に見えます。

これはゲームとしては当然です。

防具を着た相手がいる。
弾が通らなければダメージが入らない。
正面から撃ち合うなら、貫通力が高い弾ほど安心できる。

そのため、貫通力の低い弾を見ると、
「弱い弾」
「使いにくい弾」
「装甲相手には役に立たない弾」
と感じやすいと思います。

しかし現実世界では、必ずしも「何でも貫通する弾」が理想とは限りません。

たとえば、警察や護身用途では、弾が対象を貫通しすぎることが問題になる場合があります。

対象を貫通した弾が、後ろの人に当たる。
壁やドアを抜けて、意図しない相手に当たる。
住宅地や屋内で、周囲への被害が広がる。

こうしたリスクがあります。

そのため、弾薬には「対象の中でエネルギーを使い切る」ことを狙った設計もあります。

貫通力を高めるのではなく、当たった対象の中で変形したり、破砕したり、エネルギーを伝えたりすることを重視する。

これが、今回扱う弾の基本的な考え方です。

Tarkovの中では、これがかなり極端に表現されています。

装甲は抜けない。
しかし、非装甲部位に当たると大きなダメージが入る。

ゲーム的には「足撃ち弾」として見えますが、現実側から見ると、貫通力を捨てて別の効果に振った弾だと考えることができます。

RIPという名前

まず、RIPです。

Tarkovに登場する9x19mm RIPは、非常に分かりやすい名前をしています。

RIPは、Radically Invasive Projectile の略です。
直訳に近い形で言えば、「極めて侵襲的な弾頭」といった意味になります。

Tarkov Wikiでも、9x19mm RIPは、6グラムの破砕性弾頭を持ち、複数の創傷経路を作って相手を素早く無力化することを意図した弾として説明されています。

RIPという名前は、かなり攻撃的な響きを持っています。

英語の “R.I.P.” は、一般には “Rest in Peace”、「安らかに眠れ」という意味でも知られています。
そのため、弾薬名としてはかなり強い印象を与えます。

ただし、ここで重要なのは名前のインパクトだけではありません。

RIPは、貫通力を高める弾ではなく、対象に当たった後の効果を重視した弾です。

弾頭が破砕し、複数の経路を作る。
対象内でエネルギーを使う。
硬い装甲を抜くよりも、柔らかい対象に対して効果を出す。

そういう方向性の弾です。

G2 ResearchのRIP製品ページでも、RIP弾は複数の wound channels、つまり創傷経路を作ることを特徴として説明されています。

Tarkovでは、この性格が「高い肉ダメージ、低い貫通力」という形で表現されています。

RIPは、装甲を抜く弾ではありません。

装甲を避けて、非装甲部位に当てることで意味が出る弾です。

ここを理解すると、RIPは単に「貫通力が低い弱い弾」ではなくなります。

貫通を捨てて、対象内での効果に振った弾。

そう見ると、RIPという名前もかなり覚えやすくなります。

QuakeMakerという名前

次に、QuakeMakerです。

QuakeMakerという名前は、かなりゲーム的というか、少し派手な印象があります。

直訳すれば、「揺れを作るもの」「衝撃を起こすもの」といった意味になります。
弾薬名としては、対象に強い衝撃を与えるイメージを持たせる名前だと思います。

Tarkov Wikiでは、9x19mm QuakeMakerは、11.9グラムの中空弾頭、つまりホローポイント弾で、全体が鉛で作られており、軽量のスチールケースと赤いアルマイト処理されたアルミニウムベースを持つ弾として説明されています。用途としては、ホームディフェンスと標的射撃向けとされています。

ここで重要なのは、ホローポイントという考え方です。

ホローポイント弾は、弾頭の先端にくぼみを持つ弾です。
対象に当たったときに弾頭が広がりやすく、貫通力よりも対象内での効果を重視する方向の弾です。

もちろん、現実の弾薬設計とTarkovのダメージ計算は同じではありません。

しかし、QuakeMakerの性格はかなり分かりやすいです。

貫通力ではなく、ストッピングパワー。
装甲を抜くことではなく、非装甲部位に当たった時の効果。
硬い対象よりも、柔らかい対象へのダメージ。

Tarkov Wikiでも、QuakeMakerは高いストッピングパワーを持ち、対象に強い悪影響を与える一方で、貫通力を犠牲にしていると説明されています。

つまりQuakeMakerは、名前の印象通り、相手に大きな衝撃を与える方向に振った弾です。

ただし、それは装甲を抜く方向ではありません。

貫通力ではなく、当たった場所で効果を出す方向です。

Tarkovで考えるなら、これもRIPと同じく、非装甲部位を狙う弾として見ると分かりやすいと思います。

Luger CCIという名前

次に、Luger CCIです。

Luger CCIは、RIPやQuakeMakerに比べると、名前のインパクトは少し控えめです。

しかし、名前を分解するとかなり分かりやすくなります。

まずLugerは、9x19mm Luger、つまり9x19mm Parabellumの別名と関係しています。

第1回でも触れたように、9x19mm Parabellumは、9mm Lugerとも呼ばれます。
これは、この弾がゲオルグ・ルガーやルガー拳銃と結びついて広まったことに由来します。

つまりLuger CCIの「Luger」は、弾の系統を示す名前として見てよいと思います。

次にCCIです。

CCIは、アメリカの弾薬メーカー Cascade Cartridge, Inc. の略称として知られています。
CCIは、民間向けの弾薬やリムファイア弾、プライマーなどでよく知られるメーカーです。

Tarkov Wikiでは、9x19mm Luger CCIは、CCIによって製造された青い弾頭を持つ特殊な重量弾として説明されています。重い弾頭でありながら、同口径の他の弾と比較して平均的な初速を持ち、かなりのストッピングパワーを持つ一方で、貫通力は犠牲になっているとされています。

この説明から見ると、Luger CCIは、9x19mmの中でも民間メーカー系の特殊弾として捉えると分かりやすいです。

Luger = 9x19mm Luger系の弾。
CCI = メーカー名。
重い弾頭 = ストッピングパワー寄り。
青い弾頭 = 見た目でも識別しやすい特徴。

つまりLuger CCIは、

「CCI製の、重い弾頭を持つ9x19mm特殊弾」

として覚えるとよさそうです。

RIPやQuakeMakerほど名前が派手ではありませんが、これも貫通力ではなく、対象に当たった時の効果を重視した弾として見ることができます。

貫通しない弾は、狙い方が変わる

RIP、QuakeMaker、Luger CCIのような弾は、貫通力が低いです。

そのため、Tarkovで装甲を着た相手の胸を撃っても、思ったような効果が出にくい場面があります。

ここで重要なのは、弾に合わせて狙い方を変えることです。

AP系の弾なら、防具越しにダメージを通す発想になります。
一方で肉ダメージ系の弾なら、防具を避ける発想になります。

つまり、

胸を撃つのではなく、足を撃つ。
装甲部位ではなく、非装甲部位を狙う。
正面から装甲を抜くのではなく、弾の特性に合わせて戦う。

これが、Tarkovにおける肉ダメージ弾の基本的な考え方です。

もちろん、これは簡単ではありません。

相手は動きます。
こちらも焦ります。
近距離で足を狙うには慣れが必要です。
装甲を抜けないという不安もあります。

しかし、弾の性格を理解していれば、少なくとも「なぜ効かないのか」は分かります。

RIPやQuakeMakerを使って胸を撃ち、防具に止められる。
そこで「この弾は弱い」と考えるのではなく、
「この弾はそこを撃つ弾ではなかった」
と考える。

この違いはかなり大きいです。

Tarkovは、弾薬に合わせて戦い方を変えるゲームです。

弾薬表は、単なる強さランキングではありません。
その弾で、どこを狙い、どの距離で戦うかを考えるための情報です。

護身用・警察用・民間用という文脈

RIP、QuakeMaker、Luger CCIのような弾を考えるとき、現実世界では軍用よりも、護身用・警察用・民間用の文脈が見えやすくなります。

軍用弾では、貫通力や大量生産性、条約上の制約、長期保管性などが重視されます。

一方で、民間の護身用やホームディフェンス用途では、少し違う問題が出てきます。

家の中で撃った弾が、壁を抜ける。
対象を貫通した弾が、別の人に当たる。
狭い空間で、必要以上に弾が飛び続ける。

こうしたリスクがあります。

そのため、対象内で効果を出し、過剰に貫通しにくい弾が求められることがあります。

もちろん、現実の弾薬選びは法制度や地域、用途によって大きく異なります。
ここで特定の弾を現実に使うべきだという話をしているわけではありません。

この記事で見たいのは、あくまでTarkovの弾薬を理解するための考え方です。

RIPやQuakeMakerのような弾は、
「貫通力が低いから弱い」
ではなく、
「貫通力を捨てて、対象内での効果に振った弾」
として見ると、存在理由が見えてきます。

Tarkovでは極端に表現される

Tarkovは、こうした弾薬の性格をかなり極端に表現します。

AP系の弾は、貫通力が高い代わりに、別の負担がある。
肉ダメージ系の弾は、貫通力が低い代わりに、非装甲部位へのダメージが大きい。
標準弾は、その中間にある。

これはゲームとして分かりやすくするためでもあります。

現実世界の弾薬効果はもっと複雑です。
人体への効果、弾頭の変形、弾速、角度、服装、障害物、距離など、さまざまな要素が絡みます。

Tarkovはそれを完全に再現しているわけではありません。

しかし、少なくとも弾薬に「役割」があるという考え方は、かなり強くゲーム内に反映されています。

RIPやQuakeMakerは、その分かりやすい例です。

装甲を抜かない。
その代わり、非装甲部位に対して強い。
だから狙う場所が変わる。

このように、弾の性格がそのまま戦い方を変えます。

ここが、Tarkovの弾薬システムの面白いところだと思います。

名前で覚えるRIP・QuakeMaker・Luger CCI

最後に、今回の3つを名前で整理してみます。

RIPは、Radically Invasive Projectile。
対象内で複数の創傷経路を作ることを狙った、かなり攻撃的な名前の弾です。

QuakeMakerは、名前の通り、衝撃を与えるイメージの弾です。
ホローポイント系の重い弾頭で、貫通力よりもストッピングパワーに寄せた弾として見ると分かりやすいです。

Luger CCIは、9mm Luger系の弾であり、CCI製の特殊な重量弾として見ると覚えやすいです。
名前の派手さは控えめですが、これも貫通力ではなく、対象に当たった時の効果に寄せた弾です。

こうして見ると、3つとも方向性は似ています。

装甲を抜く弾ではない。
非装甲部位に効果を出す弾。
貫通よりも、当たった場所での効果に振った弾。

ただし、名前の印象はそれぞれ違います。

RIPは破砕・侵襲。
QuakeMakerは衝撃。
Luger CCIはメーカー系の特殊重量弾。

この違いを覚えておくと、Tarkovの弾薬表を見たときに、かなり整理しやすくなると思います。

第6回のまとめ

RIP、QuakeMaker、Luger CCIは、Tarkovの9x19mm弾の中では、貫通力よりも肉ダメージに寄せた弾として見られます。

Tarkovでは、貫通力が低い弾は弱く見えがちです。

しかし現実世界の視点から見ると、貫通しないことにも意味があります。

過剰貫通を避ける。
対象内でエネルギーを使う。
弾頭を変形・破砕させる。
非装甲部位に対して効果を出す。
軍用ではなく、護身用・警察用・民間用の文脈で考える。

こうした目的から、貫通力ではなく、対象内での効果を重視した弾が存在します。

RIPは、Radically Invasive Projectile。
名前の通り、対象内で複数の創傷経路を作ることを狙った弾です。

QuakeMakerは、強い衝撃やストッピングパワーをイメージさせる名前の弾です。
ホローポイント系の重い弾頭で、貫通力よりも対象への効果に寄せた弾として見られます。

Luger CCIは、9mm Luger系の弾で、CCI製の特殊重量弾です。
こちらも、貫通力ではなくストッピングパワー寄りの弾として理解できます。

Tarkovでこれらの弾を使うなら、装甲を正面から抜こうとするのではなく、非装甲部位を狙う必要があります。

つまり、弾が変われば、狙う場所も変わる。

これが、Tarkovの弾薬選びの面白さです。

次回は、少し特殊な弾として、Green Tracerを見ていきたいと思います。

曳光弾は、弾道が見える弾です。
弾がどこへ飛んでいるのかを確認できる一方で、自分の位置も相手に知らせてしまいます。

便利であることが、そのままリスクにもなる。

次回は、Green Tracerから「見える弾道」の意味を考えてみます。

第7回はこちら:公開前の場合があります。


※ この連作で書いている内容の背景や、実際のプレイ中に何を考えているかについては、Twitch でほぼ毎日行っている配信 でも触れています。
文章だけでは伝わりにくい部分も、配信を見ると少し雰囲気がつかみやすいかもしれません。
なお、過去の配信アーカイブは YouTube チャンネルにも残しています ので、興味があればそちらも覗いてみてください。
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