Escape from Tarkov 医療メモ⑤
第1弾はこちら: Escape from Tarkov 医療メモ①
止血の思想
――CAT / Hemostat / CALOK-B が示す Tarkov のリアリティ
ここまで Tarkov の医療を整理してきて、
正直なところ、止血まわりだけは少し不思議だな
と感じるようになりました。止血だけを見ても、Tarkov には
Esmarch
CAT
Hemostat(※過去に存在)
CALOK-B Hemostatic Applicator
と、複数の選択肢が用意されています。
ゲーム的に見れば、
どれも 「重出血を止めるアイテム」 です。
それにもかかわらず、
複数の名称やモデルが存在しているのを見ると、
単に同じ効果のアイテムを増やしただけではなさそうだ
という印象を受けます。
Esmarch は「概念としての止血」
まず Esmarch です。
Esmarch は、Tarkov というゲームの初期から存在する止血帯だそうで、
重出血を止めることができます。
ゲーム内でやっていることは非常に単純で、
重出血という状態を解除する
それだけです。
Esmarch は、
「止血」という行為そのものを
ゲーム的に抽象化した存在
と考えると分かりやすいです。
ここではまだ、
どうやって止血するのか
どれくらい早く止血できるのか
といった要素は、ほとんど考慮されていません。
まずは 「止血できたかどうか」 だけが重要、
という設計です。
CAT は「現代戦場医療の持ち込み」
一方で CAT は、明らかに性格が違います。
CAT はその名の通り、
現実世界の Combat Application Tourniquet をモデルにしています。
これは、
片手で装着可能
強制的に血流を止める構造
現代の戦場医療では標準的な装備
という、非常に明確な思想を持った止血帯です。
Tarkov では、
CAT も Esmarch と同じく
重出血を止める
という処理になっています。
しかし重要なのは、
効果が同じであることではありません。
あえて CAT という実在の装備を
ゲーム内に登場させていること自体が、
Tarkov が
「それっぽい医療」ではなく
「現代戦を意識した医療」を
持ち込もうとしている
という意思表示に見えます。
Hemostat / CALOK-B が示す「次の段階」
さらに踏み込むと、
Hemostat や CALOK-B といった
より局所的な止血手段 が登場します。
Hemostat(止血鉗子)について
Hemostat は、
過去の Tarkov に実際に存在していた止血アイテムだそうです。
ただ、現実的に考えると、
両手での精密操作が必要
医療者がいる前提の器具
戦闘中に携行・使用するのは不自然
という点で、
戦闘現場の PMC という存在とは強い違和感があります。
そのため、
「実装はされたが、
戦闘中の医療としては現実感がなさすぎたため
削除された」
という経緯だったとしても、
非常に納得がいきます。
CALOK-B が残った理由
一方、CALOK-B は違います。
CALOK-B は、
出血点そのものに直接作用する
血液凝固を促す物質を用いる
個人携行・自己処置を前提とした装備
という、現代戦場医療の延長線上にある止血手段です。
ゲーム内の処理としては、
重出血を止める
という一点に集約されていますが、
ここでも Tarkov は、
「止血=止血帯」
だけで終わらせていません。
なぜ止血だけ、ここまで細かいのか
ここが、この章で一番重要な点です。
Tarkov において、
重出血は最も即死に直結する状態です。
HP がいくら残っていても
重出血を放置すれば
短時間で死に至る
だからこそ、止血は、
判断の成否が
そのまま生死に直結する行為
になります。
Tarkov はここを、
回復量の差
数値の差
ではなく、
「今、止血という判断ができたか」
という一点に集約しています。
現実との差を、あえて抽象化している部分
現実世界では、
CAT の方が
Esmarch より
短時間かつ確実に止血できる
という差があります。
しかし Tarkov では、
CAT でも
Esmarch でも
CALOK-B でも
止血できたかどうか
という結果だけが重要になります。
これはリアリティの欠如ではなく、
判断を主役にするための
意図的な抽象化なのではないか
と感じました。
Tarkov が描いている「戦闘中の医療」
この章を整理して分かったのは、
Tarkov が描いているのは、
医療行為そのものの再現
ではなく、
医療が必要になる状況での判断
だということです。
今は撃ち合いを続けるのか
一度隠れて止血するのか
その判断が遅れたらどうなるのか
止血アイテムが複数存在するのは、
この判断を
何度もプレイヤーに突きつけるため
なのだと思います。
まとめ
Esmarch は
→ 止血という行為の抽象CAT / CALOK-B は
→ 現代戦場医療の具体像Hemostat は
→ 戦闘現場としての違和感から消えた存在Tarkov では
→ 効果差より「判断」を重視
止血だけを切り取っても、
Escape from Tarkov が
どれだけ「戦闘の現実」を
ゲームとして再構成しているかが見えてきます。
次の章では、
同じ「複合医療」という枠にありながら、
性格がまったく異なる IFAK / AFAK を取り上げます。
止血が「即断」の医療だとすれば、
こちらは 「余白を作る医療」 です。
次作はこちら: Escape from Tarkov 医療メモ⑥
※ この連作で扱っている内容の背景や実際のプレイ感については、
毎週金曜日に配信している配信内でも触れています。
文章とは少し違った形での理解の助けになると思いますので、
興味があればこちらも覗いてみてください。
▶ 配信はこちら: B.K. Gaming チャンネル
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