川下から川上へ、サプライチェーンをかえるサプライヤーBALLASという戦略
2022年2月の会社設立から、早くも4年が経過しました。
この4年間、私たちは「建設業を最適化し、人々を幸せに。」というMissionを掲げ、泥臭く現場の課題と向き合い続けてきました。当初の仮説は確信へと変わり、事業は着実な成長を遂げています。
今回のシリーズB資金調達は、これまでの4年間の歩みを加速させ、さらに次の4年間で建設業の最適化を実現していくための大きな一歩となります。これからの4年、私たちがどのように建設サプライチェーンのあり方を変えていくのか。ここでは、その戦略の中心にある「リアル×オペレーション」の考え方について少しお話しさせていただきます。
株式会社BALLAS
COO 中西 佑介
転換期を迎える建設業界
建設業界はいま、構造的な課題を背景に、「需給ギャップの拡大」という歴史的な転換点に差し掛かっています。
1. 強い需要×頓挫するプロジェクト
都市部を中心に大規模な再開発計画は相次いでいますが、その裏側では異変が起きています。
建設資材の高騰と深刻な人材不足により、着工直前での延期や、計画そのものが頓挫する事例が増えています。
中野サンプラザや五反田TOCのニュースは、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

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高度経済成長期に整備されたインフラの更新や再開発を背景に、今後も需要は見込まれます。しかし、現状のサプライチェーンではそれを十分に受け止めきれません。
「作りたくても、作れない」
この需給ギャップこそが、建設業界の大きな構造課題です。
2. 「働き方改革」のジレンマとコスト増大
2024年4月に施行された時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」により、業界全体で働き方改革が急速に進んでいます。これは労働環境の適正化という点では望ましい変化ですが、同時に「供給リソースの減少」という現実ももたらしています。
さらに2025年の夏、日本は記録的な酷暑に見舞われました。これを受け、多くの建設会社が日中の屋外作業を制限する工程計画へとシフトしています。
働き方改革と労働環境改善。
いずれも不可欠な取り組みですが、その結果として現場の「有効稼働時間」は物理的に削られています。結果として、工期の延長と建設コストの増大が避けられない状況になっています。供給リソースが減少し続ける中で、従来の非効率なオペレーションを維持することは、もはやプロジェクトの成立そのものを危うくします。
3. 数字で見る「供給力の崩壊」
労働力の枯渇:
総務省の調査では、55歳以上が約36%を占める一方、29歳以下は約12%。2030年には約100万人の技能労働者が不足すると推計されています。工場の減少 :
部材を作る町工場も、後継者不在で次々と姿を消しています。現場だけでなく「作る拠点」そのものが失われつつあります。

もはや、一人ひとりの努力で解決できる段階は過ぎました。テクノロジーによって、限られたリソースを最大化する仕組みへの転換が不可欠です。
強制しないDX - サプライヤーBALLASという在り方 -
では、どうすればこの巨大な産業を効率化できるのか。
BALLASが出した答えの一つは、「顧客にDXを強制しないDX」です。
1. 業務を「投げるだけ」で完結する体験
お客様である建設工事会社様は、これまで通り、ラフな指示をBALLASに送るだけ。
そこから先の「仕様定義」「作図」「積算」「工場選定」「納期管理」といった煩雑なノンコア業務は、すべてBALLASがBPO的に引き受けます。
ITへの抵抗感が強い環境においても、
「BALLASに頼めば、やり方を変えずに、工期が守られ、コストも最適化される」
そんな体験を提供します。
「DXを進めればいい」と言うのは簡単です。
しかし、数人規模の工務店から大手のサブコン、ゼネコンまで、ITリテラシーもリソースも異なる数万の事業者が混在するこの業界において、「全員が新しいSaaSを使いこなす」ことを前提にするのは現実的ではありません。
業務フローを変えるコスト——学習コストや心理的抵抗——が、あまりにも大きいからです。
2. BALLAS内部での「爆速自動化」
一方で、業務を引き受けるだけでは意味がありません。
BALLAS自身が従来通りのマニュアル作業を行っていては、構造は何も変わらないからです。
私たちは、属人的なナレッジの蓄積による効率化ではなく、
独自プロダクトとオペレーション標準化により徹底的な自動化・効率化を進めています。
業務を「人に依存せず、自律的に完結させる」モデル。ここに、BALLASの強みがあります。
最速の改善サイクル:
社外のユーザーの教育が不要であるため、社内メンバーのフィードバックを元にプロダクト・オペレーションを高速で改善できます。
また属人性に依存しないオペレーション設計を徹底しているため、新入社員のオンボーディングも短期間で完了します。自動化が利益の源泉:
自社内の自動化が進むほど、オペレーションコストが下がり利益率が向上します。
そして、その利益を原資に顧客・パートナーに還元できるからこそ、業界全体の最適化を持続的に進めることが可能となります。
この構造そのものが、BALLASの圧倒的な競争力となります。

業界全体のDXを待つのではなく、BALLASが業務を引き受け、内部でテクノロジーを実装する。それにより、はるかに速いスピードで社会実装を実現しています。
QCDの劇的改善と、広がるパートナーシップ
この「リアル×オペレーション」のアプローチは、すでに確かな成果として現れています。
1. 事業規模の成長
2022年の設立以降、売上・売上総利益はこれまでの4年間で約9倍の成長を達成しました。これは、BALLASの事業モデルが建設現場の切実なニーズに合致し、お客様に選ばれている結果だと捉えています。
また、私たちはスタートアップによくある「人手をかけてトップラインを伸ばす=赤字を掘る」成長は選択していません。
前述の通り、建設業界は慢性的な供給不足にあります。
そのため、人手を投入し従来のやり方を踏襲すれば、売上を伸ばすこと自体は比較的容易です。しかし私たちは、あえてその道を取らず、プロダクトとオペレーションの構築を優先してきました。
それは、BALLASのMissionである「建設業の最適化」は、従来の延長線上ではなく、新たな仕組みの上にこそ実現されると考えているからです。

2. パートナーシップ拡大と事業シナジー創出
「建設業の最適化」を進める上で、業界ステークホルダーとの連携は不可欠です。特に、部材製作を担うパートナー工場は本事業の基盤そのものです。
この4年間で、取引を開始したパートナー工場様は170社まで拡大しました。
また、BALLASの成長は、そのままパートナー工場様の成長にもつながっています。
実際に、「採用を増やすことができた」「工場の稼働が安定した」といった声を数多くいただいています。単なる取引関係にとどまらず、サプライチェーン全体の供給力を引き上げるパートナーシップが、着実に広がっています。
動画版はこちらから、ご覧いただけます。
「川下から川上へ」、そして「一大プラットフォーム」への挑戦
次の4年間に向けて、私たちはさらにダイナミックな事業拡大を仕掛けていきます。
1. デジタルで武装しながらサプライチェーンを「逆流」し、川上へ
現在、私たちは「部材調達」という、最も現場に近く、デジタル化の価値が最も発揮されやすい領域から事業を展開しています。
今後は、この領域で蓄積した実績と精緻なデジタルデータを基盤に、施工、さらには部材開発といったより上流工程へと展開していきます。
川下から川上へ。
サプライチェーンを“逆流”するかたちで、より広い領域の最適化に踏み込みます。
2. あらゆる部材を網羅する「一大プラットフォーム」
特定の材質や部材にとどまらず、建設に必要なあらゆる部材・材質を網羅していきます。
「BALLASに頼めば、あらゆる部材が最適な形で揃う」
そんな状態を実現し、建設業界におけるインフラとなるプラットフォームを構築します。

これら、縦(川上展開)と横(領域拡張)の2つの軸に対して、時間軸と優先順位を明確にしながら、戦略的に事業をスケールさせていきます。
BALLASは今、産業構造そのものに踏み込むフェーズに立っています。
最後に
実は、私自身はBALLASに入社するまで建設業界との関わりは全くありませんでした。
(父は総合建設会社で定年まで勤めていましたが、自身のキャリアの中で意識することはありませんでした...)
しかし、BALLASに出会い、建設業の実像を知るほどに、建設業の抱える課題は日本の旧来のビジネスモデルが抱える課題そのものだと感じるようになりました。
「なぜ日本ではDXが進まないのか」
その問いの本質は、建設業の構造の中に凝縮されていると捉えています。
私たちは、ITツールを表層的に適用した「一部にだけ恩恵があるDX」を目指していません。
また当然従来のやり方をなぞることも選びません。
泥臭いオペレーションと向き合いながら、これまでに業界になかったテクノロジーを実装し、融合させていく。
その先にある「建設業界全体の最適化」を、本気で実現する。
次の4年間で、これまでとは比較にならないスケールの1歩を踏み出します。
もし、同じように「産業そのものを変えたい」と思っている方がいれば、ぜひ一度お話しできると嬉しいです。この大きな挑戦を、ともに前に進めていける仲間と出会えることを楽しみにしています。
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