見出し画像

英語喋れないけど、アメリカ一人で横断してみた 入国編

こちらの続きです。


最初で最大の難所

機内の乗客は多国籍に富んでいたように思える。日本旅行からの帰りなのか、日本を経由してアメリカを旅行する客なのか。自分が見る限り、日本人はあまりいなかったように思う。
着陸後、いち早く外に出たいのは、万国共通なのかも知れない。10時間のフライトであれば尚更だ。席を立ち、機内へ持ち込んだ荷物を抱え、乗客みな扉が開くのを、今か今かと待ち構えている。

ようやく機内の扉が開き、その長い列はゆっくりと前方に進んでいく。搭乗出口に続く連絡通路の窓から見た景色では、まだアメリカに来たという実感は湧いていなかったと思う。

しばらく進むと「Visitor」、「Resident」の案内版がそれぞれ見えてきて、ついにこの旅の最初で最大の難所に近づいていることを実感する。

Immigration(入国審査)の看板を通ると、自分が想像していたよりは少し規模が小さめなフロアが広がっていた。
列はVisitorResidentの二つに分かれていて、その列は入国審査のレーンに続いており、記憶が定かではないが、レーンは4つあった気がする。
つまり審査の対応をしてくれる方が4人いて、そのどなたかに自分が入国するに値するかをテストしてもらうのだ。
Visitorの列は長く、心の準備も兼ねてだいぶ後ろの方に並んだ。機内を急いで出る必要なんて全くなかった。

足が小刻みに震えている。鼓動が早くなっているかどうかまでは感じなかったが、足の震えが全く止まらない。この震えが相手に伝わり、不信感を持たせてしまう可能性もあるので、何としても自分の番までに止めなければならない。

こういう状況になるといかに自分は己の事をわかっていないかを実感させられる。
どうやら自分は緊張をすると口を尖らせる傾向にあるみたいで、足を小刻みに震わせ、口を尖らせながら、なんとか緊張を和らげようとするもうすぐ36歳のおじさんが立っていた。

そんな緊張をよそに自分が乗っていたであろう飛行機のスチュワーデス御一行がキャリーケースを転がし、10時間の業務後の非常にリラックスした様子で同僚達と会話に花を咲かしながら、専用のレーンに進んでいく。一応旅行客と同様に審査はされているようだが、なんともスムーズに通過されていく。数分でその御一行はゲートの外に消えていった。

Residentの列もVisitor程ではないが、列ができていた。その中の一人に自分の座席の近くに座っていた乗客のひとりが列に並んでいるを見えた。
機内での会話が中国語だったので、おそらく中国の方だろう。
通路挟んだ隣の座席だったが、よく寝ていたので、覚えている。

「なんでこんなにぐっすり眠れるんだろう。入国審査怖くないの?随分余裕だな。」

頭のメモリが入国審査に支配されている自分からしたら乗客全員がこの関所が気掛かりであるだろうと思っていた。

だが、その余裕も全てが納得いった。だって、レジテントだから。その国の居住者だから。家に帰るだけだもんな。
手にしているパスポートは紺色のものだったし、アメリカの方だったんですね。

列は少しずつだが、進んで行き、勇者達が続々とゲートを通過していく。みんな堂々と対応していてすごい。
自分達一般旅行客はどうやら2つレーンどちらかに割り当てられるみたいで、前の審査が終わり次第、空いたレーンに案内される。
コンビニの会計で並んでいる時と同じだ。「次の方どうぞ」か「next」かの些細な違いだ。

対応している2人の審査員を見ていたんだが、一人はドレッドヘアの若めのスタッフで、もう一人はちょっと圧がありそうなベテランのおじさんだった。
ドレッドヘアのお兄さんはなんとなく柔らかそうな印象があった。

「頼みます!ドレッドヘアでお願いします!できる限りのお金をこの国に落としていきますし、用が済んだらさっさと自国に帰ります。」

ダメもとで願ってみる。

「next.」
めんどくさそうな顔でベテランのおじさんが俺を手招きしていた。

ついに始まった。入国審査

まずは自分から「Hai」と自然な笑顔で挨拶をし、パスポートを差し出す。
大丈夫。過去に証明写真を撮るときに自然な笑顔ができなくて、何度も取り直した経験があるから、その経験が今ここで活きているはず。足以外は震えていないから、緊張もバレていない。

「What is the purpose of your visit?」

来た。有名なやつ。これは練習したからね。

「サイトスィーイング」

なるべくはっきりと伝えた。あいまいさを残した方が英語っぽいのかもしれないが、聞こえなかったら元も子もない。

sightseeing?ok.

伝わっている。大丈夫。

「How long will you be staying?」

これも知ってるやつ。ちゃんと練習したよ。

「トゥエルブ・デイズ」

この質問は来ると思っていたから、事前に答えは用意していた。約2週間って言った方が良いのか悩んだけど、カレンダーを見て正確な日数を伝えたほうが怪しまれないと判断した。


反応がない。PCを触りながら、作業をしている。おそらく手続きを進めているのだろうか。

「How long will you be staying?」

「え??トゥ、トゥエルブ・デイズ」

初めてかのように聞いてきた。事前に答えは用意していた。戸惑ったけど、大丈夫なはず。

ベテランはまたキーボードをカタカタして、手続きを進めているようだ。

しばらく経って、手前にある指紋スキャナーを指差していた。
俺はその初めての機械にそっと左手を添えた。

数秒ぐらい経過したその時、ベテランが自分の左手を掴み、強く機械に押し付けた。

びびった。ものすごくびびった。
優しく添えるのはダメみたいだ。正確に指紋が読み取れないだろう。
優しいだけが正解じゃないことを思い知った。

指紋認証後、またいくつかPCを触った後に、パスポートを自分に差し出し、手のひらで出口の方へ促すジェスチャーをしてきた。

「あっ終わり?」

同じ質問含めて、3問しか聞かれなかった。
この旅を決意してから、約3ヶ月間、この関所が嫌すぎて何度か旅を断念しようと行かない理由を探したが、最終的にはなんとかなるだろうと信じるようにしていた。もはやアメリカ横断ではなく、通過がゴールになっていたであろう、この苦悩のテストは5分程で終わった。

アメリカへ入国

預けていた10キロ近くあるだろう荷物をしばらく待って、無事、地面に置かれている可哀想なそいつを回収し、出口をでた。
大した解放感だった。もうこの旅の目的を果たしたわけだ。
そんな解放感からか、真っ先にトイレへ向かった。

アメリカのトイレは小便器が気持ち日本より少し高めな感じがしたが、何より違うのは大の方の扉の下が30~40センチほどない事だった。
なんか海外ドラマか映画で見た記憶があったが、あれって本当だったんだ。理由を詮索する気はないし、興味もないので、さっさと用をすまして、出たかったが、ガタイの良いにいちゃんが口笛を吹きながら掃除をしており、掃除用が出口を塞いで出られなかった。
なんて言ったら良いかわからないので、なんとなく目配せをして、笑顔で退けてもらった。

さて、データローミングをonにしてネットを繋げたり、荷物を整理したりと色々やることはあるのだが、とりあえず外の空気が吸いたかったので、空港の外に出てみた。

サンノゼ空港


空港の入り口
サンノゼ空港

外を出てみると、自分と同じ乗客だった人達がウーバーを呼んで、続々と去っていく。入国審査の時に見つけた中国の方も誰かを待っているようだった。
標識は全て英語になっていて、信号を渡るときの音が独特だったり、信号の横に手の平のマークとその横にカウントダウンが表示されている。その時間内に渡れということだろう。
全ての光景が新鮮でようやくアメリカに来たんだと実感した。

レンタカーを借りる

安心したのも束の間、無事入国できたのは良いが、そこまで浸っていられない。次はレンタカーを借りなくてはならない。
サンノゼの宿までウーバーで行く気でいたのだが、調べてみると案外遠く、料金もかさむだろうと思い、思い切って運転してみることにした。
出発前日にHertz(ハーツ)というレンタカー会社で予約はしていた。調べてみるとアメリカでは超大手のレンタカー会社で、間違いないとのことだったので、あまり悩んでもしょうがないので、勢いで決めた。

レンタカーの店舗は空港の駐車場の中にあるとの事で、Googleマップを頼りに徒歩で向かっていった。

初めての英語の壁

レンタカー屋を見つけたは良いものの、英語での対応に不安があるため、ようやく解けた緊張が再度顔を出してきた。

受付してくれたお姉さんは感じは良さそうな人だった。
「はじめてのアメリカで緊張しているんだ」とか初心者ムーブを出して、ちょっと雑談に挑戦してみた。

免許を出してくれというので、国際免許と通常の免許どちらも差し出した。その他パスポートとか、予約番号とか伝えて、手続きを進めてもらった。
だが、ここではじめて英語の壁にぶつかる。
できるだけ料金を抑えたい自分としては、必要な保険はすべて入るが、余計なオプションはつけないでいた。

さっきまでこの日本人の観光客を優しく迎え入れてくれた、レンタカーのお姉さんがいくつか余計なオプションをゴリゴリ英語で進めてくる。

「あなたは初めてのアメリカで、不安も多いでしょ。何かあった時のためにレッカーサービスとガソリンも距離精算が絶対良いよ。自分でガソリン入れるのは大変でしょ。」

多分こんなことを言っていたんだと思う。

なんとか必死に拙い英語で対抗しようと努めたのだが、

「いや入った方がいい。不安でしょ。」

どうやら下がる気はなさそうだった。
ガソリンも自分で入れたほうが安いと聞いていたので、そこも頑張ってみたかったんだけど、もううるせぇからその余計なオプションに入ってやることにした。
こっちが英語を喋れない事を良いことに押し通してきやがった。
なんせ全く、口から英語が出てこないんだもの。

「レンタカーはAのエリアに置いてあるやつならなんでも良いよ。鍵は中にあるから、決めたらそのまま乗っていって。」

オプション代を上乗せる事ができて、上機嫌な優しい笑顔のお姉さんに送り届けられ、サンフランシスコまで共にする車を選ぶことになった。

できれば運転に慣れている日本車がよかったのだが、見当たらなかったので、そこそこ綺麗な車だったらなんでも良いやと思い、適当に決めた。

実際にレンタルした車

事前にアメリカの交通ルールはなんとなく調べていた。
・右車線
・赤でも前方に車が来ていなければ、右折して良い

日本のルールと違うところだと、この2つぐらいだろうと思う。他にも細かいルールはたくさんあるのだろうが、結局、多少怖い思いしながら走らないと慣れないだろうと腹を決めて、ナビも設定せずにとりあえず発進させ、駐車場を出た。

長くなったので、今回はここまでとします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!