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高い学費より価値がある。親が子どもに残すべき本当の財産

子どもの進路は、親が決めるものなのでしょうか。それとも子ども自身が決めるものなのでしょうか。長女の転校を通して私が気づいたのは、親の役割は「正解の学校を探すこと」ではなく、「子どもが自分で選べる人に育てること」でした。

親は学校を選ぶ人ではなく、子どもが選べる環境をつくる人

前回の記事では、「教育費は高く払うことではなく、目的に使うこと」について書きました。

では、その「目的」は誰が決めるのでしょうか。

親でしょうか。

学校でしょうか。

私は今回、長女の姿を見て、その答えが変わりました。


私が探していたのは「良い学校」だった

転校が決まったとき、一番焦っていたのは私でした。

どの学校がいいのか。
どの卒業資格が有利なのか。
どこなら将来困らないのか。

親として、一番良い選択をしなければならない。

そんな思いで毎日情報を集めていました。

でも、ふと気がつくと、長女は私とは違うことをしていました。

学校のホームページを読み比べ、

「こういうオンライン学校がある。ここがいいと思う。」

そう言って長女が見せてきた学校は、私がまったく候補に入れていなかった学校でした。
正直、「本当に大丈夫?」と思いました。今でもちょっと思っています(苦笑。

でも、話を聞いているうちに驚きました。私より、この子の方が目的を理解していたのです。

ブランドイメージ(オンラインなんてよくないとか)に惑わされることなく淡々と高校卒業資格が得られ、自分に必要な科目が学べるのか確認し、
医学部受験には何が必要なのかを自分で調べ始めていたのです。

私は「学校」を探していました。

長女は「夢に近づく方法」を探していました。

子どもが選ぶ力は、突然は育たない

「自分で調べられる子・決められる子でよかったですね。」

そう言われることがけっこうあります。

でも、私はこれは性格だけではないと思っています。

子どもが自分で選ぶという行動には、

「自分で決めてもいい」

という安心感と、

「失敗しても大丈夫」

という土台が必要です。

その土台がなければ、人は誰かに決めてもらう方が楽だからです。

私たちが一緒に経験してきたこと

振り返ると、我が家は教育移住を4回経験しました。
海外サマースクールは合計5回。その他海外旅行も数多め。

海外で言葉が通じない。

文化が違う。
思うようにいかない。
香港ではダメヘルパーをクビにし、パリでは地下鉄を乗り間違え、オランダではバスが来ず、クロアチアでエアビーのオーナーとトラブル(合鍵で勝手に部屋に入られた)。ローマでは集団スリに取り囲まれ、トルコでは長距離バスターミナルでお互いはぐれそうに。

そのたびに親の私も困りました。

海外では、親の私もできないことがたくさんある。
親にも初めてのことがたくさんある。

子どもたちは親が戸惑う姿を見て自然にそれを理解したのだと思います。

そのたびに親子で話し合い、困ったことを一緒に考え、時には失敗しながら前に進んできました。

そんな経験を「大変だったね」で終わらせるのではなく、

「じゃあ、どうしようか。」

と親子で考えてきました。

私は、この積み重ねが子どもの中に

「自分で考えれば何とかなる」

という感覚を育ててくれたのではないかと思っています。

親の仕事は、お金だけではない

もちろん、親には教育費を準備する責任があります。

できるだけ選択肢を広げてあげたいと思うのも自然なことです。

でも、本当に子どもの未来を広げるのは、お金だけではないと感じています。
だから私は、主体性は学校で教わるものではなく、家庭での経験の積み重ねで育つものなのだと思うようになりました。

「何をしたいのか。」

「そのためには何を選べばいいのか。」

そう考え、自分で決断できる力の方が、ずっと大きな財産です

学校を与えることはできても、人生は与えることはできません。

だからこそ、親が育てるべきなのは、「選択肢」だけではなく、「選ぶ力」なのだと思います。

親子で苦労した経験は、一生の財産になる

最近、「子どものために何を残せばいいですか」と聞かれることがあります。

私は以前なら、

英語力、
良い学校、
資格、

そんなものを挙げていたかもしれません。

でも今は違います。

親子で一緒に困った経験。
一緒に乗り越えた経験。
一緒に笑った経験。

異文化の中で、「どうする?」を何度も繰り返した経験。

それこそが、子どもが人生で迷ったとき、

自分で立ち上がる力になるのだと思います。

親の役割は、決めることではなく育てること

今回の転校で、私は一つのことを学びました。

親は、子どもの代わりに学校を選ぶ人ではありません。子どもが、自分の夢に合わせて学校を選べる人になるよう育てる人です。

そのために必要なのは、高い学費でも、たくさんの資格でもありません。

親子で一緒に未知の世界へ飛び込み、困難を乗り越え、考え、話し合い、「自分で決める」経験を積み重ねることです。

経済的な環境を整えることも親の大切な役割です。

でも、それだけでは十分ではありません。

親が本当に残せるものは、子どもが人生の岐路に立ったとき、自分の頭で考え、自分の足で一歩を踏み出せる心の土台です。

それこそが、どんな学校よりも、どんな資格よりも、子どもの人生を支える力になるのではないでしょうか。

私は、子どもに最高の学校に行かせたいとは思わなくなりました。

どんな環境でも、自分で考え、自分で選び、自分で歩いていける力を残したい。

その力こそ、親が子どもに贈れる最高の教育なのだと、今は思っています。

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