【第2話】「専門家」に言われ続けた“英語をやめて”─発達センターで揺れた我が家のバイリンガル育児
前回の記事では、1歳半健診での指摘を受け、
子どもの相談室を経て、自治体が運営する発達センターの予約を
とったところまでをお話ししました。
今回は、その発達センターで
実際に体験した出来事について書いていきたいと思います。
1. 発達センターの初回面談
正直、このときの私は本当に何も知りませんでした。
発達センターという場所が“何をしてくれるところなのか”も分からず、
「専門家に診てもらえれば、きっと言葉が伸びるはず」
そんな淡い期待だけを抱えて、初回の面談日を迎えました。
センターに到着すると、そこには前回と同じように
言語聴覚士(ST)の方が待っていました。
案内された10畳ほどの明るい部屋に、
STが持ってきたのは、段ボール箱いっぱいのおもちゃ。
電車のおもちゃ、アンパンマン、積み木。
1歳半〜2歳の子が好きそうなものばかり。
レイは状況が飲み込めず、部屋を歩き回りながら、
時折、感覚刺激を求めるような動きを見せていました。
↓感覚刺激については、こちらで詳しく書いています。↓
そんなレイに向かって、
STは明るい声でこう言いました。
「レイくーん、一緒におもちゃで遊ぼう〜!」
ここからが、いわゆる「療育(セラピー)」の開始でした。
とはいえ、当時の私はその“療育”という言葉すら、
深く理解していませんでした。
2. これは一体何の時間?月1回・1時間だけの“療育”
自治体の発達センターは、診断がなくても通えます。
ただその反面、提供されるプログラムは驚くほどシンプルでした。
月に1回、1時間。
親同伴で、STと一緒に遊ぶだけ。
STいわく、「遊びながら言葉を促す」ということらしいのですが……
私はレイの好みも、笑いのツボも知っています。
だから家でも同じように遊べるし、実際に笑わせることもできる。
そんな私の姿を見てSTは、
「お母さん、上手〜!レイ君との遊び方、すごく良いです!」
と褒めてくれるのですが、
それを聞きながら私は心の中でつぶやいていました。
……いや、これで何が変わるんだろう?
これは、一体何の時間?
月1回、1時間。
そのために、仕事を調整し、午前休を取り、
その日は保育園にも行けなくなる。
もちろん効果があるなら構いません。
でも、この時間が本当にレイの成長につながるのか——
レイと一緒にその療育に参加しながら、
次第にその意義が分からなくなっていきました。
3. ここでも繰り返される“バイリンガル否定”
その日の一時間の療育が終わりに近づいたころ、
STはレイの様子を見ながら、こう言いました。
「うーん、レイ君は言葉が遅れていますね。
お父さんは英語で話していると聞きましたが……
やはりバイリンガル環境は今すぐやめたほうがいいと思います。
子どもが混乱しますから。」
……また、出た。
「言葉が遅れている」なんて、私だって分かっています。
だから来ているのに、どうしてまた“バイリンガルのせい”になるのか。
胸の奥で、またひとつ違和感が積み上がりました。
4. 専門家の助言に揺れた家庭 - パパの母語と、ママの焦り
とはいえ、当時の私はSTの言葉を否定する勇気がなく、
「専門家が言うなら……」と半ば信じようとしていました。
そして帰宅後、私はパパにこう言いました。
「発達センターのSTから、
家ではパパは英語を話さないようにって言われたよ。
日本語で頑張って話してほしいって。」
パパは渋々うなずきながらも、
明らかに悲しそうでした。
パパは日系人で日本語も話せますが、
母語は英語です。
息子に話しかける時、自然と英語が出てしまう。
でも、私は焦りと不安でいっぱいで、
次第にヒステリックにパパに怒鳴るように
言うようになっていました。
「言われた通りにちゃんとやって!
英語はやめてって言われたじゃん!
レイの言語習得が遅れちゃうよ!」
今思えば、あれは私自身が追い詰められていたのだと思います。
5. こうして、月1回の“療育”が始まった
納得はしていない。
効果も見えない。
でも、他の方法も分からない。
だから私たちは、
「とりあえず通うしかない」
そう思い、月1回・1時間の療育を続けることにしました。
しかし——
この1年半の“療育”が、結局何ひとつ改善につながらないという現実を、
当時の私たちはまだ知りませんでした。
▶次回に続く。
【第3話】1年半通っても進歩なし、
次回は、当時の葛藤を書いていこうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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