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Global Fundraisingを読む その1

「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。

御覧いただき、ありがとうございます。

noteのできるだけ毎日更新を実践しています。現在の曜日ごとのテーマはこちら。わかりにくいですが、今日は月曜なので、「【月】社会と組織を読み解く日:非営利組織の経営(連載)/社会学/ドラッカー/政策」となります。

さて、下記の記事で、日本では大学などでファンドレイジングやら非営利組織のマネジメントやらを体系的に学ぶことができない、というような話を書きました。

そんな中、ファンドレイジングの実践者であり教育者でもあるバーナード・ロスさんが2013年に刊行された『Global Fundraising』を発見し、しばらくこの本を読んでいきます、と言う話を下記の記事でしました。

ということで、今回は前書き部分である第1章を読んでいきたいと思います。

第1章 グローバルファンドレイジング入門

この章は著者の紹介、この本の構成などを説明している部分です。内容に入る前に、訳語を確認しておきます。

Fundraising:募金活動
Philanthropy:慈善活動

辞書的にはこのように訳されていますが、この業界の用語としてはカタカナの方が定着しているのでしょうか?

「非営利組織が活動のための資金を、個人、企業、他の非営利組織、政府などから集める行為の総称である。営利組織(企業)の資金調達にもこの語が使われることがあるが、一般的には、ファンドレイジングとカタカナ表記をして非営利法人の資金調達を指す場合が多い。」

「英語のphilanthropyをもとにした外来語である。philo(愛する)、anthropos(人類) のギリシア語を語源とする。寄付活動についてはチャリティと呼ばれることが多かったが、Rockefeller, J. D. (ロックフェラー1世)が自らの活動をチャリティと呼ばずに、フィランソロピーと呼んだことから、かつては英語圏のなかでも特にアメリカにおいて好んで使用されていた用語である。ロックフェラーは、病人に薬を与える活動や必要とする人に食料を与える活動を「小売のチャリティ」と呼び、それに対して、薬を開発することを支援して病人をなくしたり、農業生産を増やす支援をして餓死者を救ったりする活動を「卸売りのフィランソロピー」と呼んで、財団の活動とは「フィランソロピー」を行うことだと主張した。とりわけ「科学的フィランソロピー」という用語を多用し、研究者支援をたくさん行った。従って、狭義には財団による専門的な支援活動をフィランソロピーということがあるが、広義には公益のための寄付・ボランティア活動すべてを含む。また、寄付者のことをフィランソロピストと呼ぶ。」

とあります。ですので、この翻訳では辞書的な翻訳ではなく、これらの語はカタカナの概念として扱いたいと思います。

早速、このような表記があります。

本書は、ファンドレイジングを揺るがし、フィランソロピーが盛んな地域や、ファンドレイジングにおける革新性と創造性が存在する地域についての概念を打ち砕く、フィランソロピーにおける世界的な発展について論じています。

Global Fundraising CHAPTER1より翻訳

何よりもまず、本書は世界中のファンドレイジング担当者のためのものです。また、自国の国境を越えてフィランソロピーの可能性を検討している非営利団体のCEOのためのものです。

Global Fundraising CHAPTER1より翻訳

明確にファンドレイジングとフィランソロピーという言葉を使い分けています。企業であれば、資金を調達してそれを経済活動のために運用しますが、この調達と運用の関係と同じだと思ったら、理解しやすそうだな、と思いました。

さて、この章では全体を俯瞰して7つのメガトレンドが紹介されています。目次的に並べて、それぞれ解説していきます。あくまでも2013年時点のメガトレンドですから、10年以上前のものですが、今でも当てはまるのでしょうか?


トレンド1:巨額の富が継続的に増加しており、その一部はフィランソロピーに流れている

ここではまず、世界的な不平等の拡大と富の集中について語られ、アメリカのGiving Pledgeが成功例として挙げられています。

が、まず富の偏りすら明確になっていない湾岸諸国やロシア、NGOが寄付者の期待に答えられる水準ではないメキシコ、あるいはマラウイや南アフリカが紹介されています。

団体側では資金調達の専門家を雇用してこの状況に答えようとしている、とあります。つまりはファンドレイザーのことですが、寄付者側も団体や活動を見極める目を持つことも大事だと書かれています。

トレンド2:ファンドレイジングやその他の分野における非営利団体のイノベーションは、もはやアメリカやヨーロッパだけから生まれているわけではない

インド、中国、アルゼンチン、ケニア、チリ、タイという国名が紹介されています。

トレンド3:土着のNGO/NPOは世界中で増加し続けているが、巨大な組織も出現している

ヨーロッパまたは北米に起源を持つ、多くの点で商業的な多国籍企業のように活動する巨大なNGOが増えていて、国内NGOにとって、これらの機関はウォルマートやマクドナルドのような、歓迎されないグローバリゼーションの一形態に見えるかもしれない、という話をしています。発展途上国の機関がグローバルな国際NGOの地位に成長する兆候はまだ初期段階、ともあります。

トレンド4:フィランソロピーの役割と国家の役割について世界中でかなりの議論がある

富裕層の寄付が大きな影響力を持つこと、それに伴い、その行為が教育、医療、社会保障における国家の「適切な」役割を損なう可能性があるという意見もあることが紹介されています。また、エチオピア、ルワンダ、ロシアなど、本稿執筆時点で「反NGO」法が検討されるか導入されているそうです。ベネズエラではNGOを国家による恒久的な監視下に置く新しい法律が制定され、ジンバブエでは多くのNGOの活動が停止された、ともあります。10年以上前のことなので、現在はどうなっているのかわかりませんが、ともかく、ソーシャルセクターが拡大し、なおかつ国境を超えるとなると、このテーマはきちんと考えられないといけないな、と個人的に共感しました。

トレンド5:ファンドレイジングはより専門的かつプロフェッショナル化している

ファンドレイジングの急増により、スキルと経験を備えたファンドレイザーの需要が高まっているものの、実際には、募集されているすべてのポストを埋めるのに十分な数のファンドレイザーがいません。その結果、多くの国で、スキルと能力のあるファンドレイザーの賃金が大幅に上昇しています、とあります。また、理論的根拠としての学問分野への言及もあります。米国、カナダ、ヨーロッパでは、大学がファンドレイジング家のための学位レベルの専門資格を提供している、とあります。日本もいずれそうなるのでしょうか?

トレンド6:新しいソーシャルテクノロジーの重要性については誰もが同意するが、その方法については意見が分かれている

ダイレクトマーケティング手法の発展としてのソーシャルメディアの利用の話です。が、ソーシャルメディアの利用率が高い国がファンドレイジングでも成功しているとは限らない、ということです。プラットフォーム、特に国際的な寄付のプラットフォームの必要性にも言及されています。このテーマはきっとここ10年で劇的に状況が変化しているのではないかと思います。

トレンド7:フィランソロピーは、非営利機関のための成文化された市民社会構造と規制がある場合に最も繁栄する

タイトルだとわかりにくいですが、説明はわかりやすいです。

ファンドレイジングを活性化させるためには、寄付者がNGO/NPOの特別な地位を認識し、理解できなければなりません。一部の国では、この特別な地位は、洗練された規制体制と税制優遇措置によって確立されています。

Global Fundraising CHAPTER1より翻訳

そしてこのことは、ソーシャルセクターだけではなく、いわゆるルールメイクをするガバメントセクターの関与も必要であることを示唆しているようです。

ここでの重要なメッセージは、フィランソロピーだけでは世界を変えることはできないということです。フィランソロピーは、より大きな善のために活動する、規制された市民社会の主体のグループの一部を形成する必要があります。そして、政府や企業などの他の主体は、それぞれの適切な立場を知る必要があります。そして、それぞれが活動するルールは明確である必要があります。

Global Fundraising CHAPTER1より翻訳

続いて、本書の構成が紹介されています。こちらは目次的に、箇条書きで紹介します。

本書は2部構成の16章で構成されています。第1部では特定の地域や国を巡り、第2部では世界的なファンドレイジングの4つの重要な側面、すなわち主要な寄付者、ソーシャルメディア、イノベーション、そしてチャリティの巨人を取り上げています。

Global Fundraising CHAPTER1より翻訳

第1部の構成はこちら

第2章 中国
第3章 日本
第4章 ラテンアメリカ
第5章 西ヨーロッパ
第6章 北米
第7章 オーストラリア・ニュージーランド
第8章 中央ヨーロッパ・東ヨーロッパ
第9章 ケニア・南アフリカ
第10章 中東・北アフリカ(MENA)
第11章 韓国・シンガポール
第12章 インド

第2部の構成はこちら

第13章 新しいフィランソロピーの巨人たち
第14章 ソーシャルメディア
第15章 イノベーション能力
第16章 チャリティの巨人たち

これらは章タイトルではなく、あくまでも第1章の本文からの構成です。

この章の最後には、最新情報を寄せてもらうための独自のWikiのURLが紹介されていますが、残念ながらそちらは既に無くなっているようです。

はい。ということで第1章はここまでなのですが、非常に素晴らしい導入の章で、各国部分も読みたくなってきました。

とはいえ10年以上前のものなのでどうしようかと思いましたが、まずは次回、第3章の日本を読んでみようかな、と思いました。この部分に書かれていることと、今の日本の現状を比較してみて、どのくらい差があるのかがわかれば、その感覚で他の国についても読むことができるかな、と思ってのことです。

ということで、次回の記事で、またお会いしましょう。

現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎ですし、もちろん記事の引用・紹介も嬉しいです。

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