ファンドレイジングの専門家バーナード・ロス氏の本が出てきた
「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。
御覧いただき、ありがとうございます。
noteのできるだけ毎日更新を実践しています。現在の曜日ごとのテーマはこちら。わかりにくいですが、今日は月曜なので、「【月】社会と組織を読み解く日:非営利組織の経営(連載)/社会学/ドラッカー/政策」となります。
さて、下記の記事で、日本では大学などでファンドレイジングやら非営利組織のマネジメントやらを体系的に学ぶことができない、というような話を書きました。
そこでちょっと思い出したのですが、いつだったかの日本ファンドレイジング協会のイベントで、海外からゲストのお客様がいらっしゃって、その方の本を確か購入したな、と。
探したら2冊出てきました。

右の本にはサインもいただいていました。(もちろんカッパ宛ではなく、世を忍ぶ仮の姿の名前になっています。)

2014年? もう12年前?
ちょっと恐ろしい気がします。
これらの本がいったいどういう本なのか、この写真をアップしてAIに調べてもらいました。
ご提示いただいた2枚の写真にある、バーナード・ロス(Bernard Ross)氏が共著者となっている2冊の本ですね。どちらも非営利団体(NPO)やチャリティ活動における「資金調達(ファンドレイジング)」の専門書として非常に高く評価されているものです。
それぞれの内容の要点をまとめました。
1. The Influential Fundraiser
(インフルエンシャル・ファンドレイザー:説得の心理学を用いた成果の出し方)
この本は、寄付をお願いする際の**「対人スキル」と「心理学」**に焦点を当てた一冊です。
・主なテーマ: 心理学の知見(特にNLP:神経言語プログラミング)をファンドレイジングに応用すること。
・内容のポイント:
・5つの心理的プロセス: 相手を説得し、行動(寄付)に移してもらうため のステップを解説しています。
・関係構築: 支援候補者が何を考え、何を求めているかを深く理解し、信頼関係を築くための具体的なコミュニケーション術を提案しています。
・「No」を「Yes」に変える: 断られた際のアプローチや、相手の懸念を払拭する方法など、実戦的なテクニックが豊富です。
・こんな人におすすめ: 実際にドナーと会って話をすることが多い担当者や、交渉力を高めたい方。
2. Global Fundraising
(グローバル・ファンドレイジング:世界はいかにフィランソロピーのルールを変えているか)
こちらは、世界各地の**「市場動向」や「文化的な違い」**を網羅した、よりマクロな視点の一冊です。
・主なテーマ: 世界各国の寄付文化の違いと、グローバルな資金調達戦略。
・内容のポイント:
・地域別の分析: 米国、欧州だけでなく、アジア、アフリカ、中東など、それぞれの地域でどのように慈善活動(フィランソロピー)が進化しているかを解説しています。
・最新のトレンド: テクノロジーの進化や、新興国における富裕層の台頭が、従来の資金調達にどのような影響を与えているかを考察しています。
・文化への適応: ある国で成功した手法が別の国では通じない理由など、異文化間でのファンドレイジングの難しさと対策を学べます。
・こんな人におすすめ: 国際NGOで働いている方や、海外の支援者を開拓したいと考えている組織のリーダー。
まとめ**『The Influential Fundraiser』は、「どう話せば相手の心を動かせるか」**というミクロな技術書。
**『Global Fundraising』は、「世界中の異なる文化でどう資金を集めるか」**というマクロな戦略書。
どちらの本も、著者のバーナード・ロス氏がコンサルタントとして培った膨大なデータと実例に基づいているのが特徴です。
なるほど。続いて、バーナード・ロス(Bernard Ross)氏のプロフィールを、特にアカデミックな側面に焦点をあてて、教えてもらいました。
バーナード・ロス(Bernard Ross)氏は、非営利セクターにおける戦略立案とマネジメントの世界的権威ですが、その活動の根底には非常に強固なアカデミックなバックグラウンドと、理論を実務に応用する「プラクティショナー(実践家)」としての顔があります。
彼のプロフィールをアカデミックな側面に焦点を当ててまとめました。
バーナード・ロス(Bernard Ross)氏:アカデミック・プロファイル
バーナード・ロス氏は、複雑な心理学や行動科学を「社会変革(ソーシャル・チェンジ)」のために体系化した先駆者です。
1. 専門領域と研究手法
彼の学問的な基盤は、単なる経営学にとどまらず、多岐にわたる学際的なアプローチにあります。
・行動科学・行動経済学: 寄付者がなぜ特定の行動をとるのか、意思決定の背後にあるバイアスや動機を科学的に解明することに注力しています。
・NLP(神経言語プログラミング): コミュニケーション心理学の一環として、言語が思考や行動に与える影響を研究し、これをファンドレイジングの説得術(Influential Fundraiser)として理論化しました。
・システム思考: 組織や社会全体の構造を一つのシステムとして捉え、持続可能な成長のための戦略立案プロセスを研究しています。
2. 教育・研究機関での役割
彼は世界トップクラスのビジネススクールや大学で教鞭を執り、次世代のリーダー育成に貢献しています。
・INSEAD(欧州経営大学院): 世界最高峰のビジネススクールの一つであるINSEADの「ソーシャル・アントレプレナーシップ・プログラム」にて、長年客員講師を務めています。
・その他の主要大学: オックスフォード大学の「サイード・ビジネス・スクール」や、ヘンリー・ビジネス・スクールなど、名門校の修士課程やエグゼクティブ・プログラムで、非営利組織の戦略マネジメントを講義しています。
3. 主な学術的・専門的著書
彼の著書は、実務家向けでありながら、徹底した調査と理論的裏付けに基づいた「教科書」として扱われています。
著書(原題) アカデミックな焦点
The Influential Fundraiser 説得の心理学、行動科学の応用。
Global Fundraising 社会学、文化人類学的視点からのフィランソロピー分析。
Breakthrough Strategy 戦略的思考法とイノベーション理論。
Decision Science for Brave Noble Leaders 最新の意思決定科学(ディシジョン・サイエンス)の活用。
4. 評価と受賞歴
彼の研究と実践の融合は、学術界および専門家団体からも高く評価されています。
・AFP(ファンドレイジング専門家協会): 彼の著書や活動は、AFPの公式認定テキストとして採用されるなど、業界の標準理論(Gold Standard)として認められています。
・国際的な講演: ダボス会議(世界経済フォーラム)関連のイベントや、国際的な学術カンファレンスでの登壇実績が多数あります。
学問的特徴のまとめ ロス氏の最大の特徴は、「理論のための理論」に終わらせない点にあります。彼は、オックスフォードやINSEADで教える高度な戦略理論を、アフリカの野生動物保護団体や、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの現場で即座に使える「実践的なフレームワーク」へと昇華させる能力に長けています。
実際にお会いしたときの印象ですが、とてもソフトで高い人格を感じる方でした。そういう意味では下記の記事で書いたような、何かの学問の門番というスタンスではなく、テーマに応じて様々な学問領域から使えるものを使っている、という印象ですね。素晴らしいと思います。
そもそも、彼の学問的バックボーンが気になりましたので、一応、そちらも訊いてみました。
バーナード・ロス(Bernard Ross)氏の学問的バックボーンは、単一の学位以上に、「行動科学(Behavioral Science)」、「意思決定科学(Decision Science)」、そして**「心理学」**を統合し、実務へと応用する学際的な研究に根ざしています。
彼のキャリアと活動から読み取れる、証拠(エビデンス)に基づいた学問的背景は以下の通りです。
1. 行動科学と意思決定科学(Decision Science)
ロス氏の最も強力なバックボーンは、近年急速に発展した行動科学と意思決定科学です。
・エビデンス: 彼は国連(UNICEF)のオマール・マムード氏と共同で、社会変革における意思決定をテーマにした著書『Change for Good』を出版しています。この著作は、行動経済学、神経科学、進化心理学の最新の理論を、どのようにファンドレイジングや社会貢献に適用するかを論じた学術的価値の高いものです。
・活動: 彼は「Decision Science Lab」を主宰し、寄付者が選択を行う際の生理学的反応(心拍数や脳の反応など)を調査する研究などを行っています。
2. 神経言語プログラミング(NLP)と心理学
彼はコミュニケーション心理学の一種である**NLP(神経言語プログラミング)**のマスター・プラクティショナーであり、これを学問的ベースの一つとしています。
・エビデンス: 写真にある著書『The Influential Fundraiser』の序文や解説において、彼は自身のメソッドがNLPに基づいていることを明言しています。
・理論化: 彼は単なるテクニックとしてではなく、相手の思考パターンや言語体系を分析する心理学的フレームワークとしてNLPを再構築し、プロ・ソーシャル(親社会的な)文脈での「説得の心理学」を体系化しました。
3. 世界最高峰の教育機関での「教授・研究」実績
彼のアカデミックな専門性は、彼自身の学位のみならず、**「どこで、何を教えているか」**という客員教授・講師としての実績が何よりの証拠(エビデンス)となります。
・INSEAD(欧州経営大学院): ロス氏は、世界のビジネススクールランキングで常にトップクラスに位置するINSEADの「ソーシャル・アントレプレナーシップ・プログラム」で講師を務めています。ここでは高度な戦略マネジメント理論を教えています。
・オックスフォード大学(Saïd Business School): オックスフォードのビジネススクールでも、エグゼクティブ・プログラムの講師として登壇しており、学術的な厳密さが求められる場での信頼を確立しています。
4. 学問的バックボーンの要約
彼の専門性は、以下の3つの柱が融合したものです。認知心理学・神経科学: 脳がどのように情報を受け取り、感情を動かすか。
・行動経済学: 人間が合理的ではなく、どのようなバイアス(偏り)を持って意思決定するか。
・戦略マネジメント理論: 組織が持続的に変化を起こすためのシステム思考。
補足としての注意点: 同姓同名で「スタンフォード大学のバーナード・ロス教授(デザイン思考の権威)」という人物がいますが、こちらは別人ですのでご注意ください。今回ご質問のロス氏は、ロンドンを拠点とする**「=mc consulting(Management Centre)」**のディレクターであり、行動科学による社会変革の専門家としてのバーナード・ロス氏です。
なるほど、NLPを学んだ人だったのですね。ここいらへんは、コーチングを研究していてファンドレイジングや非営利組織のマネジメントに関心が広がった自分と重ね合わせて親近感を感じてしまいました。
この後、念のため学歴についても訊いてみましたが、公開情報ではないようで、
バーナード・ロス氏は、特定の「〇〇大学卒業」という肩書きよりも、**「心理学、行動科学、マネジメント理論を統合し、国連や国際NGOの現場で結果を出してきた実戦的な知性」**をバックボーンとする人物です。
彼が率いるコンサルティング会社「=mc (The Management Centre)」は、イギリス最大級の非営利組織向けマネジメント機関であり、そこでの30年以上の研究・実践が、彼にとっての「最高学位」に相当するものと言えます。
とのことでした。「実戦的な知性」って言葉、いいですね。
個人的には『Global Fundraising』に興味を持ったのですが、これを今、日本で紹介する意味があるのか、尋ねてみました。
ご指摘の通り、『Global Fundraising』は2013年に出版されたもので、統計データなどは最新ではありません。しかし、日本のファンドレイジング実務者にとって、この本は**「単なるハウツー本」を超えた「思考の地図」**として、今こそ読む価値があると言えます。
その理由を、日本の現状に照らし合わせて3つのポイントで解説します。
1. 「日本流」を相対化できる(文化人類学的アプローチ)
日本の寄付市場は、欧米とは異なる独自の文化(例:お返し文化、匿名性の重視、災害時の互助など)を持っています。この本が提示するフレームワークを学ぶことで、「なぜ日本ではこの手法が効くのか(あるいは効かないのか)」を客観的に分析できるようになります。
・意味: 海外の成功事例をそのまま真似して失敗するリスクを減らし、日本の文脈に合わせた「独自の戦略」を立てるための論理的思考力が養われます。
2. 寄付者の「意思決定の普遍性」を学べる
データは古くても、著者が重視している**「行動科学(Behavioral Science)」**の知見は風化しません。人間が「なぜ、どのような心理で寄付を決めるのか」という根本的なメカニズムは、国や時代が変わっても大きく変わりません。
・意味: SNSやクラウドファンディングなど、ツール(手段)が進化しても、その裏側にある「人の心を動かす原理原則」は、本書が解説する理論で説明がつきます。
3. 「グローバル・スタンダード」という共通言語の習得
今後、日本のNPOが海外の財団から助成金を得たり、日本在住の外国人から寄付を募ったりする機会は増えていきます。
・意味: この本は世界中のファンドレイザーが読んでいる「共通の教科書」に近い存在です。グローバルな文脈での用語や戦略の立て方を知っておくことは、国際的な連携や、より大規模なプロジェクトを動かす際の**強力な武器(共通言語)**になります。
日本の実務者への伝え方のヒント
もしこの内容を周囲に伝えるのであれば、以下のような切り口が有効です。
「最新の数字(Data)ではなく、不変の構造(Structure)を学ぼう」
ツールや流行はすぐに変わるが、世界中の異なる文化圏で共通して見られる「寄付の心理的プロセス」を知ることで、小手先のテクニックに振り回されない戦略眼が身につく。日本市場を「特殊な場所」として閉じるのではなく、世界の中の1つの市場として客観視することで、新しい打ち手が見えてくる。
次のステップへのご提案
もしよろしければ、**本書の中で特に「ここは今でも通用する」という核心的な理論(例えば、地域の文化差を分析するフレームワークなど)**をいくつかピックアップして要約しましょうか?
それをもとにすれば、日本の実務者向けに「今、学ぶべきポイント」をより具体的に整理できるかと思います。
ここは提案に乗ってみましょう。
『Global Fundraising』の膨大な内容から、出版後10年以上が経過した現在の日本でも、実務者が**「これだけは武器として持っておくべき」**と言える核心的な理論を2つピックアップして解説します。
1. 「C.A.S.E.」フレームワーク(グローバル共通の適応戦略)
この本が提示する最も強力な概念の一つが、各国の文化や市場に合わせて戦略を調整するための**C.A.S.E.**というフレームワークです。これは「日本の寄付市場」を客観視するのに非常に役立ちます。C (Culture / 文化): 寄付は個人の意思か、家族やコミュニティの決定か?
日本への応用: 日本では「世間体」や「お返し(返礼品)」が寄付の動機に強く関わるため、欧米流の「個人の自己実現」を強調しすぎると違和感を生む可能性がある。
A (Authority / 権威・承認): 誰がその活動を承認していることが重要か?(政府、宗教指導者、あるいは著名人か?)
S (Systems / システム): 寄付を支えるインフラ(決済手段、税制優遇、法制度)は整っているか?
E (Economics / 経済): その国の富はどこに集中しているか?(富裕層、中間層、あるいは企業か?)
日本の実務者への示唆: 「なぜ海外の成功事例がそのまま通用しないのか?」を考える際、この4つの視点でボトルネックを探ることで、日本独自の「勝ち筋」が見えてきます。
2. 寄付者の「心理的スペクトラム(領域)」
本書は、世界中の寄付者の動機を単純化せず、以下の3つの層に分類してアプローチを変えるべきだと説いています。これは現在の行動科学にも通じる不変の理論です。
1.フィランソロピック(博愛志向): 「純粋に社会を良くしたい」という利他的な層。
2.トランザクショナル(取引志向): 「寄付することで自分にもメリット(税制優遇、特典、評判)がある」と考える層。
3.コミュナル(共同体志向): 「仲間がやっているから」「地域のために」というつながり重視の層。
日本の実務者への示唆: 日本は伝統的に「コミュナル(共同体)」の力が強い市場です。クラウドファンディングの流行もこの層の厚さを示しています。しかし、近年は「トランザクショナル(返礼品重視)」が強まりすぎていないか、あるいは「フィランソロピック」な層をどう育てるか、といった戦略的なバランスを検討する材料になります。
3. 「普遍的価値」と「ローカルな物語」の統合
ロス氏が強調するのは、**「ミッション(解決したい課題)は普遍的であるべきだが、ストーリー(伝え方)は徹底的にローカルに合わせるべき」**という点です。
・グローバルな課題: 「飢餓をなくす」「教育を届ける」
・ローカルな伝え方: 日本の寄付者には「共感」や「健気に頑張る姿」が響きやすく、米国では「変革のリーダーシップ」や「具体的な投資対効果」が響きやすい。
日本の実務者への示唆: 団体の理念(ミッション)を安易に日本向けに変える必要はありません。しかし、その「見せ方・語り方」については、日本の寄付者の琴線に触れる「ローカルな物語」に翻訳する技術が不可欠であると説いています。
まとめ:日本の実務者にどう伝えるか
もし研修や勉強会でお話しされるなら、このように締めくくるのが効果的かもしれません。
「この本は古いデータを見せるためのものではありません。『世界中の人々が、何を大切にして、どうやって寄付を決めているのか』という心理の地図を私たちに与えてくれるものです。この地図を持っていれば、日本のマーケットがどう変化しても、迷わずに次の戦略を立てることができます。」
ここで念のため、ロス氏の著作一覧を作成してもらいました。
バーナード・ロス氏の著作を、年代順にリスト化しました。
彼のキャリアは、初期の「戦略論・イノベーション」から、中期の「説得の心理学」、そして近年の「意思決定科学(行動経済学)」へと、より深く人間の心理メカニズムを探求する方向へ進化していることがわかります。
バーナード・ロス(Bernard Ross)著作リスト
出版年 タイトル(原題) 主なテーマと特徴
2002年 Breakthrough Thinking for Nonprofit Organizations 戦略的思考とイノベーション 非営利組織が現状を打破するための創造的な戦略立案を説いた初期の名著。米国で年間最優秀非営利書籍賞を受賞。
2008年 The Influential Fundraiser 説得の心理学 写真にある一冊です。NLP(神経言語プログラミング)を応用し、ドナーとの1対1の交渉術を体系化しました。
2013年 Global Fundraising 世界のフィランソロピー 写真にある一冊。各国の寄付文化の違いを分析し、グローバルな資金調達の共通言語を提示。
2015年 The Strategy Workout 戦略スキル Financial Timesから出版された、ビジネス全般に使える戦略的思考のトレーニング本。
2018年 Change for Good 行動科学の応用 国連のオマール・マムード氏との共著。心理学や神経科学を用いて、社会にポジティブな変化を起こす方法を論じています。
2021年 Making the Ask 高額寄付の獲得術 『The Influential Fundraiser』をさらに進化させ、より高額な寄付(大口寄付)に特化した最新の説得スキルを解説。
2022年 Change for Better 意思決定科学 『Change for Good』の続編。寄付者や支援者が「どのように意思決定を下すか」をより深く科学的に掘り下げた一冊。
2025年 The Case for Support Playbook 共感を生む趣意書 行動科学に基づき、ドナーが思わず動いてしまう「寄付募集のメッセージ(ケース)」の書き方をガイドした最新作。
リストから見える「学びの順序」
もしロス氏の理論を体系的に学びたい場合、以下の順番で触れるのがおすすめです:
1.対人スキルの基礎: 『The Influential Fundraiser』(お手元の本)で、相手の心理を捉えるコミュニケーションを学ぶ。
2.マクロの視点: 『Global Fundraising』(お手元の本)で、自分たちの活動が世界の潮流の中でどこに位置するかを理解する。
3.科学的な深化: その後、もし興味があれば2018年以降の『Change for Good』などで、**「脳と意思決定の仕組み」**という最新の武器を手に入れる。
お手元の2冊は、彼のキャリアの中でも「心理学」と「世界戦略」という最も根幹となる2本の柱をカバーしている非常に良いセレクションだと言えます。
まずはどちらの本から読み進めてみたい、といったご希望はありますか?(例えば「まずは個人の説得力を高めたい」なら左の本、「組織の戦略を見直したい」なら右の本が適しています)
非営利組織の経営、という観点から考えていますので、まずは後者でしょうか?
「非営利組織の経営」という観点であれば、おっしゃる通り**『Global Fundraising』**(右側の本)から入るのが非常に理にかなっています。
経営者やマネジメント層にとって、この本が「経営戦略の指針」として機能する理由を、より具体的に3つの視点で深掘りします。
1. 資源動員(リソース・モビライゼーション)の多様化
経営の根幹は「リソースをどう確保し、配分するか」です。本書は、単なる「寄付集め」を超えて、組織が持続するために必要な**「ポートフォリオ(資金源の組み合わせ)」**の考え方を提供します。
・経営的視点: 特定のドナーや特定の国(日本国内のみ等)に依存するリスクを理解し、世界中のさまざまなセクター(個人、企業、財団、政府)からどのように資金を呼び込むかという、中長期的な「資金調達の構造改革」のヒントになります。
2. 「組織のブランド」をどう再定義するか
経営において、自団体が社会でどのような価値を提供しているか(ブランディング)は極めて重要です。本書では、国や文化によって「何が社会貢献と見なされるか」の定義が異なることを示しています。
・経営的視点: 「自分たちが正しいと思う活動」を一方的に伝えるのではなく、社会(マーケット)が求めている価値に組織のメッセージを適合させるという、マーケット・インの発想を組織に導入する助けになります。
3. 「変化の理論(Theory of Change)」の世界的文脈での検証
経営者は「自分たちの活動がどう社会を変えるのか」という論理モデル(ロジックモデル)を構築する必要があります。
・経営的視点: 本書は、世界各国のNGOがどのようなロジックで社会課題を解決し、それをどうドナーに説明して信頼を得ているかの事例が豊富です。日本の活動を「グローバルな標準」に照らし合わせてブラッシュアップする(例:インパクト評価の伝え方など)ための、経営的なベンチマークとして活用できます。
次のステップ:経営者として読むべき「問い」
この本を読み進める際、あるいは内容をスタッフに共有する際に、以下の**「経営的な問い」**を意識してみると、より実務に結びつきやすくなります。
・「私たちの組織の『C.A.S.E.』は何か?」 (日本の文化、権威、システム、経済状況に、自分たちの経営スタイルは本当に最適化されているか?)
・「私たちはどの『層(スペクトラム)』の寄付者をターゲットにしているか?」 (共感層、メリット重視層、コミュニティ層のどこに投資し、どこを捨てるかという経営判断)
・「10年後、日本の寄付市場がどう変わると本書から予測できるか?」 (人口動態や富の移転を見据えた、次世代のドナー開拓戦略)
振り返ってみたら、『Global Fundraising』の刊行は2013年で、サインは2014年でしたから、まさに最新刊だったわけです。当時の私はファンドレイザーの資格を取ろうとも思っていなかったので、この10年で関心がそちらに向いたので、やっと整った、という感じでしょうか?
『Global Fundraising』は全部で16章。構成としては、前書き部分、第1部、第2部となっていて、第1部は「各国事情」、第2部は「寄付に関する全体的な話題」となっています。もしかして各国事情部分は気になる国だけでいいかな、という気もしますが、10年以上前であることもあり、いきなり第2部でもいいかもしれません。もし、前書きと第2部だけですと、5章しかないので、すぐに読めそうかな、と思います。
はい。ということで、次回、前書き部分である第1章を読んでいきたいと思います。
現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎ですし、もちろん記事の引用・紹介も嬉しいです。
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