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書籍紹介『50代からの人生をマネジメントするドラッカーの問い』

「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。

御覧いただき、ありがとうございます。

こちらの記事で書きました通り、11月より、noteの毎日更新を再開したいと思います。水曜は「文化と遊びの日:麻雀の話、書籍の紹介」のテーマとなります。

本日、紹介したい書籍はこちらの書籍です。

以前、こちらの記事で、ドラッカーのマネジメント概念について整理しましたが、こちらの本では、まさに「マネジメントを行う者をマネジメントする」、つまりは「セルフマネジメント」の部分に着目し、それに関わるドラッカーの「問い」から著者自身がどのような気づきを得たのか、ということをまとめた一冊です。

おそらくポイントとなるのはタイトルの通り「50代からの人生をマネジメントする」というところです。こちらの記事でも書きましたが、現在の日本の再雇用制度は年齢差別的な制度になっており、明らかに憲法違反であると思っているのですが、実際のところ、そういう差別的な条件での低賃金労働に甘んじている方も少なくないかと思います。それがなぜかと言えば、この本では「50代に人生後半への明確なプランを持たずに、何の準備もしな」(P.27)かったことがその理由であると書かれています。

そういう意味では、この書籍はタイトルこそ「50代からの」とありますが、読者対象は50代では遅いくらいで、現在、会社に勤めているすべての人に「早め」に手に取って欲しい本だと思います。

さて、実際にどのような問いがあって、それに筆者がどのように答えたのかは本書を読んでいただくとして、今回、紹介したいのは、この本の冒頭にさらっと書かれていた「不都合な真実」です。

この本にはこう書かれています。

「日本人の平均寿命が初めて50歳を超えた1947年の頃の定年は55歳だった」

『50代からの人生をマネジメントするドラッカーの問い』P.6

ネットで調べてみると、こんな記事を見つけました。

日本の定年制度の始まりは、今から130年以上前、明治時代までさかのぼります。日本最古の定年制度の記録は、1887年の東京砲兵工廠(しょう)の職工規定です。この規定には55歳を定年とする旨が記されています。また、民間企業では日本郵船が1902年の社員休職規則において定年を55歳としたという記録もあります。 当時の日本人の平均寿命は男性が43歳前後、女性が44歳前後といわれているので、当時の定年年齢は平均寿命よりも長く、まさに「終身雇用」という名にふさわしい制度であったと言えるでしょう。 ただ、今でこそ強制退職的な側面ももつ定年制度ですが、当時は労働者が頻繁に転職していたため、企業があえて雇用期間を定めることで優秀な労働者を一定期間確保するという足止め策的な側面が強いものだったとも言われています。

https://ageless.co.jp/media/113

今の日本の平均寿命が男性が81.09歳、女性が87.13歳なので、現在の感覚では定年は85~90歳くらいの設定であったことがわかります。

これで私が納得したことがあります。それは「終身雇用」と「定年」という言葉との間にある矛盾です。「終身」というのですから「死ぬまで」だと思うのですが、それならなぜ「定年」があるのでしょうか?

この本では、「定年制度は年齢による解雇制度を同じこと」と書かれていますが、実際、アメリカではこういう動きもあったようです。

アメリカでは1986年に連邦雇用差別法の改正により、従業員20人未満の企業と警察官や消防士など特定の職業を除き、雇用者が40歳以上の労働者の年齢を理由に雇用の差別をすることを禁止しました。これは実質的な定年制度の廃止といえます。

https://ageless.co.jp/media/113

ところが日本の定年制度の歴史を遡ると、会社は平均寿命以上になるまで雇用を保証しますよ、という制度であったことがわかり、これなら終身雇用という言葉と矛盾しないことがわかります。

そしてもうひとつ。この本に書かれていないことですが、かつては「企業年金」という制度がありました。こちらもネットの記事から引用します。

「賃金の後払い」という意味での退職金は、お金を払う時期を遅くするだけで、退職時にはたくさんの資金が必要です。そのため、企業の中に、退職金を分割して支払う「退職“年金”」という考え方が出てきました。

この退職年金は、単に退職金を分割で支払うということではありません。企業は一度にまとめて支払わないですむので、その分の利息に相当するお金をプラスして支払うことにしました。これが、「企業が社員のために年金を支払うしくみ」である「企業年金」の始まりです。1949(昭和24)年、ある大手百貨店がこのしくみを取り入れました。1952(昭和27)年には、製紙と電機のメーカー2社もスタートさせ、そのころから、世間も注目し始めました。その後平均寿命が急速に延びる中、「老後の生活保障」という社員側のニーズとも合致し、1965(昭和40)年頃から企業年金が普及するようになりました。

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kigyo_nenkin/kigyo_nenkin1101.html

その後、退職年金は企業の都合や労働者の要望に応えて国が制度として認め、1962(昭和37)年には税制適格退職年金、1966(昭和41)年には厚生年金基金ができました。

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kigyo_nenkin/kigyo_nenkin1101.html

1949年(昭和24年)時点の日本の平均寿命は、男性が約50歳、女性が約53歳だったそうですから、明治時代から比較すると10年くらい伸びています。ということで、「定年」後をどう「保障」するのかということで退職金、そして退職金の分割払いとしての企業年金が終身雇用を補填していたわけです。

ところが、

高度成長期からバブル期には資産の運用成績がよく、少ない掛金で給付のための資金が準備できたので絶大な力を発揮した企業年金でした。しかし、その後、バブル崩壊とともに陰りが見え、資産運用が悪化し、社員に約束した利息分を確保できなくなりました。そして、次第に、本来必要な年金の原資がきちんと準備されない企業がたくさん出てきてしまいました。

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kigyo_nenkin/kigyo_nenkin1101.html

このままでは社員にも大きな被害が出る、退職金のために企業の経営が傾く、という恐れが現実になってしまうとの判断から、国は2001(平成13)年には、それまでの企業年金を変更することにしました。企業もまた約束どおり給付をするためには掛金を追加する必要があるので、経営の負担軽減などのために企業年金の見直しを進めていきました。

それまでの企業年金のうち、運営基準が緩やかな税制適格退職年金の廃止が決まり、厚生年金基金は健全な運営のために継続基準を厳格にし、財政状況が悪い基金には解散を命じることが可能としました。一方、新しい企業年金制度として、確定拠出年金法と確定給付企業年金法が制定され、2001年、2002年(平成13年、14年)に順次施行されました。

その後、2012(平成24)年に発覚した厚生年金基金の資産運用の失敗による年金資産消失の問題に端を発し、国は厚生年金基金の健全運営の確認について本格的に取り組みました。その結果、厚生年金基金は代行返上や解散等を余儀なくされ、それと同時に新しい企業年金制度への移行も加速しました。また、新しい企業年金も加入者の範囲の拡大等をはじめ、制度の充実が図られて利用しやすいようになっていきました。

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kigyo_nenkin/kigyo_nenkin1101.html

ということで、日本経済の右肩上がりが逆転したバブル崩壊に端を発し、企業年金が利息分を確保することができなくなり、廃止へと向かっていきました。「確定給付企業年金」というのは会社が個人に投資を促す制度ですので、もはや企業が個人の定年後の生活を保障するための退職金ではありません。この結果、事実上、日本の「終身雇用制度」は崩壊したことになります。

最近でも大学生が、「公務員は終身雇用」ということをレポートで書いていて、まだ日本の中に「終身雇用神話」が根深く残っているのだな、と思い知らされました。その神話を未だに信じ続けるために「再雇用」という名の年齢差別的制度を甘んじて受けることになってしまう人が増えるというのは日本経済全体から見ても損失ではないかと思うのです。(本来はアメリカのように年齢差別的制度は法律で禁止すべきだと思うのですが、そこまでには日本人の人権意識が高くないのが困ったところです。)

制度を変えることが当面、無理だとしたら、この本に書かれているように、せめて50歳を迎えるまでに人生の次のステージのための準備をしておく、というのが戦略としては正しいと思います。奴隷のような会社人間生活にオサラバして、もっと自由に楽しく生きる人が増えたらいいな、と思うのでした。

現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎です。

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