The Hidden History of Coachingを読む その3
「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。
御覧いただき、ありがとうございます。
今回も引き続き、The Hidden History of Coachingという一冊の洋書を読み解いていきます。
前回の記事はこちら
今回はPART2 WHAT MAKES US TICK(何が私たちを興奮させるのか)を読んでいきます。このパートは6章から10章までの5章構成です。順番に見ていきましょう。
Chapter 6 : Tapping the unconscious : Sigmund Freud and Carl Jung(無意識を利用する:ジークムント・フロイトとカール・ユング)
フロイトとユングの登場です。まずは時系列を整理しておきましょう。フロイトは1856-1939年、ユングは1875-1961年です。従って、前章までに登場した自己啓発のグル達と時代が被っています。
この章は長めの章で、フロイトとユングについて、対立点も含めていくつかエピソードが語られていますが、ここでは末尾の「コーチングへの影響」に書かれていることを中心に紹介します。
クライアントの過去がクライアントの態度、信念、感情的性質に影響を与えていることはあり得るし、また、夢が人の精神に影響を与えることは知っています。そして、人は必ずしも合理的な存在ではなく、人の心の動きを知ることはコーチにとって役に立つ。クライアントが抵抗を示すことがあるが、これは正常な反応である。
まとめると、こんなところです。
Chapter 7 : Our bodies ourselves : from Wilhelm Reich to Julio Olalla(私たちの身体:ヴィルヘルム・ライヒからフリオ・オララまで)
第7章は身体に関してです。ライヒ(1897-1957年)とその弟子であるアレクサンダー・ローウェン(1910-2008年)、そしてライヒの影響を受けたリチャード・ストロッツィ=ヘックラー(1944-)、その協力者のフェルナンド・フローレス(1943-)などが紹介されます。フローレスはestの創設者であるエアハルドの協力者であったことが書かれています。
この章では、ロミワーク、ソマティック、オントロジー・コーチングへの影響が語られていますが、「コーチングへの影響」で書かれていることは、もう少しわかりやすいので、その部分を紹介しておきます。
コーチもクライアントも、身体感覚を意識することも重要。クライアントの身体的態度や反応に注意を払う。クライアントの声のトーン、ペース、呼吸、リズムに注意を払う。
こう言われると、確かに、と思いますね。
Chapter 8 : Searching for Wholeness : Fritz Perls and gestalt(全体性を求めて:フリッツ・パールズとゲシュタルト)
この章の主人公は、フリッツ・パールズ(1893-1970年)です。1960年代にエサレンで居場所を見つけました。この章は全体性を扱うだけあって、これまでに出てきたフロイト、ライヒなどが再登場しています。
「コーチングへの影響」では、プロセスに焦点を充てる、クライアントの行動・体の動き・エネルギー・表現されていない感情・呼吸・姿勢・その他の非言語的行動に注意を払う。クライアントの感情や認識に同調する。現象学的アプローチに立ってフィールドで何が起こっているかを観察しクライアントにフィードバックする。
これも、確かに、と思うような内容ですね。
Chapter 9 : From neurosis to ecstasy humanistic and transpersonal psychology (神経症からエクスタシーへ 人間性心理学とトランスパーソナル心理学)
人間性心理学とトランスパーソナル心理学ということで、お馴染みの名前も出てきます。カール・ロジャーズ(1902-1987年)はオットー・ランク(1884-1939年)の講義を受け、クライアント中心療法の概念のヒントを得ます。ランクの講義には前章のフリッツ・パールズも影響を受け、ゲシュタルト療法にたどり着いたそうです。
続いて出てくるのは『夜と霧』で有名な精神科医のヴィクトール・フランクルです。この本は人間主義的かつ意欲的なアプローチを治療に普及させ、人間の動機付けを理解することに役立っている、とのことです。
そしてマズロー(1908-1970年)、アルフレッド・アドラー(1870-1937年)が紹介されます。マズローの至高体験の考え方はトランスパーソナル心理学に影響を与えますが、ちなみに自らのアプローチを「トランスパーソナル」と表現した最初のセラピストはユングの知人で崇拝者でもあったロベルト・アサジョーリ(1888-1974年)だったそうです。
この章の「コーチングへの影響」では、超越感、フロー、ピーク、エクスタシー(光悦感)、などの言葉が語られています。
Chapter 10 : Strategies for change : CBT and TA(変化のための戦略:CBTとTA)
CBT=認知行動療法と、TA=交流分析についての章となります。ワトソンとスキナーの行動主義から話が始まり、アルバート・エリス(1913-2007年)、アーロン・ベック(1921-)によって認知行動療法(CBT)が成立します。
CBTは主に行動の変化に焦点を当てているため、コーチングに役立つテクニックを提供している、と筆者は書いています。
エリック・バーン(1910-1970)の交流分析は、I’m OK, You're OK という前提、トランザクションやストロークの考え方、人生脚本、禁止令などの用語がコーチングに影響を与えます。
ちなみに、est やそこから派生したトレーニングもTAの影響が見られるとのことです。
はい。ということで、今回は短めに、なるべく原文の結論部分を中心に内容を紹介させていただきました。今回はPART2 WHAT MAKES US TICK(何が私たちを興奮させるのか)を読みましたが、まさに様々な領域のごちゃまぜの中からコーチングが立ちあがってくる、という感じです。次は最終回として、PART3 THE SELF AND OTHERS(自己と他者)に続きます。
現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
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