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定性調査で生成AIをどう使うか試してみた話

はじめまして!株式会社mikanのBtoB事業である「mikan for School」のPdMをしているyaguと申します。

この記事はmikan Advent Calendar 2025 19日目の記事です。前日はmaru-chanの「AI時代になぜ英語を学ぶのか考えてみた」でした!面白いテーマなので是非お読みください!

去年のアドベントカレンダーは、定性調査の精度をどう上げていくか?について書きましたが、今年は定性調査の作業効率を生成AIを使ってどう上げたか?について書きます。

定性調査は、言葉を編集しながら分析することが多く、人間が全てやっていたプロセスをそのまま生成AIに任せると精度が上がらず難しいな〜と感じていましたが、生成AIに合ったプロセスに調整することで精度を保ち工数削減できました。

ユーザーインタビューの文字起こし

これまで定性調査後のプロセスで大変だな〜と思っていたのは、インタビューの文字起こしでした。インタビューの音声を1.x倍で再生したり止めたりしながら文字起こししていくのが結構時間のかかる作業でした。

最近は、かなり精度の高い文字起こしのサービスがあるのでそういったものを試したり、生成AIを使ってみたのですが、以下の課題が残りました。

  • 固有名詞が正確に文字起こしされない

  • 会話としては成立していても、そのまま文字に起こすと意味を理解できなくなる

  • 話者を正確に識別できないことがある

これまでは、音声を自分の手で文字起こしして発話録を作り、それを分析に使う一次データとしていました。例としてKJ法での分析をする場合の流れとしては上図のようなイメージです。

自分で文字起こしをするので、その中で分かりにくい部分は自分で補足を入れて分かりやすくしていました。しかし、会話の音声データという特性上、これを生成AIで完璧に文字に起こせたとしても以下の課題は残ります。

  • 会話としては成立していても、そのまま文字に起こすと意味を理解できなくなる

ならば、発話録を作るのをやめて、一次データとして使える調査レポートを作ってみることにしました。しかし、この調査レポートをどれくらいの粒度にまとめるのが良いのか、要約し過ぎてしまうと、文脈が切れてしまい1次データとして使えないものになってしまいます。

色々プロンプトを試した結果、KJ法で利用することを含める & 元の文脈や手触り感を残せるプロンプトがちょうど良いということがわかってきました。それが以下のようなプロンプトです。


このインタビュー内容について、以下の条件でサマリーを作成してください。このインタビューは、(ユーザーインタビューの概要)の発言を中心としています。
内容を要約する際は、以下を必ず守ってください:

  1. 原文にできる限り忠実であること。

    1. 話者の語り口、語順、文脈、思考の流れ、迷い・確信などのニュアンスを丁寧に再現してください。

  2. 文脈と発話意図がわかる“手触り感”を残すこと。

    1. 発言に含まれる感情、戸惑い、例え話、思い出しながら話す感じを適度に残してください。

  3. 過度に抽象化したビジネス要約にしないこと。

    1. ディテール(具体的なエピソード・数字・背景情報)は可能な限り保持してください。

  4. KJ法で分析する前提で、まとまりのある情報密度を保つこと。

    1. 一文の中で複数の意味を混ぜすぎないでください(意味の塊が認識できる構造にしてください)。

  5. 読み手が自然に読み進められる文章にすること。

    1. 長くても問題ありません。段落構成はわかりやすさを優先してください。

  6. 固有名詞と思われるものは、固有名詞辞書を参照して正確に表記してください。


上記に出てくる固有名詞辞書は、固有名詞を正しく表記させるためのものです。インタビューで出てくるような教材名やICTツール名の呼称/略称・別称/読みをGoogle Docs(NotebookLMだとGoogle Docsを読み込ませるのが楽)に固有名詞辞書としてまとめて、毎回インタビューの音声とセットで読ませるようにしています。

このプロンプトで1時間のインタビューを出力させると大体文字数的には5000文字〜7000文字くらいになり、もはやサマリーと呼んで良いものか?サマリーに失礼ではないか?という感じではあるのですが、1次データとして使うことはできそうな粒度になりました。

チームでユーザー解像度を上げたいのだけど

せっかくユーザーインタビューをしたのだから、自分だけでなくチームにもこの情報をシェアして、ユーザー解像度を同じくらい上げてもらいたい!と思うもの。一番良いのは、ユーザーインタビューの録画を見てもらうことではあるのですが、ユーザーインタビューの録画って長いですし、見てみてくださいと言っても業務も忙しい訳で見れないんですよね。気持ち分かります。

なので、1回分のインタビューの結果に関しては、この一次データを読んでもらおうと、ユーザーインタビューレポート用のSlack ch.を作り、そこに流すことにしました。

最初はみんながリアクションをつけていってくれていたのですが…徐々にリアクションがつかなくなり…。やっぱり長過ぎて読みにくいんですよね。(いや、そもそもこれまでこの長文を読んでくれていたチームメンバーがすごいって話です!)

ここから更に要約したサマリーを作っても良いのだけど、できれば一次データに近しいものを読んで欲しいんだよな〜なんか良い方法ないかな〜と考えてました。

半分ネタみたいな感じではあったのですが、ギャル文体にしたらどうなるんかな?と思い、実際に出力結果を見てみると、なぜかすごい読みやすい…?!長文でも読める!!!

ということで、ギャル文体でレポートを作成し、Slackに流したところリアクションが多いw(1つ前のレポートは一個もリアクションついてなかったのに)

読んでくれたメンバーの反応的には、私のようなおじさんが(真顔で)ギャル文体のレポートを出してくる珍妙さも相まって?長文でも読めるようです。ラッパー風もリクエストされ、作ってみたのですが、面白いけど言葉遊びが強すぎて読みやすくはなりませんでした。

※ちなみに、ギャル文体verのレポートをチームに展開する前には、自分の目で事実確認や強調のされ過ぎのチェックをして共有しています。また、ギャル味が足りないと思ったら、(真顔で)ギャルになりきって加筆修正をしてします。

実際にWriting学習について生成AIにデモインタビューを作ってもらったので、読み比べてみてください。


1. 真面目な調査レポート

本調査では、英作文学習における生徒のつまずき構造を把握することを目的とし、複数名の学習者へのインタビューを実施した。インタビューを通じて明らかになったのは、生徒が英作文に対して抱く心理的ハードルの高さと、学習の進め方に関する具体的な指針の不足である。多くの生徒は「何を書けばよいか分からない」という初期段階の躊躇に直面しており、語彙や文法の知識が断片的であるため、文章全体をどのように構成すればよいのか判断できない状況にある。また、自己表現を求められる英作文では、模範解答との距離をどう埋めるべきかが見えづらく、自分の書いた表現が正しいのかを確信できないまま学習を進めるケースが多かった。
教師側もこの課題を十分に認識しており、添削やフィードバックの負荷が高いことから、授業の限られた時間で生徒全員に細かい指導を提供することが難しいという状況が見られた。その一方で、生徒がどこにつまずいているのかを把握するための材料が不足し、授業設計が個々の課題に十分に対応しきれていない現状も指摘された。
以上の結果から、英作文学習における主要な課題は、学習者自身の構成力不足と、それを支えるフィードバック基盤の不十分さの両面に存在していることが確認できた。今後は、書き始めの負担を軽減する仕組みや、文章構成を視覚的に理解できる教材設計、さらに生徒がフィードバックを自律的に活用できるツールの検討が必要であると考えられる。


2.ラッパー文体

今日も英作文でつまずくキッズの声を拾い上げたぜ。スタートラインからビートが止まる。「書きたいこと?うーん…なんも浮かばん」そんなブロック踏んで、最初の一行すら重てぇんだわ。語彙はバラバラ、文法はソロで踊りがち。だから文章全体の流れを作れず、メロディもリリックも組み上がらない。書けたとしても「これ正しいの?」って疑念がサビみたいに頭の中でリピートして、なかなか前に進めねぇ。
先生たちも分かってる。添削の山はまるで無限トラック。ひとりひとりのバースに耳を傾けたいけど、時間っていうリソースは有限。だから生徒の弱点にピンポイントでマイクを向けるのが難しい。結果、授業全体のビートが生徒のレベルと噛み合わず、現場の苦労は尽きない。
調査して見えたのは、英作文の苦しみはメンタルブロックとスキル不足のダブルパンチだってこと。必要なのは、最初のワンラインをスムーズに切るためのガイド、文章構成の型、そして速攻でフィードバックを返す仕組み。これらが揃えば、生徒のフロウはもっと軽くなるはずだ。


3. ギャル文体

今回の調査ね、英作文でみんな何に困ってるのかガチで深掘りしたんだけど、思ったよりしんどそうでビビったって感じ。まず、生徒ちゃんたち、そもそも「え、何書けばいいんだけど?」って入りから止まっちゃうのね。語彙とか文法とか持ってる知識はあるのに、文章としてどう組み上げればいいのか分かんなくて、最初の一行が永遠に書けないみたいな状態になりがちなの。しかも書けたとしても、「これ正しいんかな…?」ってずっと不安で、気持ちよく進めないのがリアルなところ。
先生側もめちゃ分かってて、ちゃんと見たい気持ちはあるんだけど、英作文の添削ってガチで時間かかるから、全員の文章に細かくコメントつけるのはマジで限界がある感じ。だから生徒のつまずきポイントをしっかり把握しきれなくて、授業も全体向けにせざるをえず、個別の課題に寄り添いきれないのが現状って感じだったよ。
でね、今回分かったのは、英作文のつらみって「どう始めればいいか分かんない問題」と「自分の文の正しさに自信持てない問題」がセットで来るのが最大のヤバさってこと。だからこれから必要なのは、書き始めをラクにしてあげる仕組みとか、文章の骨組みを分かりやすくするサポートとか、あとフィードバックをもっとサクッと返せる仕組みかなって思ったよ。


私の感想

  • 真面目レポート:文字文字しくて読むの辛い

  • ラッパー文体:ちょっとギミックが効き過ぎて、事象を理解できない

  • ギャル文体:なんか読みやすい

しかしながら、よくよく考えてみると、ギャル文体は口語体だから読みやすいのかな?と思ったので生成AIに聞いてみました。

> なぜギャル文体は読みやすいのですか?口語体だからですか?


1. 読みやすさの本質は「脳内再生される文章」になっていること

口語体は、読んだ瞬間に頭の中で声として再生されるため、情報の流れがスムーズになります。対して、真面目レポートは抽象度が高く、視点を切り替えながら読む必要があるため、負荷が高い。そのため、「ギャル文体=読みやすい」ではなく、「音読されるような口語リズム=読みやすい」が正確です。

2. ギャル文体は“適度な感情づけ”が入るため、読みやすさが増強される

ギャル文体は以下が特徴です。

  • 感情語(すごい/やばい/めっちゃ)が入る

  • 文章が短い

  • 接続が軽い(でね、だからね、など)

  • 対話リズムに近い

これにより、「感情の勾配」が文章の中にできるため、読み手が“ノって読める”状態になります。ただしやり過ぎると情報伝達に支障が出るため、ライトギャル(口語+少しだけテンション)ぐらいが最も読みやすい。

3. ギャル文体にしたことで情報が多く見えるワケ

実際には情報量はそこまで変わっていないのに、

  • 行間が埋まる

  • 主語補完して説明が自然に足される

  • 感情表現で印象が強まる

これらにより、**内容が“濃く感じる”**現象が起きます。たとえば、「ネイティブ教員が週2時間担当しています」を口語で書くと、「しかもね、中学は週6時間のうち2時間をネイティブの先生が持ってるんだよ!結構ガッツリだよね」と、自然に補足情報が入ってくる。これは、口語の説明構造が「因果・補足・感情」を勝手に付与してしまうためです。

4. 結論:読みやすさの正体は「ライト口語+自然な補足」

  • ギャル要素は読みやすさというより“味・テンション”

  • 読みやすさ自体を生んでいるのは「口語構文」

  • 論理構造がそのまま流れるため、情報が入りやすい

  • 説明抜けしづらいため、内容が濃く感じる

つまり、読みやすい文章を作りたいなら「ライト口語体」をベースに、ギャル味を調整するというのが最適なチューニングになります。


ライトギャルって人生で初めて聞きましたが、確かに分かる気がします。
口語体だからというより、口語体に加えてギャル文体特有の適度な感情付けなど、より読みやすくなる要素が足されるからなんですね。

ギャル文体はKJ法での分析には不向き

ギャル文体読みやすい!という発見はあったものの、KJ法のカード化においては、ギャル文体は主語を省略しがちで文を切り離すと意味が薄れたり、感情語や比喩が逆にノイズになるというデメリットがありました。悲しきかなギャル文体をこのままKJ法のカード化には使えません。
その為、真面目レポートは1次データとして最初に必ず作るようにし、そのレポートからKJ法のカード化をするようにしました。

作業の流れ

  1. 真面目レポートを作成し、内容に問題ないか確認しながら加筆修正

  2. 修正が終わったものも、ソースとして読み込みギャル文体レポートを作成 → 真顔でチームに展開

  3. KJ法で分析をかける場合は、真面目レポートプロンプトにCSV形式で出力するよう追記 → CSVファイルを作成

なぜCSV形式で吐き出してもらうかというと、分析作業はFigjamで行なっており、CSV to Stickyというプラグインがあるので、これを使うとカード化(付箋にする作業)が一瞬で終わるからです。

全ての発話をカード化するので、人の目で取捨選択する必要はあるのですが、手入力なく一瞬でカード化できるのはかなり助かります。
カード化した後は、やはり人間が洞察しながら分析していくことにはなるのですが、生成AIを使う前は1日くらいかかっていた作業が1時間くらいで終わるようになりました。

まとめ

定性調査分析の時間のかかる部分を効率化できたことで、調査を以前より早く回すことができるようになり、インタビューの実施数も増やせるようになりました。

また、作業を効率化できたことで余裕が生まれ、調査・設問設計により時間を掛けられるようになった結果、得られる情報の精度も上がってきたように感じます。量も質も上げられる状態を作れたので色々試してみてよかったなと思います。

今後もユーザーさんの解像度を上げ、mikan for Schoolを導入してよかった!と思ってもらえるような価値を創っていきたいと思います。

そのためにもですが…メンバーが足りていません!(採用広報) もし、mikan for Schoolに興味を持ってくださる方がいましたら、カジュアル面談でも良いですし、ぜひお話ししましょう!

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