【光り物】10年以上愛用したベックマンブーツを復活させた話
しまったここもblueさん空間だ!今回は長年連れ添った愛用ブーツを修理に出してみた話。
※前回記事はコチラ。
1.REDWING BECKMAN を修理に出す
最近気分転換に手持ちの靴を入れ替えているのだが、ついでに今まで愛用していた靴を修理に出してみることにした。今回はこの子である。


この子はレッドウイング・ベックマン9011というモデルで、2012年から履いているもの。筆者はフリーターをやっていた時期があり、当時はバイトに試験に写真撮影によく履いて行った靴である。
パッと見よく手入れされているように見えるベックマンであるが、、、

さすがにトップリフト(ヒール)がかなりすり減っており、

トゥ側のソールは加水分解を起こして最早崩壊してしまっている。こうなると貧乏性の筆者も流石に履けない。
なので修理をしてもらうか、新しい靴を購入するかになるのだが、前回の記事でホワイツ・セミドレスを入手できた。この靴はベックマンの上位互換のような靴なので、それゆえにこの靴の処遇が難しくなってしまう。
しばらく悩んだのだが、この子は苦しい時代に世話になった靴で、個人的に思い入れが深い。壊れたまま放置したりジャンク品として手放すのも忍びなく、直してあげることにした。こういう選択が取れるのはブーツの醍醐味といえよう。
2.修理屋さんにGO!!
そんなわけで大破したベックマンを復活させるべく、修理屋さんを探すことに。筆者は神奈川県民なのだが、この土地は靴のリペア事情にはかなり恵まれていて、全国レベルで超有名なリペア屋さんが2件もあり、他にも腕利きの職人さんが多い。
いくつか回ってみたところ、、



今回はユニオンワークス(UNION WORKS)さんにお願いすることにした。ここはシューリペアの大家で、靴好きでは知らぬ人はいない名店なのだが、実は横浜にも店舗があったのだ(恥ずかしながら最近知った‥‥)
このお店のすごいところは修理のみならずカスタムもできることで、今回は既存の純正ソールとは別のソールに交換してもらい、イメチェンを楽しむことにした。
選んだ仕様の作業工賃は¥23,000程。程度のいい中古靴が一足買えてしまう値段だが、思い出の品なのでお願いすることになった。納期は2週間と人気店にもかかわらず早い。レッドウィング純正だと修理工場送りで3か月かかるのでこれは有難い。正座しながら待たせてもらうことにした。
3.帰ってきたベックマン
そんなわけでリペアから帰ってきたベックマンがコチラ。ついでにシューレース(靴ひも)もレッドウイング横浜店で購入して新しくしてみた。


おおーこれはすごい!本当に復活している!あれだけガッサー逝ってたセパレートソールが見事に直っているではないか!

かなりすり減っていたトップリフト(ヒール)もこの通り。ミッドソールも1枚足してダブルソール仕様になった。レザーの層が増えてオリジナルよりも高級感が増してよりドレッシーに。

今回は英国靴でおなじみのダイナイトソールに貼り替えてもらった。このソールはゴム製なので雨天にも強くて滑りにくい。
イマイチレッドウィングらしくない気もするが、ヒールがコツコツと音を立てるのはいい意味でギャップがあって新鮮で、いかにも個人カスタムという風情があっていい。横からの見た目もスッキリしているのでベックマンには合っていると思う。

ホワイツセミドレスとのショット。こちらは最近中古美品をメルカリで入手したもの。こうしてみると立体感や質感、本場の纏う風格はやはりセミドレスの方が上だ。
だがブーツに履き慣れた筆者としてもなかなか重い靴で、クロムエクセルゆえに傷もガシガシ付くので、良くも悪くも漢の靴というイメージはある。ワークにしろオシャレにしろ本格派すぎて気安さはない。
この点レッドウィングベックマンは10年以上ハードユースしたことに加え、水洗いもしているので一見くたびれているように見える。
しかしこれがジーンズでいうシュリンクトゥフィットみたいになっていて、くるぶしのあたりは自身の骨格に沿っているのでかなり馴染みやすい。
このベックマンは初期モデルで、この個体に使われているフェザーストーンレザーは適度に油分がありつつ表面は固めの革なので日常使いもしやすい。キャラクターの被る2足だが並べてみると個性が違う。これは楽しい。
4.衣類を入れ替える心境
ところで人はなぜ衣服を買い替えるのだろうか。筆者はファッション知識はかなり偏りがあるタイプなのだが、自分なりに考えてみた。
①ライフステージの変化
当たり前の話なのだが人間は年を取る。人それぞれ個人差はあるが、年齢によってライフステージは変化していくし、その生活様式も移り変わっていくだろう。特に衣食住は生活に即したものだし「衣」についてはその人の好みや価値観も反映されやすい。
オンオフやTPO、流行や年齢・キャラクターといった社会性も加味されるので、年齢によって衣類が変わる自然なことだ。メンズについてはトラッド(定番)の要素が大きいのでレディースに比べるとトレンド(流行)の要素が低いのだが、それでも好みは日々変わっていく。
13年という月日は当たり前だが結構長い。経ってしまえば一瞬なのだが、当時の幼稚園児は大学生になっているし、小学生なら社会に出ている。中高生なら現在は結婚して子どもがいてもおかしくない。当時はヤングだった筆者も今ではおっさんである。決して軽くはない時間だ。
人生はしばしば旅にたとえられるが、生活を彩る道具もまた旅の途中なのである。誰かが手放した靴が筆者の手元にやってきて、筆者がかつて履いていた靴が、それを必要とするほかの誰かの手元に旅立っていく。
出会いと別れを繰り返しながら旅を続けていくのは人も物も同じだ。
②「はがねのつるぎ」のワクワク感
筆者はこの間ブーツを爆買いしたのだが、その感覚としてはRPGゲームで次の町に着いた時に武器屋に寄って武器防具を一式買い替える感覚に近い。13年ぶりの更新はさすがに気持ちが良く、この感じはドラゴンクエストの「はがねのつるぎ」の感覚に似ている。
ドラクエは「はがねのつるぎ」が入手できる頃が一番楽しいという話がある。1,500Gという背伸びすれば何とか買える価格設定、それまでの武器とは明らかに一線を画する攻撃力、入手できるタイミングとストーリー展開‥‥諸々の要素が冒険のワクワク感を掻き立てるというものだ。


自分にとってのこれらの靴はまさに「はがねのつるぎ」だ。特にトリッカーズやクロケットジョーンズなどの高級英国靴、あるいはホワイツのような本場のワークブーツは小僧の頃は手が出ず、雑誌やネットで眺めるしかない憧れの存在だった。
フリーターから作業員に就職してからしばらくは、コーナンPROACTの一足980円のカックスシューズを履いていた。転職してそれが安全靴になり、営業職になってからはリーガルのガラスレザーに履き替え、それも4年近く経って「そろそろいいかな‥‥」と解禁した次第だ。
これはドラクエを追体験しているようで楽しかった。憧れの靴が中古品とはいえ手が届くようになり、またこういう靴が似合うように年齢なったことは感慨深いものがある。俺の人生ゲームのシナリオは「はがねのつるぎ」を手にする段階まで進んだということなのだ。
③それでも手放したくないもの
だがその一方で、手元に残り続ける道具もある。お気に入りは当然そうだし、どうしても手元に残しておきたい道具というものもある。ルーツやアイデンティティに関わってくる道具がそれだ。たとえば‥‥。

筆者は祖父が亡くなった時に母が遺産を相続し、そのお金から成人式のお祝いということで腕時計を買ってもらったことがある。この腕時計は筆者が初めて触れた機械式腕時計で「原点」である。それゆえ傷が入ってもオーバーホールしながら使っているのだが、こういうのは売れない。
今回直してもらったベックマンもそうだ。コイツはいわば「どうのつるぎ」といったところなのだが、苦楽を共にした靴なので愛着が深い。今回リペアして「てつのやり」くらいになった。
思えば随分手荒に扱い無茶をさせ、そして大変世話になった。苦しい状況を支えてくれた人は大事にするべきだが、それは物だってそうなのだ。
まとめ
今回は光り物ネタということで、靴の修理をしてもらったという話だった。イメチェンも済んだことだしまたガシガシ履いていこうと思う。
靴は消耗の仕方を見ると持ち主の人隣りが分かるという。バイトで傷だらけになったトゥも、深く刻まれた履き皺も、くたびれたシャフトも、それはこれまでの自分の人生の軌跡である。それはソールを貼り替えようとも残り、消えることはない。
そんなわけでこの靴とは13年間の付き合いになるのだが、ここまで来るといよいよぶっ壊れるまで履きたくなるというものだ。引き続きよろしく頼むよベックマン。
