ドル覇権は終わるのか?|脱ドルの潮流と日本人の資産戦略
◾️日本円リスクの構造|為替・制度・地政学から読む資産防衛:
「日本円は安全」という前提を構造から見直すシリーズです。
本マガジンでは、為替・税制・地政学・国家制度という4つの軸から、日本円資産に集中することのリスクを整理します。
資産防衛における健全な判断基準(具体的な選択肢)の提示が目的です。
◾️はじめに
前回の記事 | アメリカがイランと戦う理由 で触れた通り、アメリカがイランを攻めた理由は「原油高はアメリカの利益だ」というドナルド・トランプ大統領の一言に集約されていると思います。
そもそも、核開発の阻止が目的なのになぜ、原油価格の話になるのという違和感が生じます。
そして、アメリカはなぜ今、こんなに血眼で戦争をする必要があるのか?という構造を深掘りします。
トランプ氏が高齢や認知症でキレやすくなったことが原因ではありません。
この構造を理解すれば、私たち日本人が選択すべき資産防衛の意思決定基準が理解できるはずです。
◾️なぜアメリカは通貨防衛(戦争)に必死なのか?
・ペドロダラー体制のおさらい
1971年に起きたニクソンショックなどにより各国同様にアメリカも金本位制を離脱しました。ドルと金の交換保証が消えたことで、ドルは理論上は「ただの紙切れ」になるはずでしたがドルは世界の基軸通貨であり続けました。
大きな理由は「原油取引は必ずドル決済」というペトロダラー体制です。
世界中の国が原油を買うためにドルを保有しなければいけない仕組み(ルール)が米ドルを「世界の基軸通貨」として支え続ける根本的構造です。
・核開発より根深い脅威
それが、ペドロダラー体制の崩壊です。
仕組みが変われば「原油のためのドル保有」が不要になります。
世界規模での構造的なドル需要が消え、ドルの価値が大きく毀損されます。
すると、アメリカは「世界の基軸通貨の発行」という特権、財政赤字をドルを刷って補填できる特権を失うことになります。
つまり、アメリカは覇権を失うも同然になるため、ペドロダラー体制の崩壊はまさに核開発より根深い脅威です。
ドナルド・トランプ大統領が血眼で怒り狂うほど国家存続に関わる重大な脅威なのです。
・机上のリスクが現実に起きようとしている
ペドロダラー体制の崩壊という長年にわたる「理論上のリスク」が、2026年の今、まさに現実的になっています。
その大きな要因は、以下の3つの動きが重なっていることです。
・① 中国・ロシアによる脱ドル連携の加速: 中国とロシアの原油取引は人民元決済が主流化しつつあります。ウクライナ侵攻後の制裁を受けたロシアは、ドル決済から完全に離脱する方向に舵を切っています。
・② BRICSの拡大、人民元決済圏の拡張: BRICSはブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカから始まり、サウジアラビア・イラン・UAEなど主要産油国を含む経済圏に拡大しています。BRICS共通通貨構想は議論段階のようですが、「ドル以外で原油を売れる」実績の蓄積は着実に進んでいます。
・③ アメリカ自身の財政赤字・債務膨張: アメリカの連邦債務(国家債務)は2026年初頭時点で38兆ドル(約5940兆円)を突破し、市場最高を更新したと言われています。デフォルトの懸念も引き起こし、財政赤字の補填のためにドルを刷り続けることで、ドル自体の希薄化が進んでいます。ペトロダラー体制による原油需要がなければ一体どうなってたかです。
アメリカが通貨防衛(戦争)に血眼になるのは構造的に当然です。
◾️アメリカ・ジャイアニズム(覇権)維持の方程式
▶︎ドルの価値 = 原油のドル決済 = 軍事力による市場支配
アメリカは原油市場を守る(支配する)ために軍事力を活用します。
軍事という資産はペドロダラー体制を守り、ドルの価値を維持します。
アメリカにとって軍事力は「国家の資本を守るインフラ」であり、使うたびに覇権(価値)を生み出す構造として機能しています。
しかし、資産は酷使すれば歪みが生じて劣化します。
戦争を仕掛け、継続するには膨大な金がかかります。
金がなければドルを刷り、ドルを刷れば、ドルの価値が下がります。
アメリカの連邦債務(国家債務)はGDP比で120%超と第2次世界大戦以来の高水準であり、利払い費が国防費を上回るなど財政を圧迫しています。
アメリカは、ドルの通貨防衛のために戦争をしますが、戦争をするほどドルが弱くなるというジレンマの中にも立たされています。
ジワジワと選択肢が狭まる逼迫した状況が、ドナルド・トランプ大統領の強硬的な言動に表れているのかもしれません。
◾️次の標的予測 | 次はあなたの番です
脱ドル連携を進めている産油国を並べてみました。
①イラン: 人民元・ユーロ決済・BRICS連携 | 2026年2月より攻撃中
②ロシア: ルーブル・人民元決済・ドル離脱宣言 | ウクライナ経由で代理戦争
③ベネズエラ: 脱ドル宣言・人民元建て原油 | 2025年に軍事作戦実施
③サウジアラビア: 人民元建て原油契約を一部開始 | 現在は同盟国・最重要監視対象 → 次はあなたの番です?
脱ドルに動いた産油国は、次々とアメリカの「標的」になっています。
中でも、もしサウジアラビアが人民元で原油を本格的に売り始めれば、ペトロダラー体制は事実上終わるでしょう。
もちろん、アメリカは絶対に許さないでしょうし、同国が「脱ドル」に踏み切るかどうかが今後の世界秩序を決定づける最大の要因になるかもしれません。
アメリカは構造的に、BRICS側の産油国に対して軍事的・経済的圧力をかけ続ける可能性は高いと言えます。
アメリカが立たされているジレンマを考えると、イスラエル→イランのような代理戦争という選択肢も考えられます。
◾️BRICS経済圏の拡大という地政学的現実
・BRICSはアメリカにとって最大の地政学的脅威
BRICSがアメリカがアメリカにとって最大の地政学的脅威になる理由は、軍事力ではなく決済システムの代替としてです。
軍事力だけで言えばアメリカは圧倒的ですが、決済システムは軍事力では止められません。中国が人民元建てで原油を買う契約を結ぶことを、アメリカは爆撃では阻止できませんし核兵器など話にもなりません。
BRICSの現在進行形の主な動きも整理しました。
①中国・ロシア間取引: 原油・天然ガスの人民元決済が常態化。ドル決済比率は急速に低下。
②サウジアラビアの動向: 2023年以降、人民元建て原油契約を一部開始。BRICSへの正式加盟招待を受諾(2024年)。完全な脱ドルには至っていないが、方向性は明確。
③インドの動き: ルピー建て貿易の拡大。ロシア産原油をルピー・人民元で購入。アメリカの制裁に従わず独自路線を維持。
④BRICS共通通貨構想: 即時実現は困難。しかし「ドル以外の決済基盤」の方向性でコンセンサスが形成されつつある。
これらの動きを見るだけで、「原油はドルで買いなさい」という構造が着実に崩れつつあるのは誰が見てもわかります。
◾️日本人は何を考え、どう判断すればいいのか?
・そもそも、日本に選ぶ権利はあるのか?
日本はアメリカ側というのは選択の余地がありません。
因果応報という言葉が思い浮かびますが、敗戦・占領・日米安保条約という原因の積み重ねにより日本に選択肢がない構造になっています。
▶︎敗戦・占領・安保という過去の選択 → 構造的に選べない(現在)
まさに、高市早苗氏は厳しい制約の中で火中の栗を拾う役職に就いており、過去の因による果(報い)を首相だけでなく私たち日本国民全体が受けているのです。
・日本の脱アメリカ → BRICSへ転換する可能性が薄い理由
理由① 安全保障の依存: 日米安保条約による防衛の依存構造があるため、もしアメリカと対立すれば核抑止の傘は失われる。
理由② 米国債という制約: 日本は1兆ドル(約176兆円)超の米国債を保有する世界最大の米国債保有国です。もし、これを大量売却すれば円高・世界経済混乱を招き、自らの首を絞めるため持っているが売れない構造。
理由③ 中国依存との矛盾: 経済的には中国が最大の貿易相手国であり、政治的にはアメリカの同盟国。この二重構造を解消する政治的意志や能力も現在の日本には見受けられない。
もちろん、私たちの理解が及ばない神通力や裏の力も否定しません。
そんなものがあるなら、生きているうちにお目にかかりたいものです。
ただ、構造的に考えれば日本は、アメリカとBRICSにもどっちつかずのまま両者の地政学的緊張と混乱の煽り(コスト)を受け続ける構造であることは間違いありません。
・想定すべきシナリオ: スタグフレーション
日本の構造的な立場を考えれば、私たち日本人が"備え"なければいけない合理的に想定できるシナリオは、スタグフレーションです。
▶︎スタグフレーション = 景気停滞+インフレの同時進行
・アメリカの戦争継続 → 原油高継続 → 輸入コスト上昇 → インフレ加速
・世界経済の停滞 → 企業採算悪化 → 賃上げ停滞 → 消費低迷 → 景気停滞
そして、日本円保有の実質的資産価値がジワジワ削られるシナリオです。
さらに、ここに決定的な矛盾があります。
「アメリカにとって原油高は利益」「日本にとって原油高は損失」です。
「アメリカの戦争」でアメリカは利益を享受し、日本は損失を被る憤懣・噴飯極まりない構造的な矛盾が存在するのです。
「いや、アメリカだってバカじゃないんだから戦争をやめるだろう」
「日本のような素晴らしい文化がある国を見捨てるわけがない!」
このような希望観測的な考えは持たない方が賢明だと思います。
アメリカが戦争をやめる理由は、ドル覇権が安定した時でしょう。
しかし、現在の構造を見れば、それは極めて現実逃避に近い考えであり、ジレンマの中にいるアメリカには戦争を継続するインセンティブの方が高いと見るのが合理的です。
◾️私たちは、どうやって資産を防衛すべきか?
現在、私たち日本人に歴史的な因果応報が直撃しています。
特に、稼げば稼ぐほど、高収入であるほど、日本では過去に積み上げた構造的コストが多く負担させられています。
一生懸命働いて、働いて、働いてきた高所得者層ほど自分に関係のない因果を最も重く、理不尽に受け取らされていると言っていいでしょう。
確かに、国家単位では"詰んでる"のかもしれません。
しかし、個人の資産防衛という側面では選択肢(逃げ道)があります。
一個人の資産まで、日本国と運命共同体になる必要はありません。
私たちには、日本国内の個人資産を「疎開」させる権利があります。
具体的な判断基準はシンプルです。
円建て・国内資産に集中しないインフラを持つことです。
アメリカ、日本という国家が現在置かれている構造を理解した上で、自分の資産を適切に分散させるインフラを持つことが大切です。
その選択肢の一つとして、私たちは「ジョージアの銀行口座開設」を提示しています。
日本人である前に、人権を有する一人の人間として「資産を海外へ疎開させる権利」が与えられているのです。
◾️まとめ
①なぜアメリカが必死で通貨防衛(戦争)するのか?: ペトロダラー体制の綻びが現実化して、ドル覇権の根幹が大きく揺らいでいるから。
②日本が直面するシナリオ: アメリカ側に縛られたまま、戦争コストを「円安・物価高・景気停滞」として支払い続ける構造になっている。
③私たちの資産防衛シナリオ: 国家は変えられないが、個人の資産配置は変えられる。円建て・国内資産への集中を見直すことから始めよう。
▶︎無料相談について:
海外口座を作るべきかどうか?資産状況や制度理解を整理した上で合理的な判断整理が必要であれば"無料相談"をご利用ください。
資産防衛における的確な意思決定のサポートをさせていただきます。
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