2-11 タスク分解:大きな仕事は分けて渡す
「新規事業の計画を作って」と頼んで返ってきた、それっぽくて中身の薄い文書。そっと閉じて「AIはまだこのレベルか」と思った——その結論、少し早いかもしれません。
AIの限界ではなく、依頼の「単位」の問題です。人間も企画書を一筆書きでは書けません。
答えは、仕組みにあります。
◆この話が復習になる人:大きな仕事を分解してから渡す手順が身についている方。その場合は2-12_反復改善サイクルへ。

このレクチャーのゴール: 一発依頼の限界を理解し、工程・要素・観点の3つの技法でタスクを分解し、パイプラインとして設計できる。
大きなタスクは論点が多すぎて、一度の生成で全部を深掘りするのは構造的に不可能です。人間が企画書を一筆書きで書かないのと同じ。解決策は分解——工程で分けるか、部品で分けるか、視点で分けるか。
「新規事業の企画書を作って」のような大きな依頼を一発で投げると、たいてい浅く広い、どこかで見たような成果物が返ってきます。原因はAIの能力不足ではありません。大きなタスクには検討すべき論点が多すぎて、一度の生成ですべてを深掘りするのは構造的に不可能だからです。人間でも、企画書を市場分析から収支計画まで一筆書きで書く人はいません。
解決策がタスク分解です。分解の技法は3つあります。
①工程分解(プロセス型):時間軸で分ける。「情報収集→分析→構成案→執筆→推敲」のように、仕事の手順に沿って分割します。
②要素分解(コンポーネント型):成果物の部品で分ける。企画書なら「市場分析」「競合分析」「提供価値」「収支計画」をそれぞれ別のタスクにします。
③観点分解(パースペクティブ型):視点で分ける。同じ提案を「顧客視点」「財務視点」「実現可能性の視点」から順に検討させます。
分解したタスクは、パイプラインとしてつなぎます。ポイントは中間出力の活用です。ステップ1の出力(例:市場分析の結果)を人間が確認・修正してから、ステップ2の入力に渡す。この「人間の検問所」を挟むことで、序盤のズレが最後まで増幅される事故を防げます。ズレは早く見つけるほど修正コストが小さい——これは第3A部で学ぶ仮説思考の「朝ドラフトの壁打ち」と同じ原理です。
競合分析レポートを例にすると、一発依頼では「一般論の羅列」になるところが、「①競合3社の公開情報を整理→②比較軸を設計→③軸に沿って比較表を作成→④自社への示唆を抽出」という4段パイプラインなら、各段で品質を確認しながら、深い成果物に到達できます。
よくある失敗は、細かく分けすぎて管理が破綻する、分解しただけで中間確認を省く、前のステップの出力を次に渡し忘れる、の3つです。分解の粒度は「1ステップ=人間が5分で検収できる量」が目安です。実際、案内メール1本を12ステップに割って管理が破綻し、4ステップに束ね直した経験があります。粒度は細かいほど安全、ではありません——検問の数だけ、あなたの時間が要ります。

保存版・3つの分解技法
大きな依頼が浅くなるのは構造的必然。分解が唯一の解決策
工程・要素・観点の3つの分解技法を使い分ける
中間出力に人間の検問所を挟み、ズレを早期に修正する
各ステップの間に"人間の検問所"を挟めば、冒頭の"それっぽくて薄い文書"が深い成果物に変わります。
やってみよう: 今抱えている大きめのAI依頼を1つ、3〜4ステップのパイプラインに分解して図にしてみましょう。下書きは次のプロンプトで作れます。
次の大きな依頼を、まず〔工程/要素/観点〕のどれかで3〜4ステップに分解し、各ステップの成果物を提案してください。私が各段を確認してから次へ進めます。依頼:〔ここに書く〕
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