1-4 AIの得意・不得意を判断に組み込む
「それAIでやれば早いのに」と言われたものの、どこまで任せて大丈夫か分からず、結局ぜんぶ自分の手でやった夜——慎重なあなたほど、経験があるはずです。
その慎重さは正しい判断です。ただ、任せてよい範囲の「地図」を渡されていなかっただけです。
これ、仕組みを知るだけで景色が変わります。
◆この話が復習になる人:タスクごとに「AIに任せる・任せない」を得意・不得意から判断できている方。その場合は1-5 RAG・マルチモーダル・画像生成へ。

このレクチャーのゴール: 「これはAIに任せる」「これは自分でやる」の仕分けが瞬時にできるようになる。
AIの得意・不得意は、運や気分ではなく仕組みから決まっています。パターンが豊富にある仕事は得意、正確な計算・最新情報・事実の保証は不得意——理由ごと理解すれば、タスクを見た瞬間に「これはAI向き、これは自分でやる、これは分担」と仕分けられるようになります。
道具を使いこなす第一歩は、その道具が何に向いていて何に向いていないかを知ることです。LLMの得意・不得意は、これまで学んだ「パターン予測機械」という正体から素直に導けます。
得意なことは、パターンが豊富に存在する仕事です。第一に、文章の生成と変換。メールの下書き、企画書のたたき台、文体の書き換え、翻訳などは、学習データに無数のお手本があるため高品質です。第二に、要約と構造化。長い議事録から要点を抜き出したり、雑多な情報を表に整理したりする仕事は、LLMの独壇場です。第三に、知識に基づく多角的な支援。一般的な知識について「マーケティングの観点では?」「法務の観点では?」と視点を切り替えながら答えられるのは、幅広い分野のパターンを学習しているからです。
不得意なことも仕組みから説明できます。第一に、正確な計算や数値処理。LLMは計算をしているのではなく「計算結果らしい文字列」を予測しているだけなので、桁数が増えると平気で間違えます。第二に、最新情報。学習データにはカットオフ(収集期限)があり、それ以降の出来事は知りません。検索機能で補えますが、素のLLMに聞くのは危険です。第三に、事実の正確性の保証と長期的な一貫性。前のレクチャーで見たハルシネーションに加え、長い対話では最初の設定を忘れていくこともあります。
この得意・不得意から、実践的な役割分担が見えてきます。パターンのある作業はAIに任せ、正確性の担保と最終判断は人間が握る。たとえば「売上データの分析レポート作成」なら、計算はExcelや計算ツールで行い、数値の解釈やレポートの文章化をAIに任せ、結論の妥当性チェックを人間がやる、という分担が最適です。

保存版・仕分けカード
得意: 文章の生成・変換、要約・構造化、多角的な知識支援(=パターンがある仕事)
不得意: 正確な計算、最新情報、事実保証と長期の一貫性
パターン作業はAIへ、正確性の担保と最終判断は人間が握る
冒頭の"結局ぜんぶ自分でやった夜"は、この地図があれば半分はAIに預けられます。
やってみよう: 今抱えているタスクを3つ書き出し、「AI向き/人間向き/分担」に仕分けしてみましょう。迷ったら次のプロンプトで下書きを作れます。
次のタスクを、
AI向き(パターンが豊富)/
人間が握る(正確性・最新性・最終判断)/
分担、の3つに仕分けし、分担のものは
"どこをAI・どこを人間"
かも一言添えてください。
タスク: 〔 ここに列挙 〕
📍 番号や読む順に迷ったら講座マップへ。目的別ルートと全84レクチャーの対応表があります。
