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#344: 15分の待ち時間を「価値ある体験」に変えられるか? ゲストルーム刷新の裏にある、もう一つの目的。

デジタルで便利にすることだけが「DX」ではありません。その先にある「リアルな時間」をどうデザインするかが、本当の勝負です。

みなさん、こんにちは。富山の平均年齢56歳の古いガソリンスタンドで、社員さんと共にDXや地域活性化に挑戦しているnobuです。

前回は、ネット予約という仕組みを通じて、僕たちが大切にしている「DXの考え方」についてお話ししました。

ありがたいことに、この仕組みを各店舗の社員さんたちと一歩ずつ運用してきた結果、ネット予約サイトで全国1位という評価をいただくことができました。

しかし、予約がスムーズに取れるようになったことは、あくまでスタートラインに過ぎません。

どんなに効率よくご来店いただいても、タイヤ交換などの作業中には、どうしても「お待ちいただく時間」が発生します。今回は、そのデジタルの「その先」にある、僕たちの思考についてお話しします。

待ち時間の「ストレス」を分解する

ネット予約を導入したことで、以前のような「いつ終わるかわからない待ち時間」に対するイライラは、ほぼ無縁のものになりました。

お客さまはある程度、終わりの時間を見積もれるようになります。「いつまで待てばいいのか?」という不透明さからくるストレスがなくなった。
これはデジタルの大きな成果です。

しかし、実際に物理的に待つ時間はゼロにはなりません。この「確定した待ち時間」をどう過ごしていただくか。次はここをどうするかが、僕たちの大きな課題となりました。

2. 「早ければ満足」という大きな勘違い

ガソリンスタンドの現場では、昔から「タイヤ交換をいかに数分で終わらせるか」というタイムトライアルのような風潮があります。「早ければお客さまは喜んでくれる」という思い込みです。

でも、これは大きな間違いだと僕は思います。

お客さまが技術的、あるいは体力的な不安からプロである僕たちに依頼してくださっているのは、何よりも「安心して自分の車に乗って帰りたい」という気持ちがあるからです。

それなのに、こちらが勝手に満足度を履き違えてタイムトライアルを始め、お客さまの話もろくに聞かずに電光石火で作業と支払いを済ませてしまったらどうでしょう。

お客さまはきっと「本当に大丈夫かな?」と不安になるはずです。

15分が18分になっても、お客さまはそれほど気にしません。それよりも大切なのは、その時間を「安心」と「価値」に変えることなのです。

「暇つぶし」という、お客さまを見下すスタンス

もし待ち時間を単なる「暇つぶし」と捉えてしまったら、完全にズレた打ち手しか生まれません。適当な雑誌を置き、テレビをつけておけばいい、という打ち手で止まるはずです。それならスマホで十分事足りる。

厳しい言い方かもしれませんが、僕はこれを「お客さまを見下しているスタンス」だと感じてしまいます。

お客さまは、忙しい日常の中でわざわざ時間を割いて、僕たちのお店を予約して来てくださっています。その貴重な時間を、ただの「暇つぶし」で終わらせたくありません。

その時間はもっと「価値のある時間」として過ごしていただく責任が、僕たち店舗側にはあると思っています。

地域事業者と共に創る、圧倒的な空間

そこで僕たちは、店舗のゲストルーム(待合室)のあり方を根本から見直しました。単に小綺麗にするのではなく、ガソリンスタンドの常識を打ち破る空間を目指したのです。

👇高道SSのゲストルームデザイン

👇ダイナミックヤギヤSSのゲストルームデザイン

これらのコーディネートは、地域の事業者であり、僕自身がCSO(最高戦略責任者)として参画している「ROKA STYLE」に担ってもらいました。

ROKA STYLEは、廃棄されるものに新しい命を吹き込む「アップサイクル」を掲げるブランドです。なぜガソリンスタンド経営者の僕がこの事業に本気でコミットしているのか、その理由は過去の記事で詳しく書いています。

僕たちが進めているBoost X projectの一環として、この空間にさらに地域の他の事業者さんを巻き込み、商品の展示・販売やポップアップなども行っています。

ただ待つだけの時間が、地域の新しい魅力に出会う価値ある体験になる。
この循環こそが、僕たちの目指している「ちょうど良いDX」が創出した新しいSSのフォーマットなのです。

おわりに:変わり続けるチームへのエールとして

ここまで偉そうに書いてきましたが、僕たちのガソリンスタンドが、ここで語った理想をすべて完璧に実行できているわけでは決してありません。

現場では日々、予期せぬトラブルも起きれば、反省することばかりです。
これは僕自身の「自戒の念」を込めた文章でもあります。

それでも、僕たちは下手なりに、少しずつ、変わり続けようとしています。

「お客さまにとっての本当の価値は何か?」を問い続け、思考を止めない。そんな僕の自慢のチームメンバーたちへのエールとして、この記事を締めくくりたいと思います。

▼拙著『ちょうど良いDX』はこちら

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