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#17:ひとつの打ち手で『複数枚抜き』 ── 問いを深めて真の課題解決へ

目の前の“問題”を、次々に解決していく。
それは、仕事ができる人の証のように思われがちです。

でも僕は、それが“対処療法の連続”になってしまっていないかを、つねに疑うようにしています。

むしろ、問題をすぐには解かず、“問い”として育てることで、
一手のアクションが、複数の課題をまとめて解決することがあるんです。

今日はそんな、「問いの設計力がもたらす複数課題の同時解決」について書いてみたいと思います。

ChatGPTの導入時に起きた変化を例に、問いを育てる経営について考えます。

もしあなたがーー
✅ DXやAIをどう業務に活かすか模索している
✅ チームの改善が点になってしまい、全体が変わらない
✅ ひとつの取り組みで複数の効果を生みたい
と悩んでいる場合、この記事は、きっと何かヒントになるはずです。


今回の記事(#17)は#16の続きとなります。
ぜひ、#16も読んでいただけるとうれしいです!



1. 問題を“すぐに解く”ことが、遠回りになることもある

「何か問題が起きたら、即座に対応する」
それは重要な姿勢です。
たしかに、問題はスピーディに対処したくなります。

でも本質的な問題って、すぐには見えないし、解けない。
だからこそ、「今これを解くべきか?」を自分に問うことが大切だと思っています。

すぐに解くことで得られるのは、目先の安心感や一時的な納得感。
でも、“問い”を育ててから行動すると、一手の打ち方が変わります。

それによって、「あれも解けた」「これも変わった」というように、
複数の課題が同時に好転することがある

僕はその現象を、
「複数枚抜きできたね」
と半ば冗談まじりに呼ぶことがあります。
でもその効果は、笑い話にできないほど大きいのです。


2. ChatGPTを“導入しなかった”ことから始まった話

たとえば、ChatGPT。

話題性も高く、業務に導入すれば“デジタル化している感”は出ます。
でも、僕は社内に対して「使いなさい」とは言いませんでしたし、今も命じていません。

むしろ、警戒しているくらいです。
生成されるコンテンツに“軽さ”を感じたり、
「これって遊んでる?仕事してる?」と感じる瞬間が生まれるからです。
特に画像生成は劇薬です。
自分ではできないイメージが作成されるのでおもしろいです。
ガチャ要素も強いので、ただなんども生成を繰り返すことになる。
そんな運用がイメージできます。

ある日、社内からこんな声が聞こえました。
「DM文面って、読みづらいよね」
「誤字脱字が多くて、お客さんに届くのが怖い」

それは“問題”というより、まだ“違和感”の段階でした。
でも、その声を「問い」に変えてみることにしました。

「もし、自分たちが“伝えること”の価値をもっと大事にできたら?」
「ツールに頼ることではなく、“言葉”に向き合えるきっかけを作れたら?」

そう考えて、僕は試しに、ChatGPTでDM文章を作るツールをつくって社内に軽く共有しました。
使うかどうかは自由。命じない。説明もしない。問いだけを置いた感じです。


3. 一手が、複数の課題をつなげて動かすことがある

すると、不思議なことが起こりはじめました。

① DMの文面がわかりやすくなった
② 誤字脱字が激減した
③ 対応者以外がチェックにかかる工数が減った
④ 「伝える言葉」に対する社員さんの感度が上がった
⑤ ビジネスチャット上の文章のトーンが整ってきた
⑥ ChatGPTの活用知見が社内に自然とたまっていった

おそらく、ChatGPT導入を掲げて指揮をとっていたら、
①②の結果が確認できたと思います。
③もそうかもしれません。
ただ、④⑤⑥などは、「DMの文面が読みづらい」
という問いに対してアプローチできたので、得られた結果だと思います。

そもそも、別問題として、チャット上でのコミュニケーションについては、
チームとして問題意識がありました。
ただ、明確に課題解決に乗り出す判断はしていませんでした。
その「問い」も深まっているタイミングではあったので、
みんなの中で、
この「DMの文面が読みづらい」という類似問題の解決策が、チャット上でのコミュニケーションでもった「問い」と繋がったんだと思います。

違和感を問いに昇華し、
正しくタイミングを合わせて“問いを提示”したことで、
ひとつの打ち手が、組織の複数の箇所を同時に変えるきっかけになったのです。

「視座を上げて考えた」
というのも別の説明として正しいかもしれません。

「AIを導入した」ことという表層的なことよりも、
「問いを広く置いた」ことが、
大きな意味を持っていたと感じています。


4. まとめ:問いが深まると、組織はまとめて変わる

すぐに解ける問題に手を伸ばすのは、たしかに気持ちがいい。
でも、それが“複数の問題の根源”に手をつけられない原因にもなりえます。

意外にある打ち手が他の課題の解決する手段となっていることは多い。
その手を打てば、狙っていた課題が解けなかったとしても、別の課題が解けてしまった。
ということが起こり得る。

だからこそ、問いを急がず、育てていく。
チームが認識してムーブを起こすため、
問いを投げかけ続ける。
この姿勢こそが、結果として「複数枚抜き」のような変化を生むのだと思います。

複数の課題が、偶然のように一手で解ける。
でもそれは、問いを育ててきた人にしか起こらない“必然の偶然”です。

命じない。押しつけない。
でも、問いだけは、ちゃんと投げかけておく。

それが、僕にとっての“ちょうど良いDX”であり、
組織の未来に静かに効いていく問いの設計力なのです。


ここまで「問いを深める」ということを書いてきましたが、
これがなかなか難しいのです。

僕たちもたくさんの失敗をしてきました。
次回のnote(#18)では、僕たちの失敗談を踏まえて、
チームで「問いを深める方法」について書きたいと思います。

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