図書館とおじさんと私
技術士二次試験まであと3か月ですね。
家だとなかなか集中して勉強できないので、先週末は、近くの図書館に行ってみました。
決して大きな施設ではないのですが、勉強には都合の良い、講義室の様な閲覧室があります。
そこには、新聞を読むおじさんや、私の様に勉強に励む方が何人か。
適度な雑音により、集中力が高まるように感じます。
そこで、模擬試験をやってみようと、R3森林部門Ⅰ-2を解いてみました。
テーマは「生態系サービス」。
今回は、答案フレームを示しながら、
生態系サービスの向上
について、書いていきます。
森林の多面的機能と生態系サービス
まずは、問題の前文です。
森林は極めて多くの多面的機能を有しており、様々な生態系サービスをもたらしている。生態系サービスとは生態系が私たちにもたらす恵みのことで、国際連合の主唱による「ミレニアム生態系評価」では、生態系サービスを「供給サービス」、「調整サービス」、「文化的サービス」、「基盤サービス」の4つに分類している。
「森林の多面的機能が、4つの生態系サービスをもたらしている」ということですね。
森林の多面的機能については、その一部を以前の記事で紹介しています。
改めて、森林の多面的機能を項目別に示すと、
土砂災害防止、土壌保全
水源涵養
保健、レクリエーション(行楽や療養)
地球環境保全(二酸化炭素吸収)
物質生産(木材やきのこ)
生物多様性保全
快適環境形成(気候緩和や大気浄化)
文化(景観や伝統的文化)
また、4つの生態系と森林の多面的機能を簡単に解説すると、
「供給サービス」→食べ物、木材、衣料、水、医療品の供給【水源涵養、物質生産】
「調整サービス」→大気や水をきれいにし、気候を調整【土砂災害防止、水源涵養、地球環境保全、快適環境形成】
「文化的サービス」→野外レクリエーションなどの娯楽により生活を豊かにする【保健、文化】
「基盤サービス」→植物の光合成、土壌形成、水循環など、上記3つのサービスの基盤【地球環境保全、生物多様性保全、快適環境保全】
という関係が整理できます。
生物系サービスを向上させるための課題
(1)技術者としての立場で多面的な観点から、森林において重要と考える生態系サービスを3つ抽出し、これらが上記の4つの分類のいずれに該当するかとそれぞれを抽出した観点を明記したうえで、それぞれのサービスを質的・量的に向上させるための課題の内容を示せ。
技術士二次試験の多くの設問で、課題を抽出した観点を示す事を求められます。
しかし本問では、森林において重要と考える生態系サービスを抽出した観点を明記するよう求めている点に注意が必要です。
さらに、前文では「森林の多面的機能が、4つの生態系サービスをもたらしている」と言っている事を踏まえ、私は次の3つの生態系サービスを抽出しました。
「持続可能な社会を形成する観点」から、物質生産機能(供給サービス)
「公衆の安全確保の観点」から、土砂災害防止機能(調整サービス)
「生態系サービスの根幹となる豊かな生物相を維持する観点」から、生物多様性保全機能(基盤サービス)
そして、抽出した生態系サービスを質的・量的に向上させるための課題としては、
供給サービス → 林業経営の関心低下 → 林業経営の収支構造を改善し、森林管理が適正に行われることが必要 → 森林資源の循環利用の促進が課題
調整サービス → 豪雨形態変化による山地災害の激甚化 → 治山対策により、森林機能の補完が必要 → 近年の豪雨形態変化に対応した治山対策の実施が課題
基盤サービス → 森林が成熟し、利用期を迎えている → 森林施業による生態系の連続性損失への対応が必要 → 生物多様性に配慮した林業経営が課題
と整理できるでしょう。
最も重要と考える課題と解決策
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
山地災害により、森林が消失すれば、森林による生態系サービスは十分に発揮できません。
また、人命保護の観点からも重要と考え、調整サービスの向上を、最重要課題としました。
得意分野(治山)に寄せている感もありますが・・・お察しください。
解決策は、林野庁が設置した「豪雨災害に関する今後の治山対策の在り方検討会」により示された方向性のうち、森林の土砂災害防止機能を維持・向上させるための対策をもとに整理できそうです。
こちらも、上記の記事で解説しているので、要点をまとめると、
表層よりやや深い層からの崩壊が増加 → これらに対応した治山対策により土砂災害防止機能を補完 → 土砂災害防止機能の質的向上
渓流の縦横侵食が激化 → 階段状に治山ダムを設置し、流水エネルギーを緩和 → 崩壊の抑制が森林の健全な成長を促す → 土砂災害防止機能の量的向上
山地災害の同時多発化 → 施設配置に濃淡を設ける → 治山対策の着手率向上 → 土砂災害防止機能の質的量的向上
と考えられます。
新たに生じるリスクと対策
(3)すべての解決策を実行して新たに生じるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
解決策は、従前の治山対策に加え、豪雨形態変化を踏まえた対策を実施することとしています。
これにより、今後の治山事業量の増加が想定されるので、それに伴うリスクと対策と考えました。
具体的には、工事に伴う二酸化炭素排出量の増加による、地球温暖化進行がリスクとなります。
対策としては、施工省力化(土工量の削減や工法の見直し、資材の軽量化など)による二酸化炭素排出量の削減。
さらに、荒廃状況等に応じて、木製構造物の採用による、炭素の長期固定が有効であると考えられます。
技術者倫理と社会の持続可能性
(4)前問(1)〜(3)の業務遂行にあたり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件を述べよ。
技術者倫理は、山地での作業に伴う、労働災害への対策をあげます。
具体的には、保護具や安全装置の使用の徹底、作業前リスクアセスメントの実施などによる安全確保。
ほかにも、法令順守や、情報発信による警戒避難体制の確立による公衆の安全確保なども要件として考えられるでしょう。
社会の持続可能性は、SDGs目標17に示すとおり、林業関係者や企業、行政などが連携することで、森林資源の循環利用を進める。
これにより、目標15持続可能な森林経営の実現に資すると考えられます。
一方で、循環利用の取組が一気に進めば、一時的に過度な伐採が生じ、生物多様性が失われるおそれがあります。
このため、健全な森林生態系の維持と持続的な生態系サービスの発揮を実現できる森林経営を行う必要があるでしょう。
一歩ずつ、着実に
以上が、技術士二次試験の過去問題に沿った生態系サービスの解説です。
技術士二次試験では、これを2時間で、600字詰め答案用紙3枚に記述する必要があります。
30分くらいは、答案フレーム作成に時間を使っても、1,800文字を書く時間はあります。
なので、まずは落ち着いて問題文を読み解き、答案フレームを作成することが大切です。
なのですが、図書館での模試では、焦ってしまい、答案フレーム未完成のまま記述に突入。
結果、1枚目を書き上げるのに50分以上かかり、最終的に仕上がった時には、2時間を過ぎていました。
普段の生活や仕事でもそうなのですが、せっかちな性格なのか、どうしても焦ってしまいます。
どうにかならないもんですかね。
メンタル的なものなんでしょうけど、鍛えてみたいですね。
例えば、先日行った図書館に居た、咳払いをしながら音を立てて新聞を読むおじさんのようなメンタル。
おじさんの性格とか考え方を受け入れるのも、多様性の考え方のひとつなのかも知れないので、その是非はここでは、、、
いや、多様性の一言でなんでも片づけてはダメですね。
いずれにしても、それくらいまでメンタルを鍛えれば、落ち着きも出てくるでしょう。
しかし、メンタルなんてすぐに改善されるものではありません。
森林の生態系サービスの向上も同じで、すぐには効果は出ないでしょう。
大切なのは、少しずつでも良いから、着実に取り組んでいくこと。
行動したその先に、より良い未来が待っているはずです。
