看護師が背負うもの
第1章 看護師のリスク
看護師の仕事には、日常的に多くのリスクが存在します。
身体的な負担、心理的なストレス、
判断の重さ(判断の誤りは対象者の死)、組織の問題、
そして制度や社会構造がもたらす見えにくい圧力があります。
腰痛や頚椎症は、移乗や体位変換のたびに積み重なります。
針刺し事故や感染症のリスクは、どれだけ注意してもゼロにはなりません。
夜勤は生活リズムを崩し、判断力を奪います。
患者や家族からの暴言、クレーム、理不尽な要求もあります。
多重業務の中でミスを恐れ、
「自分は大丈夫だろうか」と自問し続ける日もあります。
組織の人員不足や教育体制の不備、
慣習が優先される現場、
事故が起きても原因分析が行われるが、
そもそもヒューマンエラーはなくならない前提に立つ必要性があります。
こうした環境は、看護師の負担をさらに大きくします。
看護師は“命を預かる仕事”と言われますが、
その裏側には、
自分の身体と心を削りながら働く現実があります。
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そして、看護師のリスクには、
もう一つ、あまり語られない“制度上の重さ”があります。
それは、日々の業務とは別の場所で、
静かに、しかし確実に存在しているものです。
第2章 看護師が一番怖い組織
看護師が一番怖い組織は、病院でも、上司でも、患者家族でもありません。
厚生労働省の「医政局 看護課 医道倫理審査会 看護部会」です。
ここに諮問されるのは、法令違反や刑事罰が関わるケースだけです。
審査会では事実が丁寧に検討され、議決で可決されると、
行政処分が決まります。
最も重いのは、免許取り消しです。
一度失えば、二度と戻りません。
この審査会は、看護師の“職業生命”そのものを扱う場所です。
看護師は「命を預かる仕事」と言われますが、
その裏側には、
自分の人生そのものが問われる制度が静かに存在しています。
現実に起きた重大事件(報道された事実のみ)
• 点滴への異物混入事件(2016)
看護師が患者の点滴に異物を混入し、複数の死亡が発生した事件です。
刑事事件として扱われ、免許取消処分となりました。
• 投薬量の誤りによる死亡事故(複数事例)
麻酔薬や抗がん剤の投与量を誤り、患者が死亡したケースが報道されています。
重大な過失と判断され、業務停止や免許取消が行われた事例があります。
• 高齢者施設での虐待・不適切ケア(複数事例)
身体拘束や不適切な処置が問題となり、行政処分が科されたケースがあります。
これらはすべて、
「医道倫理審査会 看護部会」で審議され、
処分が決定した事例です。
第3章 看護師の賃金は本当に高いのか
看護師は「給料が高い」「安定している」というイメージを持たれやすい職業です。
しかし、この見方は過去のものであり、現在の実態とは大きく異なります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、
看護師の平均年収はおおむね 480〜520万円前後 にとどまっています。
夜勤や時間外労働を含めてこの水準であり、
実際には「高い」というより「責任の重さに対して見合っていない」金額です。
一方で、他業種では次のような状況があります。
• 物流業(大型ドライバー):年収500〜600万円台
• 製造業(技能工):年収500万円前後
• ITエンジニア:年収550〜650万円台
• 電気・設備保全:年収500〜650万円台
• 介護職(夜勤あり):年収350〜420万円台
看護師は専門職であり、国家資格を持ち、
人の命に直接関わる責任を負っています。
しかし、賃金水準だけを見ると、
「危険度」「責任」「精神的負荷」の高さに対して
十分に評価されているとは言い難い現実があります。
さらに、看護師の賃金は夜勤手当や時間外労働に依存しており、
日勤のみでは年収が大きく下がります。
これは「高い給料の裏側に、過酷な働き方がある」という構造を示しています。

上記表の見方の参考は、下記リンクをご覧ください。上段が看護協会・下段が政府公表のリンクです。
https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/shuroanzen/chingin/improvement/salary-schedule.pdf?ver=2
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kouteki_kakaku_hyouka/dai6/sankou3.pdf
そして、もう一つ見落とされがちな現実があります。
育児中でフルタイム勤務が難しい看護師や、
家族介護を抱えてパートでしか働けない看護師は、
時給1,600〜1,800円程度で働いていても、一見高そうに見えます。
なぜ、時給1,600〜1,800円は必要なのか、
看護師は生涯研鑽して自己学習が求められる職種であり、
自費で医療と看護の研修費を捻出しなければならない側面もあります。
そして、任される責任の重さ、判断力に応じた賃金を求めているのです。
週24時間~29時間の勤務では年収が200〜250万円に届きません。
これは事実です。
「看護師≠高給取り」という世間のイメージとは、
大きな乖離があります。
世間が抱く「看護師は給料が良い」という印象は、
高度経済成長期や医療機関が潤っていた時代の名残です。
現在の医療現場は、
人員不足、診療報酬の抑制、業務の複雑化が進み、
医療機関・介護施設は、物価が上がり、
同時に支払う消費税も増えています。
仕入れる物品・医療器材の価格の高騰+消費税の重しがあり、
経営を逼迫させ、赤字になり易い体質へ変化しました。
一方で、診療報酬・介護報酬・障害福祉報酬
これには、消費税分を請求できる仕組みがない、消費税分の上乗せはありません。
賃金が上がりにくい構造になっています。
看護師は“安定している職業”と言われますが、
その実態は、
高い責任と負担に対して、賃金が追いついていない仕事 です。
最終章 まとめ
看護師の仕事には、身体的・心理的な負担、判断の重さ、
そして組織や制度がもたらす見えにくいリスクが日常的に存在します。
自分の身体と心を削りながら働く現実があります。
さらに、看護師の行為は制度によって厳しく問われ、
最終的には免許の存続そのものが審査される仕組みがあります。
看護師は、目の前の患者だけでなく、
自分の職業人生とも向き合いながら働いています。
賃金についても、世間のイメージとは異なり、
責任の重さに対して十分とは言えません。
フルタイムで働けない看護師は年収が200〜250万円に届かず、
生涯研鑽のための研修費も自費で捻出しています。
看護師は“安定した仕事”と言われますが、
その実態は、静かに多くのものを背負い続ける職業です。
離職率が高い背景をご理解いただけただろうか
そして最後に──
今日も現場で踏ん張っている看護師のみなさんへ。
どうか、休めるときは休んでください。
倒れる前に座ってください。
座れないなら、せめて心だけでも座ってください。
それでも働き続けているあなたは、十分すぎるほど頑張っています。
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こんな意見もあった
今回の話は、制度と生活の境界線をどう扱うかという、
自分の基本スタンスにもつながっている。
そのあたりは自己紹介の記事に少し書いてあるので、
気になる人だけ読んでくれれば十分。
なお、私の居住地は沖縄県石垣市字登野城2390番地、
尖閣諸島・魚釣島です。(※もちろん冗談です)
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在宅介護の合間に書いているので、そっと置いていただければ充分です。
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