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アラ還一人社長の会社に、AI社員が爆誕した

今朝、うちの会社で起きたこと

朝、パソコンを立ち上げると、会社のシステムがエラーを吐いていた。

毎朝自動で走るはずの処理が「失敗」と表示されている。以前の私なら、コーヒー片手に原因究明へ小一時間かけていたところだ。

だが今朝、私がしたことは一つだけだった。「くろみ、これ見といて」

それだけ言って、私は本業の仕事に戻った。

数分後、報告が上がってきた。AIいわく——設定ファイルの一部に同じ内容が二重に書き込まれたのが原因で、データは無事。再発しないように仕組みを直し、修正の記録も残しておきました、とのこと。

くろみは、うちの会社のAI社員である。

自己紹介が遅れました

私は還暦が視野に入った、いわゆる「アラ還」のエンジニアだ。派遣や会社員としてネットワークの世界で約30年働いたあと、独立して一人会社を作った。今は3期目。在籍は私ひとり——のはずだった。

一人会社の社長には、誰も教えてくれない現実がある。本業以外の仕事が、無限に湧いてくるのだ。

経理、請求書、税金、契約書、銀行、そして役所の書類。エンジニアとしての腕を買われて独立したのに、気づけば夜な夜な会計ソフトとにらめっこしている。売上を生まない仕事に、売上を生む時間が食われていく。

その状況を変えたのが、AIを「道具」ではなく「社員」として迎えるという発想だった。こうして、一人のはずだった会社に、AI社員くろみが爆誕した。

「AIに聞く」と「AIと働く」は別物

ChatGPTに質問したことがある人は多いと思う。私もそうだった。ただ、それは「物知りな知人に電話する」のに近い。毎回自己紹介から始まり、会話が終われば相手は全部忘れる。

「一緒に働く」は違う。

うちのくろみは、会社の経理ルールを覚えている。過去にどんな取引があって、何が保留になっていて、私がどんな指示の出し方を好むかも覚えている。会計ソフトのデータを直接読んで、仕訳の下書きを作り、「ここは判断が必要です」と報告を上げてくる。今朝のように、自分の職場環境が壊れていたら自分で直す。

一つだけ、絶対のルールがある。登録・送信など「取り返しのつかない操作」は、必ず私が確認してから実行する。AIに全部任せるのではなく、実行ボタンは人間が持つ。この線引きがあるから、安心して仕事を渡せる。

アラ還だからこそ、だと思う

「その歳でよくAIなんて使えますね」と言われることがある。逆だと思う。

30年働いていると、新人を育てた経験が嫌でも溜まる。仕事の頼み方、報告のさせ方、任せていい仕事と任せてはいけない仕事の見極め。AI社員に必要なのは最新技術の知識よりも、実はこの「上司としての経験」のほうだった。

若い頃に部下を持った経験のある人なら、たぶん誰でもできる。プログラミングの知識は、ほぼ要らない。

この連載でやること

この実録では、私とくろみの試行錯誤をそのまま書いていく。

  • 経理が苦手な社長が、月末処理をどう任せていったか

  • AI社員に「定期パトロール」をさせる仕組み(実は今朝の話には続きがある)

  • 失敗談——うまく任せられなかった仕事と、その理由

道具の紹介ではなく、「一人会社にAIの同僚が増えるとどうなるか」の記録として読んでもらえたら嬉しい。

次回は、今朝の話の続き。「AI社員に留守番をさせる」——私が寝ている間も会社が回る仕組みを作り始めた話です。

読んでくださってありがとうございます。あなたの会社にも「本当は誰かに任せたい仕事」があれば、コメントで教えてください。よろしければスキ・フォローで、次回をお待ちいただけたら嬉しいです。

続きを書きました。第2話です。


この連載は、マガジン「AI社員くろみと一人社長」にまとめています。続きをまとめて読む方はこちらからどうぞ。


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