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美術鑑賞好きが、美術作品は理解できなくて当たり前な理由を考えてみた


これまで様々な美術館に足を運んできましたが、作品を目にしても「よくわからない」と感じる場面は今も多々あります。

周囲の人と話していても、美術作品を観てもなにも分からないからつまらない、といった意見を聴くこともしばしばあります。

果たしてそれは観る人の感性や理解力に問題があるからなのでしょうか?

私自身、美術鑑賞を趣味としている立場から、その理由を考えてみました。

1. そもそも作品の見方を習っていない

私たちは学校教育や日常生活の中で、美術作品の「鑑賞方法」を体系的に学ぶ機会がほとんどありません。

「美術」の授業を選択していたとしても、授業では絵を描くことが中心で、美術史の概要や、実際の作品のどの部分にどう着目するのか、といった鑑賞方法について言及されることは限られています。

そのため、初めて目にする絵や彫刻に対しては、作品の意味や意図を理解することが難しく、色や形、構図といった要素がただの印象として頭に残るだけになってしまいがちです。

これにより、鑑賞者は「理解できない」と感じてしまうのですが、これは能力やセンスの問題ではなく、経験していない行為を目の前にした自然な反応にすぎません。

逆に言えば、だれでも後天的に学び得るということでもあります。

2. 前提となる知識がない

美術作品の多くは、その制作時代の社会背景や文化、宗教的文脈と深く結びついています。

例えば、西洋の宗教画では、さまざまな象徴や物語が作品内に織り込まれており、それらを理解するには旧約聖書や新約聖書の知識、あるいは当時のヨーロッパの文化的常識をある程度知っている必要があります。

旧約でも新約でも、聖書を最初から最後まで読んだことがあり、しかも有名な場面を覚えているという人は決して多くないのではないでしょうか。

また、歴史画や肖像画においても、描かれた人物の社会的立場や歴史的事件を知らなければ、作品の意図や意味を正確に読み取ることは難しいでしょう。

HUNTER×HUNTERで例えてみましょう。

まずHUNTER×HUNTERという作品があって、その話の中にゴンという主人公がいて、カイトという恩人の仇を討つためにネフェルピトーという敵と戦っている。

このエピソードを知らなければ、天を衝かんばかりに逆立った長い黒髪に、丈のみじかいタンクトップとズボンを身に付けた筋骨隆々の異様な男(ゴンさん)の絵だけを観ても意味が分からないですよね。

一方で、HUNTER×HUNTERを知っている人であれば、ゴンの感情を想起して共感できたり、この絵が当時の読者に与えた衝撃などを想起できたりします。

現代の我々と時代や社会前提が大きく異なる作品を理解するにはある程度知識が必要です。

知識の不足は「理解できない」という感覚を生む大きな要因であり、知性や感性の問題ではなく、情報の欠如による当然の反応なのです。

3. 「自分の感覚で楽しむのが一番」という教育の弊害

学校の美術の授業などでは、「作品を自由に感じること」「好きなように楽しむこと」が強調されることがあります。

このアプローチは鑑賞者の自由な感性を尊重するという点では大切です。

実際、美術作品の中には意味は分からなくても美しい、あるいは観ているだけで楽しい作品もあるので、間違ったアプローチではありません。

ただ、感性で楽しむという方法には、作品を深く理解するための観察の手がかりや基礎知識が欠如したまま鑑賞を始めることになりやすいという弱点もあります。

その結果、作品の奥行きや細部の意味に気づきにくく、どうしても「わからない」という感覚が強まります。

言い換えれば、自由な鑑賞を促す教育方針自体が、逆に鑑賞者にとってのハードルを高めてしまうことがあるのです。

ここでも、理解できないことは決して個人の能力不足によるものではありません。

個人的な体感ですが、現代人は写真や映像(映画やテレビ)、ゲームなど発達したメディア表現に慣れ切っているため、

見ているだけで面白いと感じられる美術作品は正直そこまで多くないのではないかなと考えています。

まとめ

以上の理由から、美術作品をすぐに理解できないのは、むしろ当然のことと言えます。

「理解できなくて当たり前」という前提に立って、少しずつ背景や作家の意図を知っていくと、新しい発見が生まれて鑑賞はさらに豊かになります。

美術鑑賞は自分の美的センスをテストするための行為ではなく、

作品を観ることを通じて自分が持っている考えに気づいたり、自分とは異なる時代の価値観を知ったりして、世界を広げていく行為なのです。

美術鑑賞は美術だけでなく歴史や文化などを幅広く学べる楽しいジャンルなので、このNoteでの活動を通じてその魅力を伝えていきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。今後も美術鑑賞に関する記事を作成していきます。

もし実践してみて気づいたことや質問があれば、コメントで教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。


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