中学生の夏休み、やる気が下がらないために親ができること|親子で使える「夏休みチェックリスト」
夏休み。
子どもにとっては、学校がない自由な時間。
でも、親にとっては、
「宿題、ちゃんと終わるかな」
「毎日ゲームばかりしているけど大丈夫?」
「このままで新学期に間に合う?」
と、少し心配になる時期でもあります。
特に中学生になると、親が何から何まで手を出すわけにもいきません。
自分で計画して、自分で勉強してほしい。
そう思いますよね。
でも、実際にはなかなか思うようにはいきません。
宿題をやっていると思ったら、いつの間にかスマホ。
「勉強しなさい」と言うと、
「今やろうと思ってた!」
と返ってくる。
そして親もイライラ。
子どももイライラ。
夏休みなのに、親子で疲れてしまう。
そんなこともあるのではないでしょうか。
私は今、家庭教師として中学生の学習を見ています。
そして、長く教員として子どもたちと関わってきました。
その両方の経験から感じるのは、
中学生のやる気を上げることより、やる気を下げないことのほうが大切なのかもしれない
ということです。
「勉強しなさい」が逆効果になることもある
親としては、もちろん悪気はありません。
宿題をやってほしい。
少しでも勉強してほしい。
夏休みの終わりに慌ててほしくない。
だから、
「宿題やった?」
「まだやってないの?」
「いつになったらやるの?」
と言ってしまいます。
私自身も、子どもに関わる仕事をしてきたからこそ、この気持ちはよく分かります。
でも、中学生からすると、
「今やろうと思ってたのに」
となることもあります。
そして、何度も言われるうちに、
「もう分かってる!」
「うるさい!」
と反発したくなる。
こうなると、本来は「宿題をやる」というだけの話だったのに、いつの間にか親子のケンカになってしまいます。
だから、
「勉強させる」より「勉強できる状態にする」
ことを意識してみる。
それだけでも、少し変わるかもしれません。
やる気がないのではなく、疲れているだけかもしれない
家庭教師をしていて感じることがあります。
子どもが問題集を前にして、なかなか進まない。
「やる気がないのかな?」
と思っていたら、
実は部活で疲れていた。
睡眠不足だった。
暑さでぐったりしていた。
学校がないことで生活リズムが崩れていた。
そんなこともあります。
大人だって、疲れていると仕事がはかどりません。
それなのに、
「もっと頑張らなきゃ」
と言われたら、余計に疲れてしまいますよね。
中学生も同じです。
だから、宿題が進まないときには、
「どうしてやらないの?」の前に「ちょっと疲れてない?」
と見てあげることも大切だと思います。
「できていないこと」より「できたこと」を見る
宿題が10個あって、8個終わっていない。
そんなとき、つい残りの8個に目がいきます。
でも、2個は終わっている。
ここを見てあげる。
「数学、ここまで進んだんだね」
「昨日より進んでるね」
「この問題、自分で解けたね」
そんな小さな声かけでも、子どもは少し変わります。
人は、
「できていない」
と言われ続けるより、
「ここはできた」
と認めてもらったほうが、次の一歩を踏み出しやすいものです。
家庭教師をしていても、
「ここ、できたね」
「前より分かるようになったね」
という言葉を大切にしています。
やる気を出させるより「やる気が下がらない環境」をつくる
夏休みは長いです。
毎日完璧に勉強する必要はありません。
遊ぶ日があってもいい。
ゆっくりする日があってもいい。
家族で出かける日があってもいい。
大切なのは、
勉強だけで夏休みを埋め尽くさないこと。
勉強と休憩。
勉強と遊び。
頑張る時間と、何もしない時間。
そのメリハリがあるからこそ、また勉強に戻ることができます。
そして、親ができることは、
「もっとやらせること」
ではなく、
「無理なく続けられる環境をつくること」
なのだと思います。
ここからは、家庭教師として中学生を見てきた私が、
「こんな声かけなら使いやすい」
「こんな気分転換もいい」
と思う具体的な方法をまとめていきます。
ここからは、家庭教師として実際に感じている「親のサポートの仕方」を、できるだけ具体的に紹介します。
「勉強しなさい」と言いたくなったときの言葉。
やる気が落ちたときの気分転換。
宿題が進まない日の対応。
そして、親自身が疲れすぎないための考え方。
どれも特別なことではありません。
今日からできる、小さな工夫です。
①「勉強しなさい」の代わりに使いたい声かけ10選
1.「今日は何をする予定?」
命令ではなく、本人に考えてもらう。
「今日は数学をやる」
と自分で言えたら、それだけでも一歩前進です。
2.「どれからやる?」
宿題がたくさんあるときにおすすめです。
全部やることを考えさせるのではなく、まず一つ選ばせる。
3.「どこまでならできそう?」
「全部やって」ではなく、できそうな量を本人に決めてもらいます。
4.「まず10分だけやってみる?」
やる気が出るまで待っていると、なかなか始まりません。
「10分だけ」という小さなスタートなら動きやすくなります。
5.「分からないところある?」
勉強が進まない原因が、「やる気」ではなく「分からない」ことの場合もあります。
6.「ここまでできたね」
できたところを見つけて伝えます。
7.「ちょっと休憩する?」
疲れているときは、頑張らせるより休ませる。
8.「終わったら何したい?」
先に楽しみを作っておくのも一つの方法です。
9.「一緒に計画立ててみる?」
本人だけでは整理できないときは、一緒に考えます。
10.「今日はここまでにしようか」
終わりを決めることも大切です。
「まだできるでしょ」ではなく、
「ここまでできたから、今日は終わり」
と言ってあげる。
これも、次の日のやる気につながります。
② やる気が落ちた日の「気分転換」10個
気分転換というと、大げさなことを考えてしまいますが、短時間で十分です。
1.10分だけ散歩する
外の空気を吸うだけでも、気持ちが変わります。
暑い日は無理をせず、夕方など涼しい時間に。
2.好きな飲み物を飲む
冷たい麦茶、ジュース、好きな飲み物。
「ちょっと休もう」と切り替えるきっかけになります。
3.おやつタイム
「ここまでやったらおやつ」
という区切りを作る。
食べながら、
「今日の宿題、どこまでやる?」
と話してみるのもいいですね。
4.好きな音楽を1~2曲聴く
音楽は短時間でも気分転換になります。
「2曲聴いたら、また始めよう」
と決めておけば、ダラダラしにくくなります。
5.15分だけ昼寝する
眠い状態で無理に勉強しても、効率が上がらないことがあります。
短時間の休憩も選択肢です。
6.お風呂に入る
「もう今日は無理」
となったら、一度勉強から離れる。
お風呂に入って、気持ちをリセットしてから再開する方法もあります。
7.コンビニまで一緒に歩く
親子でちょっと外に出る。
アイスや飲み物を買って帰る。
そんな小さな外出でも気分転換になります。
8.家族でランチやカフェに行く
毎日ではなくても、
「今日は午後から一緒に出かけよう」
という予定があると、午前中の勉強にも区切りができます。
9.好きな動画を1本だけ見る
「全部見ていい」ではなく、
「1本見たら戻ろう」
と決める。
ここは家庭によってルールを決めておくといいと思います。
10.その日は勉強量を減らす
これも立派な気分転換です。
「今日はいつもの半分にしよう」
と決める。
ゼロにするか、100%頑張るか。
その二択にしないことです。
③「今日は勉強したくない」と言われたら?
こんな日は、誰にでもあります。
そんなとき、
「夏休みなんだから勉強しなさい!」
と言いたくなります。
でも、まず聞いてみたいのが、
「何が嫌なの?」
ということ。
「疲れた」
「数学が分からない」
「宿題が多すぎる」
「なんとなくやりたくない」
理由によって、対応は変わります。
もし、
「数学が分からない」
なら、一緒に問題を見てあげる。
「宿題が多すぎる」
なら、一覧にして整理する。
「疲れた」
なら、少し休ませる。
「なんとなく」
なら、
「じゃあ10分だけやってみる?」
でもいい。
大切なのは、
「やりたくない=怠けている」
と決めつけないことです。
④ 1日の中に「楽しみ」を入れておく
夏休みは、
朝 勉強
昼 勉強
午後 勉強
夜 勉強
という生活にする必要はありません。
例えば、
午前
宿題を1~2時間。
昼
好きな昼ごはん。
午後
部活・友達・ゲーム・動画・外出。
夕方
タブレット学習などを少し。
夜
読書や自由時間。
こんなふうに、
「勉強の間に楽しみがある」
生活にしてみる。
「宿題が終わるまで遊んじゃダメ」
とすると、勉強そのものが苦痛になってしまうことがあります。
もちろん家庭ごとのルールは必要です。
でも、
遊び=悪いこと
にしないことも大切だと思います。
⑤ 親が言わないほうがいい言葉
つい言ってしまう言葉があります。
「まだ終わってないの?」
「いつまでやってるの?」
「○○ちゃんはもう終わったって」
「このままで高校大丈夫なの?」
「そんなことでどうするの?」
「スマホばっかり!」
言いたくなる気持ちは分かります。
でも、これらの言葉を繰り返しても、宿題が進むとは限りません。
むしろ、
「どうせ自分はできない」
という気持ちにつながってしまうことがあります。
そこで、言葉を少し変えてみます。
「まだ終わってないの?」
↓
「あと何が残ってる?」
「いつまでやってるの?」
↓
「今日はどこまでやる予定?」
「○○ちゃんはもう終わったって」
↓
「自分のペースで進めよう」
「このままで高校大丈夫?」
↓
「今できることを一つずつやろう」
「スマホばっかり!」
↓
「スマホの前に、今日は何を終わらせる?」
言葉を変えるだけで、親子の空気も変わることがあります。
⑥ 中学生の夏休み、やる気が下がらないために親ができること
〜親子で使える「夏休みチェックリスト」
最後に、こんなチェックをしてみてください。
今日の子どもの様子
□ 朝から疲れている
□ いつもより口数が少ない
□ イライラしている
□ 宿題を前にしてぼーっとしている
□ 同じ問題で何度も止まる
□ 「もう無理」と言っている
□ 睡眠時間が足りていない
□ 部活や外出で疲れている
3つ以上当てはまるなら、
今日は勉強量を増やすより、まず休息や気分転換を優先してもいいかもしれません。
逆に、
□ 元気がある
□ 睡眠も取れている
□ やることが分かっている
□ 自分から机に向かっている
□ 少しずつ進んでいる
こんな状態なら、
「今日はここまでやろう」
と少しずつ進めていけばいい。
子どもの様子を見ながら、
「頑張らせる日」と「休ませる日」を考える。
それも親のサポートだと思います。
⑦ そして、親自身も焦らない
これは、私自身が一番伝えたいことかもしれません。
子どもの宿題が終わっていないと、親も焦ります。
「このままで大丈夫?」
「もっと言わないとダメなのかな?」
「私の関わり方が悪いのかな?」
そんなふうに思ってしまうこともあるでしょう。
でも、親が焦るほど、子どもも焦ります。
親がイライラすると、子どももイライラする。
だから、
親が全部背負わなくていい。
そう思ってほしいです。
宿題をするのは子ども。
親は、
「何が残っているか一緒に整理する」
「必要なら声をかける」
「休む時間を作る」
「できたことを認める」
それくらいでも十分です。
「やる気を出させる」のではなく「やる気をなくさない」
家庭教師として中学生を見ていると、
「この子はやる気がない」
と思う場面より、
「この子、ちょっと疲れているのかな」
と思う場面のほうが多いように感じます。
分からない。
多すぎる。
疲れた。
暑い。
眠い。
なんとなく気が乗らない。
そんなこともあります。
だから私は、
「やる気を出させる」より「やる気をなくさない」
ことが大切なのではないかと思っています。
少し休んだら、またできる。
一つ終わったら、次に進める。
分からなかったら、誰かに聞けばいい。
そんな安心感があるほうが、子どもは自分から動きやすくなります。
夏休みは、宿題だけの時間ではない
夏休みは長いようで、あっという間です。
宿題を終わらせることも大切。
でも、それだけではありません。
友達と遊ぶ。
家族と出かける。
好きなことをする。
何もしないでゴロゴロする。
そんな時間も、子どもにとっては大切な夏休みの一部です。
勉強を頑張ったら、休む。
休んだら、また少し頑張る。
その繰り返しでいい。
家庭教師として、そして長く子どもたちを見てきた一人の大人として、私はそう思っています。
最後に
「宿題やった?」
と聞きたくなったら、
一度だけ深呼吸。
そして、
「今日は何をする予定?」
と聞いてみる。
「疲れた」と言われたら、
「じゃあ、ちょっと休もうか」
と言ってみる。
少しできたら、
「ここまでできたね」
と伝える。
たったそれだけでもいいのです。
中学生の夏休み。
勉強も大切だけれど、
「自分でできた」という小さな自信を積み重ねることも、同じくらい大切。
親ができる一番のサポートは、子どもを後ろから急かすことではなく、
「大丈夫。一つずつやればいいよ」
と、安心して進める場所をつくってあげることなのかもしれません。
今年の夏休みが、
宿題に追われるだけの夏ではなく、
「楽しかった」
「少し頑張れた」
「自分でできた」
と思える夏になりますように。

