医学の知識ゼロで医学情報の嘘を見抜く最強メソッド!【045】ワクチンを全否定する医師の無知(その1)
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感染症の「二度なし」の誤解
はしかや風疹は一度かかると二度とはかからない。
ワクチンを全否定する著者のN医師は、感染症の「二度なし」現象について触れています。
「ある病原体に感染して、いったん抗体ができると二度とその感染症にはかからない。なのに、新型コロナワクチンは、コロナに罹った人も打てと言っている。もうこれは、学問でも科学でも何でもなければ、ましてや感染症対策ではない」と、これまた著者は切り捨てています。
どうもN医師は、感染症の二度なし現象について、ウイルス学的、免疫学的に正しく理解されていないようです。
本書の目的は「医学の専門知識なしで見抜く」ことですが、それでも知識はないより、あるに越したことはありません。
ここで、感染症の「二度なし」について、少しばかり踏み込んだ話をします。
はしか、風疹、水ぼうそう。
二度なしが見られるウイルス感染症にはワクチンが有効なことが多いです。
ワクチンによって疑似感染させることで免疫をつけてやって、感染する前に「二度なし免疫パワー」を付与してやるわけです。
ですが、二度なし現象が見られる感染症というのは、実はごく少数派であり、有効なワクチンが作られるのも、ごく一部の感染症に限られています。
たとえば、水ぼうそうのワクチンは、水ぼうそうを起こす水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルスの感染を非常に高い効果でもって防いでくれます。
それでいて非常に安全性も高く、過去何十年にもわたって、世界中で何億人もの子どもに接種されてきた実績があるなかで、重篤な副作用の報告はほとんどないという優れものです。
もし、ワクチンを打たなかった結果、水ぼうそうに罹ったらどうなるか?
子どもの頃に、この水痘帯状疱疹ウイルスに感染すると、よく知られているように皮膚に多数の水ぶくれができます。
そして、症状が治まると免疫ができて、普通は二度と水ぼうそうになりません。
一見「二度なし」に見えますが、実は違うのです。
水ぼうそうの症状が治まった後、私たちの体には水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫ができます。
ですが、その免疫でウイルスを駆除できたわけではありません。
実は、水ぼうそうの症状が治まった後も、ウイルスは生涯にわたって私たちの体の中に潜み続けるのです(潜伏感染)。
細胞の中でウイルスのDNAだけが大人しく眠っており、初回の感染でできた免疫によって抑え込まれているため、普段は悪さをしないものの、一生涯あなたの体から追い出すことは不可能です。
そして、病気やストレスや加齢によって免疫が低下すると、眠っていたウイルスのDNAが活動を再開し、帯状疱疹を引き起こします(下図)。

水ぼうそうは「二度なし」に見えても、免疫でウイルスを撃退できたわけではない。水痘帯状疱疹ウイルスは長年にわたって細胞内で大人しくしており(潜伏感染)、中高年期以降に再活性化して帯状疱疹を引き起こす。水ぼうそうに罹ったことのある人こそ、帯状疱疹の予防にワクチン接種が有効。
(出典:「医療法人社団 こころとからだの元気プラザ」HP)
水ぼうそうに罹ると二度とは罹らない。
だが、ウイルスは生きており、帯状疱疹を引き起こす可能性がある。
二度なしに見えて、実は違う。
このようなことは医学部生の時に習う、ごく基本的なウイルス感染症の知識であり、内科医なら知らないはずがないことです。
水痘帯状疱疹ウイルスは、子どもが感染した場合の死亡率はそれほど高くはありません(100万人に20人程度↓↓)。
ですが、中高年期以降に痛くて辛い帯状疱疹になるのを防ぐためには、効果も安全性も高い水痘ワクチンを子どもの時に接種することが推奨されています。
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