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医学の知識ゼロで医学情報の嘘を見抜く最強メソッド!【041】古すぎる臨床研究は根拠にならない!

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本書で繰り返し申し上げているとおり、RCTなど、いくらエビデンスレベルの高い研究であっても、再現性が確認されておらず、広く専門家から支持されるに至っていない、たった一つの臨床研究の論文だけをもって根拠とすることはできない、というのが大原則です。
そして、前回お話したCNBSS(乳がん検診は役に立たないというカナダの臨床研究)の論文は、支持する人もいましたが、専門家からの広い支持を得るには至りませんでした。
 
ヒトを対象とした臨床試験で再現性のある結果を導き出すことは、とても難しいものです。
被験者の選択基準、マンモ群と非マンモ群の振り分け方法、データの収集方法、統計解析手法の違いによっても結論が変わってくる可能性があります。
また、往々にして人間の思考にはバイアスがかかります。
まったく同じデータを前にしても、人によって解釈が変わり、導き出される結論が真逆になることがあり得ることは、下の表に示した通りです。

賛否が分かれたカナダの乳がん検診の有効性に関する研究

この論文に対する具体的な批判としては、次のようなものがあります。
「本試験が開始されたのは1980年。そこで用いられたマンモグラフィ装置は、当時のレベルからしても診断性能の高いものではなかった」
これは非常にうがった指摘です。
当該装置が当時の標準的な性能よりも劣ったものだったのかどうかはともかく、少なくとも1980年当時のマンモグラフィ装置が使用されていたということは、非常に重要なポイントです。
 
本論文では、マンモ群と非マンモ群とで発見された乳がんの大きさの平均値が示されています。
それによると、マンモ群で発見された腫瘍の平均サイズは19.8ミリ、非マンモ群では21.0ミリでした。
わずか1.2ミリしか違わないのです。
この試験で採用されたマンモ装置は、視触診では分からない早期の小さな乳がんを発見できていなかった可能性が指摘されています。
 
私は、ここから導き出される結論は、こうではないかと思います。
「CNBSSで使用された1980年当時のマンモグラフィ装置は、乳がんの早期発見の役に立っていなかった」
 
この論文の発表年こそ2014年で、それほど古いものではありませんが、研究自体は1980年から2005年にかけて行われたものです。
研究終了から論文発表まで9年も経過しています。
年月が経過するほど研究内容自体が陳腐化していきます。
 
医療技術は日進月歩です。
半世紀近くも昔の古い装置が役に立たなかったとの論文を根拠に、格段に進歩した現代の医療技術を否定することはできないと、ご理解いただけると思います。
 
一般の人が臨床研究の論文の内容を吟味して、おかしな点を見つけ出すことは、とても難しいでしょう。
そのようなことをする必要はありません。
医学の知識を身につけ、論文が読めるようになる必要などないのです。
ただ、次のことを覚えておいていただくと、役に立つことがあるでしょう。
「あまりに古い研究結果を、現代の医学のレベルに当てはめて根拠とすることは適切ではない」ということを。
 

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