時空を超えて‥‥小説(世流寝狐52)
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「何をしていた男です」
「健康増進機器メーカーの営業をやっていると言ってました。でも今考えると本当に働いていたのかどうか」
「住所は」
「いえ、知りません」
首を横に振る。
「お友達、康子さんでしたか、お聞きしましたが、男には弱みがあったそうですね」
「あっはい、よくは分からないんですけど、私がちょっと昔のことを話題にすると、急に真っ赤な顔で怒鳴ったりして。かと思うと、怯えるようにおとなしくなったりするから、そう思ったんです。もしかしてそれが、殺されたことと関係あるんでしょうか」
水江は、事件について逆に聞いてきたが、合志は敢えてそれには応じなかった。
「何か男の所持品をお持ちじゃないでしょうか」
聞き辛い問いかけだった。
「引っ越す時に全部捨ててしまいましたから。ただ、営業所が宇佐の方にあると聞いたことがあります。確か宇佐神宮の近くだと」
合志は、宇佐神宮とメモる。
「相当しつこかったそうですね、久保岡という男は」
「は、はい。何度も電話で呼び出されたりもしました」
水江は思い出して、辛そうな顔をした。念のためと合志は聞く。
「あの時ももしかして呼び出されたんじゃありませんか」
「刑事さんの言う通りです。前の夜アパートに来るというので拒否したら、朝八時に十号線沿いの元町下バス停で待っていると言われ、仕方無く行きました。勿論その時も断ったんです、だけどあの男は、この方と付き合っているのを何となく気付いてたみたいで、脅迫めいたことを言ってくるんです」
「金も要求された」
「は、はい。でも持っていきませんでした。渡せば繰り返しになることは分かっていましたから。とにかくあの時も必死で別れてくれるよう頼むつもりで。嘘をついて刑事さんには本当に悪いことをしたと思っています。でも殺したのは私じゃありませんお願いです、これだけは信じて下さい」
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*週末に少しずつ投稿する予定です。作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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