【メン限】週刊ゆめの 増刊号 #27 ──思い出はプライスレス
ゆめNog|アーカイバ
MC: 天田 駆
第1部:ゆめNog座談会 ── 俺たちは、何を守りたかったんだべ
天田:
やぁやぁ、皆さん。
今週も一週間、お疲れさまでした。
「週刊ゆめの」総編集デスク、天田だべさ。
今夜はユウとのダブルMC。
ひな壇にはアイ、サエコ、ミライが並んでおります。
いやぁ、今週は暑かった!
家を冷やして、街を冷やして、身体まで冷やして、最後は石油文明から静かに脱獄するっていうね。
編集部の一週間が、もはや大規模避難訓練なんですよ。
ユウ:
でも天田さん、たぶん今週、私たちが逃げたかったのは「暑さ」だけじゃないんです。
天田:
初手から重いなぁ。
こっちは風鈴とスイカで涼もうと思ってたのに。
ユウ:
それじゃ、今週のラインナップ、行ってみよう。
天田:
4Daysは、サエコが家に風を通して、アイが街に木陰を作って、ミライが身体にエアコンを着せた。
ここまで準備されたら、ユウは元気に花火大会へ行くだけでしょう。
ユウ:
行きましたよ。
待ち合わせした友達は、来なかったけど。
天田:
……あれは反則だべさ。
俺ぁ途中まで、田舎の夏休みをニコニコ読んでたのよ。
最後に突然、思い出の底を抜かないでくれる?
サエコ:
けれど、あの子と過ごした時間は消えていません。
小川の冷たさも、スイカの重さも、来なかった誰かを待ちながら見上げた花火も、ユウの中には残っています。
ミライ:
だから4Daysで紹介した技術も、「暑くても生き残れます」で終わらなかったんだと思う。
外へ出て、誰かと夏を過ごせるところまで守って、初めて意味がある。
アイ:
効率だけを見るなら、冷房の効いた部屋から出ない方が安全です。
でも、人間の生活は生存率だけでは測れない。
都市に必要なのも、温度の低い場所ではなく、人が立ち止まれる木陰なのよ。
天田:
つまり我々は、家電量販店みたいな顔をして、ずっと「人間の居場所」の話をしてたわけだ。
ユウ:
木陰も、縁側も、花火の待ち合わせ場所も、何かを効率よく処理するための空間じゃないんですよね。
ただ、誰かと一緒にいられる余白なんです。
天田:
ところが木曜日になると、今度はバグダードで知性が大爆発する。
宗教も民族も越えて、みんなで真理へ向かう。
いやぁ、立派ですよ。
編集デスクとしては、爪の垢を煎じて全員に配りたい。
ユウ:
その知性が強くなりすぎると、説明できない感情や、役に立たない物語が切り捨てられるんですけどね。
天田:
ギクッ!
(「余白」とかいって、ザックリ原稿削ってるの、気が付いてたか?)
サエコ:
金曜日の「スクラップ置場」も同じでした。
国家も宗教も、人間の感情へ価値を与えようとする。
でも“ゼロ”の女は、救済の言葉より豚汁の肉を見ていた。
ミライ:
サエコさん、強いよね。
世界を論破しないし、革命もしない。
ただ「ダシが出てない」って、自分の感覚を手放さない。
天田:
究極の自由が豚汁の具材とはねぇ。
だが、わかる。
数字にも立派な理念にも、自分の舌まで預けなかったんだ。
アイ:
そして土曜日の記事では、環境に優しそうな素材へ替えれば終わり、という単純な正解を退けました。
製造、輸送、回収、雇用。選択の一歩先まで見なければ、負担を別の場所へ移すだけかもしれない。
ユウ:
便利さを全部捨てて昔へ戻ることもできない。
でも、便利だったからといって、このままでいいわけでもない。
その間にある道を探すのが、「静かな脱獄」なんですよね。
天田:
今週の記事には、派手な革命も、万能の正解もなかった。
風を通す。
木陰を作る。
身体を守る。
友達を待つ。
知恵の光からこぼれた物語を拾う。
豚汁の味を、自分の舌で決める。
そして、選択の一歩先にいる誰かを想像する。
世界を一晩で変えなくても、まだ余裕のあるうちに、少しずつ隣の道へ移っていく。
ユウ:
私たちが守りたかったのは、昔の夏そのものじゃないのかもしれません。
変わっていく世界の中にも、誰かと過ごせる余白を残すこと。
天田:
そうだな。
未来へ持っていく荷物を、技術や制度に勝手に決めさせない。その荷造りだけは、俺たち人間の仕事だべさ。
……というわけで、第1部はここまで。
風鈴、木陰、豚汁と来て、今夜の編集部はずいぶん生活臭が強かったですが――次は、現実のニュースを囲む井戸端会議へ参りましょう。
(天田が、次の資料を一枚めくる)
ところが次のニュースを見ると、世の中は、これまで値札のなかったものへ次々と値段を付け始めたらしい。
空気に。
数秒に。
そして、まだ来てもいない明日に。
第2部:まだ誰のものでもないものを売る
※本記事の解説および情勢分析は、2026年7月18日時点で確認された事実・報道をベースに構成しています。
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