【英国文豪、令和を歩く】第37回:Got a subscription, no interruption—content flowing, pure consumption!
京都の古い喫茶店。ドイルは手帳の隅に、細かな数式のようなメモを走らせている。ウィルは隣のテーブルの客がスマートフォンで熱心に動画を眺めているのを、興味深そうに観察している

(そっとドイルの袖を引いて)
ねえ、ドイル。この時代の「所有」という概念は、まるで魔法にかけられたように形を失いつつあると思わない? 昔なら、一冊の本、一枚の金貨、一足の舞踏靴……それらは手に取れる重みを持っていたわ。でも今は、目に見えない「契約」という名の糸をたぐり寄せれば、無限の物語や音楽が泉のように湧き出てくる。「サブスクリプション」……まるで、終わりのない祝宴の招待状みたい。

(ペンを休め、鋭い視線で応える)
ふむ、ウィル。確かにそれは効率的なシステムだ。私の友人がかつて株式仲買店の事件で遭遇した「フランス中部鉄器株式会社」のような、実体のない幽霊事務所とは違うがね。一定の対価を払うことで、膨大な情報の海へアクセスする権利を得る。それは、ホームズが膨大な犯罪記録(アーカイブ)を脳内に整理して、必要な時にいつでも引き出せるようにしているのと似ている。だが、危うさも感じるよ。

(くすくすと笑って)
危うさ? あら、ドイル。あなたはいつでも慎重ね。

(真剣な面持ちで)
考えてもみたまえ。ワトソン君が採金地の株を買うのを思い止まった時のように、人は「手に入れた」と錯覚するが、実は何も所有してはいない。支払いを止めれば、その瞬間にすべての知識も娯楽も霧のように消え去る。これは、自分の靴の底がすり切れるまで歩いて職を探し、ようやく手にした一週三ポンドの給料でパンを買うような、血の通った「交換」とは少し性質が違う気がするのだよ。

なるほど。でもね、ドイル。私の劇場の観客たちを見てごらんなさい。彼らは木戸銭を払って、数時間の間だけ、異国の王宮や悲劇の戦場を「所有」するの。舞台が終われば、手元には何も残らない。けれど、心には消えない刻印が押されるわ。サブスクも同じではないかしら? 物理的な重みはなくても、魂がその物語に触れたという事実は、誰にも奪えない宝物になる。

(わずかに頷き)
確かに。ホームズも、事件を解決すれば報酬よりもその「過程」の知的興奮を好んだ。だが、ウィル、現代のこのシステムは、あまりに選択肢が多すぎる。私の友人が「データ、データだ!」と叫ぶのは、一つの真実を導き出すためだ。しかし、この「サブスク」の海に溺れる人々は、選ぶことに疲れ、結局は自分の知恵の底が見えるような浅い洒落に終始してしまわないか? ベンヴォーリオがロミオを止めたように、誰かが「もう止めた、もう止めた」と声をかけなければ、彼らは無限のコンテンツの中で、自分自身を見失ってしまう。

(悪戯っぽく微笑んで)
あら、それは贅沢な悩みだわ。智慧の息が切れるまで洒落を競い合うのも、悪くない冒険よ。それにね、ドイル。昔の私たちが、もしこの「サブスク」を持っていたら……あなたはロンドンのすべての未解決事件の記録を、私は古今東西のあらゆる恋の詩を、瞬時に手に入れられたはず。そうなれば、私たちの物語はもっと「頭抜けた」ものになっていたかもしれないわ。

(苦笑して、冷めた珈琲を飲み干す)
君の想像力には勝てないな。確かに、五百ポンドの年俸を約束されるよりも、世界のあらゆる知識にアクセスできる「権利」の方が、探偵にとっては価値があるのかもしれん。だが私は、やはり最後に手元に残る、一冊の使い古された元帳や、一通の確かな手紙の重みを信じたいのだよ。

ふふ、古風な騎士様ね。でも、そんなあなたが選ぶ「たった一つの物語」こそ、どんなサブスクリプションのリストにも載っていない、最高傑作に違いないわ。さあ、ドイル。そろそろこのカッフェーの「滞在権」も終わりかしら。次はどの物語を、私たちの記憶に刻みに行きましょうか?
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