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探究プログラムで活用してほしい漫画

中学校や高校で、様々な探究プログラムが導入されています。けれども、企業とのコラボや世界に目を向ける活動などが多いように感じます。今の日本に必要なのは、私たちの生活に直接関係のある政策や法律にもっと関心を持ち、疑問を持ったら自分で調べる力を育むことではないでしょうか。私がぜひ導入してほしいと考えた探究プログラムなどを、時々書いていこうと思います。今回は、その3回目です。

ウイグル人に起きていること

今回は、一見関係なさそうに見えても、実は私たちの生活に直接関係のある問題に様々な角度からアプローチし、自分で調べる力を育むために活用できる漫画を紹介します。

『ウイグル人という罪─中国による民族浄化の真実─』
清水ともみ 漫画 , 福島香織 文 扶桑社

https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594089405

この本は、漫画と文章で構成されています。

まず、「まえがき」の前に書かれた「シャツの背景」というタイトルのページが、探究活動の導入に適していると思います。

たとえば 安くて 
着心地のいいシャツ

安さを競えば 外国製ばかりが
むせかえるほど溢れてる

でも よく見れば ひとつひとつ
どこかの誰かが つくっているはずで

外国のどこかで育てられた綿
誰かが縫った縫製

それがどこなのか
どんな人たちで
なぜそこで働いているのか

一度 調べてみてほしい

新疆ウイグル自治区

「ウイグル人という罪」(漫画/清水ともみ 文/福島香織)より


文章を担当した福島香織氏は、産経新聞社の中国総局記者として北京に駐在した経験を持つフリージャーナリストです。

漫画を担当した清水ともみ氏はnoteでも記事を書いていて、「シャツの背景」を画像で読むことができます。

私はこの本を読んだら、多くの疑問がわいてきました。
何に関心を持ち、どう感じるかは人それぞれでしょう。

どこに疑問を持つかによって、下記のような探究テーマにつながる可能性があると思います。

・ファストファッションに関わる問題
・監視社会、人権問題
・言語と文化の喪失
・移民問題
・太陽光パネル
・臓器移植に関する問題
・満洲、モンゴル、ウイグルの独立運動と旧日本帝国陸軍との関係
・核実験 など

この本は「新疆ウイグル自治区」について書かれていますが、決して「他人ごと」ではありません。ウイグル人に起きていることは、私たちの生活にも関わっているのです。例えば、太陽光パネルやファストファッションを買うことで、日本人もウイグルジェノサイドに加担しているとしたら、その事実を知らずに過ごしてよいのでしょうか。

2019年にTwitterに投稿された清水氏の漫画「私の身に起きたこと」は、有志の力によって15言語に翻訳されました。こちらも、noteで公開されています。


とある大学で「私の身に起きたこと」を授業の教材にしたときに寄せられた、学生の感想も公開されています。


ウイグル人の人権侵害と日本との関係

日経新聞の「ニッポンの食卓に差す影」(2024年12月2日)という記事には、日本の大手通販サイトに並ぶ格安の魚が、ウイグル族の安価な労働力で生産コストを抑えている中国企業と関係していることなどが書かれています。

日本ウイグル協会は、ウイグル人らに対する大規模監視および深刻な人権侵害を助長する日系企業に質問状を送っています。

太陽光パネルの大量消費が進むと、生産地とされる中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害が悪化する可能性があります。

2022年8月31日、国連は中国・新疆地区で「深刻な人権侵害」が見られるとして、中国を非難する報告書を公表しています。

国連人権高等弁務官事務所が公表した中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区に関する報告書
Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights, "OHCHR Assessment of human rights concerns in the Xinjiang Uyghur Autonomous Region, People's Republic of China," 31 August 2022.

日本のテレビはほとんど報じませんが、ウイグル人の方たちは自分たちが経験したことを、命を危険にさらしながら証言しています。その「事実」を知るきっかけとしても、この漫画をぜひ活用してほしいです。

こちらの漫画もセットで使うと、より理解が深まると思います。
『命がけの証言』(清水ともみ 著)